ジローナ(Girona)<2025年>

2025年7月22日(火)の最後、四番目に訪れたのはGirona、サン・ペラ・ダ・ガジガンツ修道院(Monestir de Sant Pere de Galligants)です。

ここは、教会と回廊の彫刻が素晴らしいです。

2025年、修道院は以下の日程で開いていました。有料(€7)でした。
10月1日から4月30日は火曜から土曜10:00〜18:00と日曜10:00〜14:00
5月1日から9月30日は火曜から土曜10:00〜19:00と日曜10:00〜14:00

私は2018年に最初にGironaを訪れましたが、その時は大聖堂(天地創造の刺繍布)が主な目的でした。Monestir de Sant Pere de Galligants については、時間の都合で外部だけをみましたので、今回(2025年)に再訪して内部を見学しました。見どころが多いため、2018年に書いたページにアップデートを追加するのではなく、あらためて書きます。

目次

1. Girona .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観 .
5. 内観(教会) .
6. 内観(回廊) .

1. Girona

ジローナ(Girona)は、カタルーニャ州ジローナ県の県都で、州都バルセロナの約80km北東に位置します。

修道院は、大聖堂の約200m北にあります。

東側外観

南翼廊には、小さな南小後陣が東に二つ並んでいます。

北翼廊には、南小後陣より大きな小後陣が東と北にひとつずつあります。

この北翼廊の上に鐘楼が聳えます。鐘楼は、小後陣がある下の部分までは正方形の平面、それより上の部分は八角形で、二連窓と盲アーチが並んでいます。

2. 概要

教会の中に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

サン・ペラ・ダ・ガジガンツ(Sant Pere de Galligants)のベネディクト会修道院は、おそらく10世紀に創設された。

修道院は、1835年の修道院追放と1836年の教会財産没収法施行まで存続した。その後、教会はサン・フェリウの付属教区となり、1936年まで礼拝に供された。

現在はカタルーニャ考古学博物館・ジローナ分館として活用されている。考古学コレクションの常設展示に加え、ロマネスク様式の修道院で現存する唯一の建物である教会と回廊を見学できる。

博物館の起源は、1845年10月にジローナ県記念物委員会によって創設された県立古代美術博物館にある。これはジローナ地方最古の博物館であった。1860年には司教の寄贈によりサン・ペラ・ダ・ガジガンツ修道院(Monestir de Sant Pere de Galligants)の回廊に収蔵された。その後上回廊が建設され、1939年までに教会も展示空間に組み込まれた。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

案内板による平面図です。東が上です。

典型的なベネディクト会修道院では、回廊が中庭となるよう、回廊の南にも建物を配置します。

でも、この修道院の南にはガジガンツ川(Torrente de Galligants)があります。この立地条件のため、回廊の南には建物がありません。

案内板より

中世の修道院がどのような姿であったかはわからない。今日残っているのは教会と12世紀の回廊のみである。

現存する遺構(いずれも後世の建造物)から判断すると、修道院の建物群はガジガンツ(Galligants)通りに沿って、教会ファサードと回廊に接続する一連の建物として配置されていた。

4. 外観

西側ファサードをみます。

ファサード全体は12世紀後半以前の建造物とは考えにくい。

上部の構造体は、12世紀末から13世紀初頭に遡る見事なバラ窓を支えている。

バラ窓の中央列柱の基部には、数人の修道士に囲まれた修道院長が刻まれている。八本の列柱のうち一本はゴシック期に改修され、現在は柱頭部のみが残っている。
アーチの上部には「OMNES COGNOSCANT PETRUM FECISSE FENESTRAM(ペトロがこの窓を作ったことを皆が知るように)」という碑文が見られる。このペトロが彫刻家なのか、それとも作品を発注した修道院長なのかは不明である。

西側外観

扉口は五つの半円アーチが段差状に配置され、4本の柱で囲まれています。

西扉口

4本の柱は、見事な柱頭を冠しています。

西扉口の柱頭

人物、動物、植物、幻想的な生き物などが彫られています。

西扉口の柱頭

一番内側のアーチを支える柱の軸まで、豊かに装飾されています。

西扉口
西扉口

5. 内観(教会)

教会の中に入ります。

現存する教会は12世紀に建造された。

身廊と側廊を隔てる柱には、彫刻が施された柱頭を持つ半円柱が添えられています。

身廊にて東を向く

交差部、主後陣、そして南翼廊の二つの小後陣を分ける部分にも見事な柱頭が存在する。その一部はカベスタニの親方(Mestre de Cabestany)の工房に帰属するとされている。

カベスタニの親方については、Centre de Sculpture Romane Le Maître de Cabestany のページに書きました。

つりあがった大きな目と手が特徴で、劇的で傑出した作品が各地に残っています。

この教会にあるのは、その工房の作品とされる、聖パウロの死の場面を表現した柱頭です。南翼廊の二つの小後陣の間にあります。

大胆な斜めの構図は、ル・ブル(Le Boulou )の扉口上部の彫刻を思い出します。また、大きな手も特徴的です。

カベスタニの親方の工房による柱頭(別角度)

修道院の外にあった案内板によると、サン・ペラ・ダ・ガジガンツ修道院(Monestir de Sant Pere de Galligants)は、1117年にラングドック地方🇫🇷のラグラス修道院(Abbaye de Lagrasse)に併合され、その後数世紀にわたりその庇護下にありました。

ラグラス修道院(Abbaye de Lagrasse)では、カベスタニの親方(Mestre de Cabestany)が手がけたとされる扉口の遺構が見つかっています。何か関係があるのかもしれません。

6. 内観(回廊)

回廊に行きます。

サン・ペラ・ダ・ガジガンツ(Sant Pere de Galligants)の回廊は12世紀後半に建設された。北東隅の柱に埋め込まれたロトラン(Rotland)修道院長の墓石は1154年のものだが、この時点で建築工事は既に始まっていた。

修復作業は1857年に記念物委員会(Comissió de Monuments)によって開始された。上回廊は1860年から1877年にかけて博物館の展示物を収蔵するために建設された。

回廊

長方形の回廊は四つのギャラリーからなり、双柱で支えられたアーチ構造を持つ。各ギャラリーの中央部は五本の柱で支えられた区画で補強されており、カタルーニャ・ロマネスク建築では極めて珍しい構造である。

回廊

回廊には60の彫刻が施された柱頭がある。大半は植物、動物、人間、装飾的な弓のモチーフだが、神話上のキャラクター、情景、新約聖書の場面を描いたものもある。

こちらは、「ご生誕」(『マタイによる福音書』1章、『ルカによる福音書』2章)の場面だと思います。

美しい。

回廊の柱頭

印象的なのは、二股人魚です。

回廊の柱頭

サン・ペラ・ダ・ガジガンツ修道院(Monestir de Sant Pere de Galligants)。教会と回廊の彫刻が素晴らしいです。

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