マレストロワ(Malestroit)

2025年5月11日(日)、最初に訪れたのはMalestroit、Église Saint-Gilles de Malestroitです。

ここは、身廊の南外壁に、ブルターニュ地方では珍しい、たいへん洗練された、表現力豊かな彫刻が埋め込まれています。また、交差部の天井画も良いです。

目次

1. Malestroit .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(金獅子の古泉) .
5. 外観(南壁) .
6. 内観(天井画) .

1. Malestroit

マレストロワ(Malestroit)は、ブルターニュ地域圏モルビアン県にある町で、県都ヴァンヌの約30km北東にあります。

教会は、町の中心にあり、ウスト(Oust)川の右岸に位置しています。

南西側外観

2. 概要

ゾディアック(Zodiaque) la nuit des temps『Bretagne Romane』による概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

この教会は、二つの異なる教会が隣接して建てられている。

元のロマネスク様式の建物は1592年9月の火災で焼失した。この建造物から残っているのは以下の部分である:
・南翼廊。大きく張り出した半円形の窓を持ち、高い平らなバットレスで支えられている。この翼廊には小後陣が接続し、四分球形のヴォールトを持つ。小後陣の窓はわずかに中心からずれている。
・13世紀初頭に建てられた正方形の翼廊。ロマネスク様式の鐘楼の基部を支えている。

・平らな後陣を持つクワイヤ。ロマネスク時代に建設され、半円形の後陣を置き換えたものである。その基礎部分は最近の工事中に発見された。この後陣には泉があり、現在も教会の外で確認できる。

教会のロマネスク様式部分は、サン=コンガール(Saint-Congar)の旧ロガ修道院(ancienne abbaye de Roga)近くの採石場から採掘された、鉄分を含む美しい暗赤色の砂岩で築かれている。

この美しい石材が選ばれた背景には、装飾的な価値に加え、ウスト(Oust)川を利用した輸送の容易さも影響している。

1592年の火災後、身廊が旧跡地に再建され、北側に副身廊が追加されて倍の規模となった。

両身廊は長さ30m、幅8mである。クワイヤを含む五つの柱間で構成される。二つの身廊は、多角形の柱の上に架かる尖頭アーチで互いに繋がっている。

南壁には驚くほど多様な美しい彫刻が施されている。おそらく火災で焼失したロマネスク様式の建物から移されたものであろう。ブルターニュ地方では極めて稀な、洗練され、表現力豊かな彫刻の好例であり、立体彫刻として見事に仕上げられている。

牛の彫刻が見られるが、これは間違いなく四福音書記者の象徴の一部を成していたものである。また、聖マルコの象徴とは見えず、むしろサムソンがライオンの口を開けさせている場面を表現したと思われるライオン像もある。

顔を歪めた美しい曲芸師が柱頭の隣に立つ。断片から、悪徳とその罰が図像の一部であったことが示唆される。樽から酒を飲む男がその証である。酩酊…あるいは大食であろうか?

私は、樽と男性は、樽型の楽器を奏でる音楽家を彫ったものの可能性があるように思います。樽型の楽器を奏でる音楽家の彫刻は、スペインの例になりますが、モアルベス・デ・オハダ(Moarves de Ojeda)、ミニョン・デ・サンティバニェス(Miñón de Santibáñez)など、複数のロマネスク教会にあります。

2匹の竜に引き裂かれる蛙など、説明が難しい主題もいくつかある。

後陣には、同じ技法と品質の持ち送りが数点、今も残っている。

それらのすべては注目に値し、かつては素晴らしい美しさだったであろう全体像を知ることができないことを残念に思う。

この後は、教会の中にあったリーフレットや案内掲示を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

教会の中にあったリーフレットによる平面図です。東が上です。

リーフレットより

灰色:12世紀
緑色:16世紀
茶色:17世紀

4. 外観(金獅子の古泉)

東に行きます。

南東側外観

金獅子の古泉(Fontaine antique du Lion d’Or)。
ケルト時代には崇拝の対象であり、キリスト教時代には礼拝の泉として、マレストロワ(Malestroit)の起源となった。
12世紀までは、半円形の後陣内部で礼拝の場として使われていた。

井戸の上にある持ち送りは、13世紀に平らな後陣に改築されたロマネスク様式の聖堂後陣の軒下から移設されたものである。

持ち送りが見当たらないので、私はインターネットで検索してみました。ネット上の画像によると、以前は確かに井戸の上にロマネスク様式の持ち送りがあったようです。

金獅子の泉(Fontaine du Lion d’Or)

5. 外観(南壁)

南に行きます。

南側外観

身廊の南壁に彫刻が埋め込まれています。

南壁の彫刻1

おそらく1592年9月の火災で焼失したロマネスク様式の建物から移されたものと考えられています。

南壁の彫刻2

ブルターニュ地方では珍しい、たいへん洗練された、表現力豊かな彫刻です。

南壁の彫刻3

「獅子を裂くサムソン」(『士師記』14章)だと思います。

南壁の彫刻4

雄牛だと思います。

南壁の彫刻5

アクロバット(曲芸師)だと思います。

南壁の彫刻6

樽型の楽器を奏でる音楽家、または、樽から飲む男性だと思います。

南壁の彫刻7

6. 内観(天井画)

教会の中に入ります。

北側の身廊にて南東を向く

南側に行きます。

南側の身廊にて北東を向く

交差部をみます。

交差部

交差部に天井画があります。

ロマネスク様式の天井画
両義的な姿、象徴的なイメージ、強い象徴性を持つ抽象的な存在。これらの三つの動物像は、2011年に4層の古い漆喰の下から発見された。今は、800年間も知られていなかったこれらの素晴らしい生き物を、ただ賞賛しよう。

交差部の天井画


この象は「城」と呼ばれる駕籠を背負っており、マレストロワの領主たちが公爵の宮廷で勢力を拡大したことを暗示している。

天井画(象)

「ケンタウロス」のようなハイブリッドな生き物
ギリシャ神話において、人間と馬が融合して生まれたケンタウロスは、人間の知性と動物の力を併せ持つ存在である。

天井画(ハイブリッドな生き物)

雌ライオン、ヒョウ、ユニコーン?
その優雅な動きは、跳躍するネコ科の動物そのものである。

天井画(雌ライオン、ヒョウ、ユニコーン?)

Église Saint-Gilles de Malestroit。身廊の南外壁に埋め込まれているのは、ブルターニュ地方では珍しい、たいへん洗練された、表現力豊かな彫刻です。また、交差部の天井画も良いです。

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