2025年7月22日(火)、二番目に訪れたのはEl Port de la Selva、サン・ペラ・ダ・ローダス修道院(Monestir de Sant Pere de Rodes)です。
ここは、身廊の厳かさに息をのみます。近代の戦争や略奪で多くの文化財が失われましたが、残された建築物が、ロマネスク期の栄華を教えてくれます。
2025年、修道院は以下の日程で開いていました。有料(€6)でした。
10月1日から4月30日:火曜から土曜10:00〜17:00と日曜10:00〜14:30
5月1日から9月30日:火曜から土曜10:00〜18:30と日曜10:00〜14:30
El Port de la Selva では、2か所に行きました。以下のように2回に分けて書きます。
<1> Monestir de Sant Pere de Rodes
<2> Ermita de Santa Helena de Rodes
目次
1. El Port de la Selva .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 内観(アトリウム) .
5. 内観(身廊) .
6. 内観(地下聖堂) .
7. 内観(下部回廊) .
8. 内観(上部回廊) .
1. El Port de la Selva
エル・ポルト・ダ・ラ・セルバ(El Port de la Selva)は、カタルーニャ州ジローナ県にあり、県都ジローナの約45km北東に位置します。
修道院は、エル・ポルト・ダ・ラ・セルバ(El Port de la Selva)の中心部から3km南西ほど離れた、ロダス山脈(Serra de Rodes)の中にあります。
私は、N-260号線からGI-604号線に曲がり、VilajuïgaでGIP-6041号線に入りました。その後、駐車場(Aparcament de Santa Helena)に車を停めました。
最後の数百メートルは、緩やかな舗装された道を500メートルほど歩きます。
見えてきました。サン・ペラ・ダ・ローダス修道院(Monestir de Sant Pere de Rodes)です。

修道院ごしに地中海が見えて、開放感があります。
2. 概要
受付でリーフレットをもらいました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
サン・ペラ・ダ・ローダス修道院(Monestir de Sant Pere de Rodes)は、カプ・デ・クルス(Cap de Creus)自然公園の中心部、エル・ポルト・ダ・ラ・セルバ(El Port de la Selva)市にあるローダス山脈の景観と遺跡群の中で最も重要な存在である。サン・サルバドル・ダ・ベルデラ(Sant Salvador de Verdera)の城、サンタ・クレウ・ダ・ローダス(Santa Creu de Rodes)の教会と集落を合わせて、封建社会の変遷を学ぶ上で特筆すべき場所である。
建築遺構は中世集落の構造を示す唯一無二の例である。修道院、城、集落を巡ることで、中世社会を支えた三つの階級、すなわち、祈る者(オラトーレス)、戦う者(ベラトーレス)、働く者(ラボーラトーレス)を代表する空間を一箇所で発見できる。
修道院の起源は不明である。9世紀末、フランク王室が推進したカタルーニャ諸郡におけるベネディクト会修道会の拡大の中で、初めて文献に登場する。
1988年以降、カタルーニャ自治州政府による歴史的・建築的修復が行われ、この特権的な場所を楽しむことが可能となった。自然環境、保存状態、独自性により、傑出した遺産複合体として評価されている。
教会
10世紀、サン・ペラ・ダ・ローダス修道院(Monestir de Sant Pere de Rodes)は、伯爵や貴族からの庇護、広大な領地、巡礼地としての名声により、アンプリアス(Empúries)地方で最も重要な存在となった。
1798年、ベネディクト会修道院の共同体は、長期間の衰退を経て修道院を去った。その結果、建物は廃墟と化し、芸術的宝物は略奪された。
この18世紀の略奪と17世紀の戦争などにより、この修道院は多くの貴重な文化財を失いました。現在、それらの一部がフランスやスペインの図書館や美術館に収蔵されています。
修道院で最も重要な要素は聖堂である。その独創性ゆえに、カタルーニャ・ロマネスク様式において傑出した建造物である。11世紀初頭に建てられたこの聖堂は、特異な柱と連柱のシステムが生み出す高揚感、そして柱頭部の装飾の豊かさによって我々を驚嘆させる。
建築様式と柱頭の装飾の両方に、ローマ時代の建造物への回帰志向が表れている。高さ16メートルの身廊を覆う円筒形ヴォールトは、独創的な柱と連柱のシステムによって支えられており、これが建築上の最も顕著な特徴である。身廊の柱頭はコリント式で装飾され、側廊のアーチには絡み合う文様が施されている。
四分円形のアーチを持つ側廊は、中央身廊を支える支柱の役割を果たしており、その通路は主後陣の周歩廊に直接通じている。
また、その大きさと複雑さで際立つ聖堂の頭部も、非常に珍しいものである。主後陣は2層の周歩廊を持ち、地下聖堂の上に築かれている。
主後陣の祭壇の下には、修道院の最も貴重な聖遺物が保管されていた聖遺物安置所があった。そこには聖ペトロの頭部と右腕も収められていた。巡礼者が聖遺物を拝むことができるよう、後陣の周囲には周歩廊、つまり教会の最も神聖なエリアを囲む通路が設けられていた。
聖遺物に関連する地下聖堂は、内陣の下にある空間で、巡礼者が聖遺物に近づき、それを崇拝し、その恩恵を受けることを可能にした。
3. 平面図
リーフレットによる案内図です。東が奥です。

