2022年11月30日(水)、最初の目的地は Subiaco、Monastero di San Benedetto です。
ここは、美しい景観と、壁画が素晴らしいです。壁画の中には、現存最古とされているアッシジの聖フランチェスコの肖像画があります。
目次
Subiaco へ .
美しい景観 .
概要 .
内観:上側の教会(Chiesa Superiore) .
内観:聖ベネディクトの洞窟(Grotta di San Benedetto) .
内観:聖グレゴリオ礼拝堂(Cappella di San Gregorio) .
脚注(1)上側の教会(Chiesa Superiore)について .
〜おまけ〜 .
Subiaco へ
私は、宿をチェックアウトし、アナーニ(Anagni)から北に約75km、60分ほど運転して、山の中の修道院につきました。9時半頃のことです。
Subiaco は、アニエネ(Aniene)渓谷にある、歴史、芸術、文化に恵まれた中世の村で、ヨーロッパにおける修道院制度と印刷の発祥の地。また、私の大好きな「イタリアの最も美しい村」の一つです。
私の目当ては Monastero di San Benedetto、ベネディクト会の創設者が最初の隠遁生活を送った場所です。このため、美しい村ならではの中世の家並やかわいい店舗がある集落からは少し離れた山の中なんですが。。。
美しい景観
そんな修道院には、聖なる遺産と美しい景観があります。
ちなみに、この写真を撮るために階段の手すりにのぼりました。ちょっと怖かったです。
概要
教会の外にも中にもたくさん案内板がありました。それらをまとめて意訳します。括弧内のアルファベットは、イタリア語です。
スビアコ(Subiaco)近郊のタレオ(Taleo)山の岩壁の中に佇む修道院は、ほぼ1000年にわたり、聖なる岩窟(Sacro Speco)を守ってきました。6世紀初頭に若き聖ベネディクトが3年間の隠遁生活を送った洞窟(Grotta di San Benedetto)を含む、聖域です。
聖ベネディクトは、アニエネ(Aniene)川流域に最初の修道会を設立し、聖なる岩窟(Sacro Speco)は、6世紀にはすでに、崇拝の場となりました。
現在、修道院は上側と下側の二つの教会と、いくつかの小礼拝堂から構成され、岩肌に寄り添うように建っています。
聖ベネディクトの洞窟(Grotta di San Benedetto)は下側の教会(chiesa inferiore)にあります。下側の教会(Chiesa Inferiore)には、13世紀から14世紀にかけて、キリストの受難、聖母の生涯、そして聖ベネディクトの生涯という三つの主要テーマが描かれました。
また、下側には、聖人が羊飼いたちに説教したとの伝承があるもう一つの洞窟、羊飼いの洞窟(grotta dei pastori)があり、9世紀のフレスコ画がここで発見されたそうです。(私はみていません。)
現存最古とされているアッシジの聖フランチェスコの肖像画があるのも、下側です。聖グレゴリオ礼拝堂(Cappella di San Gregorio)にあります。
下側の教会(Chiesa Inferiore)に対して、上側の教会(Chiesa Superiore)には、より新しい装飾が施されています。
下側の教会(Chiesa Inferiore)へは、上側の教会(Chiesa Superiore)から行きます。
内観:上側の教会(Chiesa Superiore)
さっそく、見学です。
まず上側の教会(Chiesa Superiore)に行きます。吹き抜けになっている廊下を通り抜けると、左手にあります。
三つの小さなアーチの向こうにある階段から行きます。
(上側の教会(Chiesa Superiore)について(1)は脚注に書きます。)
内観:聖ベネディクトの洞窟(Grotta di San Benedetto)
階段をおりて、右(西)側にあります。
聖ベネディクトの洞窟(Grotta di San Benedetto)は、ベネディクトが修道生活の最初の3年間を過ごした洞窟です。修道士ロマーノが上から下げた籠で食料を補給しました。
岩のところに白い籠が置いてあるのはイメージ作りかもしれません。
岩壁が露出しているものの、皇帝ネロの別荘の大理石柱を再利用した壁で囲まれるなど、時代とともに様々な改変が行われ、本来の広さも形も失われてしまいました。
ご覧の通り、内部の一部は、13世紀に床モザイクで舗装されています。豪華絢爛。
内観:聖グレゴリオ礼拝堂(Cappella di San Gregorio)
上の写真の左端に少しだけ写っている階段から、聖グレゴリオ礼拝堂(Cappella di San Gregorio)に行けます。
下の写真の中で右矢印の表示がある、存在感の小さい方の階段です。
螺旋状になっている階段をあがって、南西の端にあります。
ここ聖グレゴリオ礼拝堂(Cappella di San Gregorio)に、私の目当ての壁画があります。
もちろん、入り口にいる聖グレゴリオもハンサムで良いのですが。
聖グレゴリオ礼拝堂(Cappella di San Gregorio)に入ると、右に、アッシジの聖フランチェスコがいます。
”Fr. Franciscus” と書いてあり、光背がなく、聖痕もないことから、この肖像画はフランチェスコが聖痕を受けた1224年以前のものと考えられ、現存する最古の肖像とされています。
足元には正体不明の小人がいます。
誰なんでしょうねえ?この人。
見学の終わりに
Monastero di San Benedetto、美しい景観と、壁画が素晴らしいです。壁画の中には、現存最古とされているアッシジの聖フランチェスコの肖像画があります。
脚注(1) 上側の教会(Chiesa Superiore)について. ↩️
上側の教会(Chiesa Superiore)は、もともと東西に向き、切妻のファサードがありました。13世紀末に南北に向く形に変更されました。長方形のプランで、高さの異なる二つの柱間に分かれています。
案内板の平面図と断面図です。
なお、上側の教会(Chiesa Superiore)の第1柱間にある説教壇(pulpito)は13世紀前半のもの。第1柱間の壁画は14世紀のシエナ派の巨匠とその弟子たちによるもの、第2柱間の壁画は15世紀初頭のウンブリア・マルキジャーナ派の画家たちによるものです。
三つの小さなアーチの向こうには祭壇があり、モザイクで装飾されています。
食堂には14世紀の最後の晩餐があります。最近修復され、かつての輝きを取り戻しました。
〜おまけ〜
ロマネスクと全く関係ないのですが、すごく幸せな気持ちになったという話です。
上側の教会(Chiesa Superiore)の近く、吹き抜けになっている廊下を通り抜けて、正面にある部屋に、かなりご高齢の、威厳のありそうな修道士が座っていました。
実は、私は次に行く修道院と勘違いして回廊を探していたんです。(私って馬鹿。)
もしかして教えてもらえるかしらと思い、私が扉をノックすると、彼はゆっくりと立ち上がって出迎えてくれました。彼は心地の良い低い声で「あなたが求めるものは、下側の教会にあります。」と言い、私の名前をききました。そして穏やかに微笑みながら「私はドン・ジョヴァンニです。聖ベネディクトがともにありますように。」と、私の額に十字をきってくれました。
たったそれだけなんですが、なぜだか、私はすっごく爽やかで明るい気持ちになりました。
このまま澄んだ心でいようと思っています。
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