2025年7月20日(日)、唯一訪れたのはCovet、Santa Maria de Covetです。
ここは、内観ではファサード裏にあるアーケード・ギャラリーと後陣のインポスト、外観では西扉口と後陣の持ち送りが素晴らしいです。
私は2019年に最初にCovetを訪れました。その時は教会の中に入ることができなかったので、今回(2025年)に再訪しました。6年のあいだに教会が修復されたので、2019年のページにアップデートを追加するのではなく、あらためて書きます。
2025年、教会は以下の日程で開催されるガイドツアーで訪問可能でした。事前予約が必要で、有料(€4)でした。
7月:6日(日)12:00、17日(木)18:00、20日(日)12:00、24日(木)18:00、27日(日)12:00、31日(木)18:00
8月:3日(日)12:00、7日(木)18:00、10日(日)12:00、14日(木)18:00、17日(日)12:00、21日(木)18:00、24日(日)12:00、28日(木)18:00、31日(日)12:00
9月:14日(日)12:00
目次
1. Covet .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(東側) .
5. 外観(西側) .
6. 内観(身廊) .
7. 内観(後陣) .
8. 内観(アーケード・ギャラリー) .
1. Covet
コベット(Covet)は、カタルーニャ州リェイダ県にあり、州都バルセロナの約115km北西、県都リェイダの約60km北東に位置します。
教会は、農地に囲まれた小さな集落の西端にあります。

2. 概要
教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
コベットのサンタ・マリア教会(Santa Maria de Covet)は1107年の記録が残るが、現存する建物は後世の建造物である。その建築様式は第二期ロマネスク様式の特徴を示し、12世紀中頃に建てられたものと推定される。修復工事は1980年頃に開始された。
ラテン十字式の三後陣である。身廊は尖頭樽型ヴォールトで覆われ、柱のある三つのアーチで区切られている。身廊の西壁にはアーケード・ギャラリーが設けられ、西ファサードの端に組み込まれた螺旋階段でアクセスする。その上部には放射状の柱を持つバラ窓が位置する。
特に注目すべきは、トゥールーズ派による精緻な彫刻が施されたアーキヴォルトとティンパヌムを備えた扉口である。この教会に所蔵されていた12~13世紀のロマネスク様式の聖母像は、現在バルセロナのカタルーニャ国立美術館に収蔵されている。
ちなみに、その聖母像は、カタルーニャ国立美術館公式サイトの収蔵品リストに、13世紀末のゴシック様式の彫刻として分類されています。
3. 平面図
案内板による平面図です。東が右です。

この後は、ガイドから聞き取った内容を引用する時に太字で書きます。
4. 外観(東側)
ガイドツアーは、教会の東側外観から始まりました。
現在の建物は、12世紀に、アウグスティヌス会の修道士によって、ルシヨン・ロマネスク様式で建てられました。
この辺りは比較的、異教徒が多かったため、布教のため、修道院内にこもるベネディクト会より、俗世の人々とふれあうアウグスティヌス会の方が求められたのです。彼らは、近隣の修道院との争いの結果、この場所に移動してきました。
この辺りは、キリスト教化が遅れていたのだと思います。
後陣をみます。

主後陣の軒下に、人物や動物(羊、牛、子羊を口にくわえた狼)の頭部や植物(松ぼっくり)などが彫られた、30の持ち送りがあります。
持ち送りを八つご紹介します。
持ち送り1: 羊の頭部、持ち送り2: 人物の頭部、だと思います。
持ち送り3: 横になった人物の頭部、持ち送り4: 逆さまになった人物の頭部、だと思います。
持ち送り4は、頭にターバンのようなものを巻いています。
持ち送り5: 人物の頭部、持ち送り6: 人物の頭部三つ
持ち送り5は、ただれた皮膚なのか、深い皺なのか、顔に線が彫られています。フエンテ・ウルベル(Fuente Urbel)の持ち送りを思い出します。
持ち送り7: 笛を吹く音楽家、持ち送り8: 人物、だと思います。
持ち送り8は、足のトゲを抜いているかもしれません。
5. 外観(西側)
西に行きます。

