サン=ジュリアン=デュ=セール(Saint-Julien-du-Serre)

2023年9月25日(月)、四番目に訪れたのはSaint-Julien-du-Serre、Église Saint-Julien de Saint-Julien-du-Serreです。

ここは、内観ではクワイヤと後陣の柱頭、外観では後陣と北扉口の彫刻が素晴らしいです。

2023年、教会の鍵を役場(mairie)で借りることができました。

目次

1. Saint-Julien-du-Serre へ .
2. 概要 .
3. 航空写真 .
4. 内観 .
5. 外観(後陣) .
6. 外観(北扉口) .

1. Saint-Julien-du-Serre へ

サン=ジュリアン=デュ=セール(Saint-Julien-du-Serre)は、フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏アルデシュ県にある村で、アヴィニョンの約84km北西、プリヴァ(Privas、アルデシュ県の県庁所在地)の約10km南西にあります。

私は教会の鍵を役場(mairie)で借り、教会に来ました。

南東側外観

赤い矢印で示した門を通って進むと、南扉口があります。

2. 概要

役場(mairie)が鍵と一緒に案内冊子を貸してくれました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

この教会はブリウド(Brioude)の聖ユリアヌスに捧げられている。聖ユリアヌスはヴィエンヌ(Vienne)出身である。彼は4世紀にブリウド(Brioude)の近くで殉教した。彼に対する信仰は非常に厚く、フランスには彼の名を冠したコミューンが数多くある。アルデシュ県には七つある。

教会に関する最古の文献は1074年に遡り、ル・ピュイ=アン=ヴレ(Le Puy-en-Velay)近郊のサン・シャッフル・デュ・モナスティエ(Saint-Chaffre du Monastier)修道院がこの教会を取得した。

現在の建物は12世紀に建てられた。当初は、身廊とそれに続く後陣から成っていた。クワイヤと身廊の接合部には、二重アーチの鐘楼があった。

1510年頃、第2柱間の南側に礼拝室が増築された。1518年から1536年にかけて、北側にもう一つの礼拝室が増築された。この北礼拝室は、教会を拡大し左右対称のレイアウトにするため、1855年にネオ・ゴシック様式で再建された。第三の礼拝室が16世紀半ばから南側に建っていたが、16世紀には聖具室とされた。最後に、1875年に現在の鐘楼が建てられた。

この美しいロマネスク教会の独創性は、内部と外部の柱頭に施された豊かな彫刻装飾にある。ライオン、人魚、グロテスクな頭、翼の生えたドラゴンなど、キリスト教や伝説をテーマにした奇妙な図像が描かれている。

この後も、案内冊子を引用する時に太字で書きます。

3. 航空写真

Googleマップによる航空写真です。

Googleマップによる航空写真

12世紀の建築部分は、二つの柱間を持つ単身廊とそれに続く後陣。

鐘楼、南北の礼拝室と聖具室は15世紀以降の増改築です。

4. 内観

私は役場(mairie)で借りた鍵を使い、南礼拝室から教会の中に入りました。

第1柱間の上のロフトは新しいものだと思います。とはいえ、身廊、クワイヤと後陣には12世紀のロマネスク様式が残っています。

身廊にて東を向く
クワイヤにて西を向く

注目したいのは、クワイヤと後陣の柱頭彫刻です。

勝利アーチの北側には「受胎告知」(ルカによる福音書1章)。

何か違和感があると思ったら、天使ガブリエルが椅子に腰掛けているんです。

柱がマリアとガブリエルを隔てている。マリアに捧げられた部分よりも、聖なる側を表すガブリエルの部分の方が重要である。ガブリエルが座って描かれることはほとんどなく、立って描かれるのが普通であることに注意すべきである。

勝利アーチの北側

さらにガブリエルは、右手でマリアを指さして、顔と体を斜に構えています。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」かなんか言っちゃってるんでしょうか。動きのある図像です。

勝利アーチの南側には、2人の男性と有翼の怪物。

左端の男性は着衣、着席で両手を膝に置いています。右側の男性は裸で、右足を怪物に食われています。怪物の尻尾はくるくると巻いています。

裸の男性は、怪物のいる身廊側から神のいるクワイヤ側へと向かって逃げているのかも。

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勝利アーチの南側
勝利アーチの南側(別角度)

後陣の柱頭は四つあります。

柱頭1:植物と2人の男性

私には、右側の男性がブランコに乗っているように見えて仕方ない。

後陣の柱頭1
後陣の柱頭1(別角度)

柱頭2〜4は植物が中心です。

柱頭2
柱頭3
柱頭4

植物は楽園をイメージさせるものだったのかも。

5. 外観(後陣)

後陣と主扉口をみます。

後陣には、フライング・バットレスと呼ばれる補強壁がつけられています。

フライング・バットレスは18世紀のものと思われる。

後陣(南東側)

後陣南東窓の上の方に、彫刻があります。

12世紀よりも前に建てられた教会で使われていた彫刻を再利用したものかもしれません。

左の鳥は、ずいぶんと首をくねらせていて、かっこいいです。

後陣の南東窓の上の浮き彫り

後陣中央の窓の上にあるアーチの迫石は、切り方が工夫されています。

三つ葉形で、おしゃれ。

後陣(東側)

柱頭彫刻は、幻想的な生き物(飾りのついた尻尾の四足獣、人魚)、植物、鳥などが描かれています。

幻想的な生き物(飾りのついた尻尾の四足獣)。

幻想的な生き物(飾りのついた尻尾の四足獣)

幻想的な生き物(人魚)、植物。

幻想的な生き物(人魚)、植物。

植物、鳥。

植物、鳥。

謎めいているのが、こちらの柱頭彫刻。後陣北東窓の近くにあります。

獣のような下半身の生き物が、人間のような顔を持つ四足獣の後ろ足をつかんでいます。

人間のような顔を持つ四足獣

同じ柱頭の別角度では、その四足獣の前足を、着衣の人物がつかんでいます。

人間のような顔を持つ四足獣(別角度)

また、地を這う有翼の怪物が、着衣の人物の足を噛みそうです。

面白い。

6. 外観(北扉口)

北扉口をみます。身廊の第1柱間にあたります。

北側外観

そのアーチ、柱頭、円柱、、、ロマネスク様式の扉口のお手本のよう。

北扉口

柱頭彫刻もいいです。

柱頭彫刻(東側)
柱頭彫刻(西側)

私は、この大きな目が大好きです。

柱頭彫刻(西側)

Église Saint-Julien de Saint-Julien-du-Serre。内観ではクワイヤと後陣の柱頭、外観では後陣と北扉口の彫刻が素晴らしいです。

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