1. ワイン貯蔵庫、2. 教会、3. アトリウム(ギャラリー)、4. 身廊、5. 内陣、6. 周歩廊、7. 地下聖堂、8. 下部回廊、9. 上部回廊、10. チャプター・ハウス、11. 食堂、12. 門番小屋、13. 食料貯蔵庫、14. 広場、15. 回廊上部の修道士居住区、16. 要塞塔、17. 鐘楼、18. 上部周歩廊、19. サン・ミケル塔と礼拝室、20. 巡礼者宿舎、21. 聖具室、22. 修道院長邸、23. 果樹園と菜園
見学の順路は、おおむね上記の番号順です。
この後は、現地に掲示されていた案内を引用する時に太字で書きます。
4. 内観(アトリウム)
「14. 広場」から左(北)に向かい、階段をおりると「2. 教会」があります。

アトリウムの中(身廊の西壁)には、教会の主扉口の遺構があります。
美しい主扉口だったようです。

また、アトリウムの中には、主扉口を飾っていた彫刻の複製が二つあります。
それらのオリジナルは、バルセロナのフレデリック・マレス美術館(Museu Frederic Marès)に収蔵されています。
ご紹介する写真は、私が2025年7月26日にフレデリック・マレス美術館(Museu Frederic Marès)で撮影したものです。
博物館の案内によると:
カベスタニの親方の工房
神の子羊
門扉の頂石
12世紀後半
大理石
サン・ペラ・ダ・ローダス修道院(ジローナ)
カタルーニャ博物館友の会による公募寄付(1960年)

博物館の案内によると:
カベスタニの親方
海上で弟子たちに現れたイエス
扉口の浮彫
12世紀後半
大理石
サン・ペラ・ダ・ローダス修道院(ジローナ)
カタルーニャ博物館友の会による公募寄付(1960年)
カベスタニの親方については、Centre de Sculpture Romane Le Maître de Cabestany のページに書きました。
つりあがった大きな目と手が特徴で、劇的で傑出した作品が各地に残っています。

5. 内観(身廊)
教会の中に入ります。
わお。

大きな柱が並んでいて、ローマ神殿のような趣です。
柱頭はコリント式。

側廊は、南北ともに、とても狭いです。

サン・ペラ・ダ・ローダスの聖書のファクシミリが展示されていました。
サン・ペラ・ダ・ローダスの聖書(Bíblia de Sant Pere de Rodes)は、11世紀に制作された数少ない挿絵付き写本の一つであり、今日まで保存されている。その挿絵は当時の社会の詳細を伝えるため、非常に高い文化的・歴史的価値を持つ。この写本は11世紀初頭、サンタ・マリア・ダ・リポイ(Santa Maria de Ripoll)の写字室で書かれ、オリバ修道院長(Abat Oliba)によってサン・ペラ・ダ・ローダス(Sant Pere de Rodes)に届けられた。そこで最終的に挿絵が加えられたのである。この写本は1693年、九年戦争中にフランス軍によって略奪され、現在はフランス国立図書館に所蔵されている。エル・ポルト・ダ・ラ・セルバ(El Port de la Selva)の町議会は2007年に複製版の出版を手配し、2022年5月1日、教会の奉献1000周年を記念してこのファクシミリを修道院に寄贈した。
この挿絵は、壁画や彫刻に影響を与えたと思います。

6. 内観(地下聖堂)
地下聖堂に行きます。
地下聖堂には、後陣と同じような周歩廊があります。

7. 内観(下部回廊)
下部回廊に行きます。
下部回廊は11世紀に建れられました。

北側と東側のギャラリーを隔てるアーチに絵画の断片があります。
磔刑の場面を描いた壁画。11世紀
イエスの両方の上に太陽と月の擬人像が描かれています。

8. 内観(上部回廊)
上部回廊に行きます。
上部回廊は12世紀に建れられました。

上部回廊にあった柱頭のうち八つが、パリのクリュニー美術館(Musée de Cluny)に収蔵されています。
ご紹介する写真は、私が2022年9月22日にクリュニー美術館(Musée de Cluny)で撮影したものです。

博物館の案内によると:
八つの回廊の柱頭
アダムとエバの物語の場面
ノアの物語の場面
アブラハムの物語の場面
キリストの幼少期の場面
聖なる女性たち
向かい合い歩く獅子
向かい合い立つ獅子
滑らかな湾曲した葉
北カタルーニャ、12世紀後半
サン・ペラ・ダ・ローダス修道院(カタルーニャ)の回廊より
これらの柱頭は全て同じ寸法である。出所が判明している類似作品との比較により、これらは1870年代に解体され、所蔵品が散逸したサン・ペラ・ダ・ローダス修道院の回廊に由来すると判断できる。様式や構成に差異が見られるのは、ジローナとルシヨン地方の中間地点にあるこの建築現場で複数の彫刻家が共同作業を行ったためである。
アダムとエバの物語の場面だと思います。

ノアの物語の場面、アブラハムの物語の場面、だと思います。
キリストの幼少期の場面、聖なる女性たち、だと思います。
これらの柱頭彫刻がずらりと並んだ上部回廊、壮観だったと思います。

サン・ペラ・ダ・ロダス修道院(Monestir de Sant Pere de Rodes)。身廊の厳かさに息をのみます。近代の戦争や略奪で多くの文化財が失われましたが、残された建築物が、ロマネスク期の栄華を教えてくれます。
・
・
・