西扉口をみます。
この扉口は数年前に修復されました。
右上には、ライオンと男性がいます。

一番外側のアーキヴォルトには、禁じられたことをしているひとたちが彫られています。
中央には「アダムとエバ」(『創世記』3章)がいます。

一番外側のアーキヴォルトには、アダムとエバの他に、曲芸師や音楽家などが彫られています。

外側から二番目のアーキヴォルトには、聖母子や天使たちが彫られています。
聖母子の隣の男性は聖ヨセフではなく預言者です。
キリストの養父である聖ヨセフは通常、頬に手をあてて憂いの姿をしていますが、ここでは当てはまりません。また、イザヤやバラムなどの預言者が聖母と幼子とともに登場する場合があるので、こちらの人物も預言者と考えられているようです。
内側のアーキヴォルトには、有翼のライオン(聖マルコ)や天使たちが彫られています。(損傷している部分に、おそらく、有翼の牛(聖ルカ)が彫られていました。)

アーキヴォルトを支える柱頭をみます。
柱頭1には、向かい合うライオンに2人の人物が乗っている様子が彫られています。
ライオンに乗る2人の人物のうち、向かって左(北側)の、髪の長さが強調されている人物は「獅子を裂くサムソン」(『士師記』14章)かもしれません。だとすると、向かって左(北側)の人物は、もしかしてダビデかも。
柱頭2には、2人の人物が植物の後ろから両手をあげて祈っている様子が彫られていると思います。
柱頭3には向かい合うライオン、柱頭4には5人の人物が彫られていると思います。
5人の人物を特定することは難しいです。中央の人物がアーチの下に座り、その両側でニンブスのある人物たちが本を持っているようです。

ティンパヌムをみます。
ティンパヌムは、おそらく別の親方によって作られました。
確かに、石も違いますし、彫りの特徴も違います。
中央には荘厳のイエス、そのマンドルラを支えるのは智天使(Cherubim)と熾天使(Seraphim)です。
智天使と熾天使の両側には、四福音書記者の象徴のうち、有翼の人(聖マタイ)と鷲(聖ヨハネ)が彫られています。

ティンパヌムを二つのコーベルが支えています。
(南側は損壊していて、人物の手と顔の一部だけが残っています。)
北側には、ライオンに食われる人物が彫られています。ライオンの爪が鋭い。

扉の金属加工も、ロマネスク様式です。

蚊取り線香のような渦巻きが並び、端には蛇や鳥がいます。
こちらは蛇。

こちらは鳥です。

6. 内観(身廊)
教会の中に入ります。
身廊には、柱に四つの柱頭があります。

身廊の四つの柱頭には、次のような彫刻があります。
(北西)3人の人物が2人の人物の髪をつかんでいる様子、
(南西)3人の人物が植物の後ろから両手をあげて祈っている様子、
(北東)様式化された植物、
(南東)2匹の四足獣が向かい合って牙をむき出しにしている様子。
7. 内観(後陣)
後陣をみます。

インポストに美しい彫刻があります。
中央には、神の手、十字架と鳥たちが彫られています。

他には、猪、鹿、雄鶏と雌鶏とその雛たち、ライオン、グリフォン、人物の頭部、植物などが彫られています。
雛たち、かわいい。

一部には、彩色の痕跡があります。

8. 内観(アーケード・ギャラリー)
ファサード裏のアーケード・ギャラリーをみます。
五つの柱頭で支えられる四つのアーチで構成されています。

西壁の両端にある螺旋階段からアクセスします。
わお。

五つの柱頭には、北から南の順に、次のような彫刻があります。
柱頭1: 鳥と猿とライオン、
柱頭2: 2頭のライオンに押さえつけられた人物、
柱頭3: 向かい合う2組のライオン(そのうちの2頭は人物が乗る)、
柱頭4: 右手に棍棒を持つ人物、
柱頭5: 植物をつつく猛禽類。
こちらは柱頭3の北面です。向かい合う2組のライオンに人物が乗っています。

こちらは柱頭3の南面です。上部の顔が印象的。

こちらは柱頭4の南面です。人物が右手に棍棒のようなものを持つ人物が彫られています。

Santa Maria de Covet。内観ではファサード裏にあるアーケード・ギャラリーと後陣のインポスト、外観では西扉口と後陣の持ち送りが素晴らしいです。
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