2024年9月4日(水)の最後、五番目に訪れたのはBurgos、ブルゴス博物館(Museo de Burgos)です。
ここは、サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院(Monasterio de Santo Domingo de Silos)にあったエナメル細工や象牙細工の作品数点が展示されています。また、柱頭彫刻のコレクションも素晴らしいです。
2024年、博物館は火曜から土曜10:00〜14:00と16:00~19:00(10月~6月)または17:00~20:00(7月~9月)、日曜祝日は10:00 – 14:00に開いていました。有料(€1)でした。
Burgos では、2か所に行きました。以下のように2回に分けて書きます。
<1> Monasterio de San Juan
<2> Museo de Burgos
目次
1. Burgos へ .
2. 概要 .
3. URNA DE SANTO DOMINGO .
4. ARQUETA DE ESMALTES .
5. ARQUETA DE MARFIL Y ESMALTES .
6. 三つの柱頭 .
1. Burgos へ
ブルゴス(Burgos)は、カスティーリャ・イ・レオン州ブルゴス県の県都で、首都マドリードの約210km北にあります。
博物館は、大聖堂やMonasterio de San Juanのある中心部から川を渡り、南に行ったところにあります。

2. 概要
博物館の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
ブルゴス博物館は、20世紀半ばから、1545年に建てられたミランダ邸(Casa de Miranda)と、1547年に建てられたイニゴ・アングロ邸(Casa de Iñigo Angulo)を占めている。考古学部門は、州内で行われた発掘調査で発見された、先史時代から西ゴート時代までの数多くの遺物を保管・展示している。アタプエルカ(Atapuerca )やオホ・グアレニャ(Ojo Guareña)などの先史時代の遺跡、ビジャヌエバ・デ・テバ(Villanueva de Teba)やミラベチェ(Miraveche)などの原史時代の遺跡、クルニア(Clunia)などのローマ時代の遺跡からの出土品が特に注目される。
ラ・ブレバ(La Bureba)からの初期キリスト教時代の遺物や、キンタニージャ・デ・ラス・ビニャス(Quintanilla de las Viñas)からの西ゴート時代の遺物も非常に重要だ。美術部門では、ブルゴスの古い修道院の作品を展示している。その中には、12世紀のサント・ドミンゴ・デ・シロス(Santo Domingo de Silos)の祭壇画、15世紀のサン・ペドロ・デ・テハダ(San Pedro de Tejada)の祭壇画、同じく15世紀のフアン・デ・パディージャ(Juan de Padilla)の墓などがある。また、ルネサンスやバロック時代の絵画や彫刻の優れたコレクションも所蔵しており、その中には、フアン・リシ修道士(fray Juan Rizi)が描いた、フアン・デ・サンビトーレス修道士(fray Alonso de Sanvitores)の素晴らしい肖像画がある。19世紀および20世紀のブルゴスの芸術家による一連の作品は、非常に重要だ。
この後は、作品の隣に掲示してあった説明を引用する時に太字で書きます。
3. URNA DE SANTO DOMINGO
博物館には、先史時代から現代までの幅広い遺物や作品が保管・展示されています。
ロマネスク時代の作品のうち、私が気になったものを厳選して四つ(そのうちのひとつは柱頭3個)をご紹介します。
四つのうち、三つがサント・ドミンゴ・デ・シロス修道院(Monasterio de Santo Domingo de Silos)にあったものです。
サント・ドミンゴの壺(URNA DE SANTO DOMINGO)
シロス工房、1165年~1170年頃
出所:サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院(Monasterio de Santo Domingo de Silos)

聖人の墓を豪華にするためのエナメル製のフロントです。シロス工房(Taller de Silos)と書いてありますから、12世紀後半には修道院内にエナメルの工房があったようです。
4. ARQUETA DE ESMALTES
続いても、エナメル細工です。
エナメル細工の箱(ARQUETA DE ESMALTES)
リモージュ工房、12世紀
出所:サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院(Monasterio de Santo Domingo de Silos)

こちらはシロス工房(Taller de Silos)ではなく、リモージュ工房(Taller de Limoges)と書いてあります。エナメル細工で有名なリモージュの職人たちの手によるもののようです。
5. ARQUETA DE MARFIL Y ESMALTES
象牙とエナメル細工の箱(ARQUETA DE MARFIL Y ESMALTES)
クエンカ工房、ムハンマド・イブン・ザヤン(Muhammad ibn Zayan)、1026年
出所:サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院(Monasterio de Santo Domingo de Silos)

こちらもシロス工房(Taller de Silos)ではなく、クエンカ工房(Taller de Cuenca)と書いてあります。
ところどころに、エナメル細工があります。

圧巻は、おどろくような技巧の象牙細工です。

6. 三つの柱頭
私が目をうばわれた柱頭彫刻があります。
ロマネスク様式の柱頭(CAPITELES ROMANICOS)
12世紀
出所:サンタ・マグダレナ・デ・タルダホス教会(Iglesia de Santa Magdalena de Tardajos)

Románico Digital による情報です:
タルダホスのマグダレナ教会にあった三つの柱頭
タルダホス(Tardajos)は、重要な街道沿いにあるローマ時代の都市の跡地にあり、1041年にサン・ペドロ・デ・カルデニャ(San Pedro de Cardeña)への寄贈に関する中世の文書に登場する。1069年には、アルランサ(Arlanza)への別の寄贈が記録されているが、最終的には、その管轄権は、ブルゴス司教、王立病院、エルサレムの聖ヨハネ騎士団の間で分割された。失われたマグダレナ教会からは、同じシリーズの一部である三つの見事な柱頭が保存されている。
三つの柱頭をみます。
Santa Magdalena de Tardajosの柱頭1
翼があり、鋭い爪を持っています。
手足だけを見るとまるで悪魔ですが、顔や翼が美しいので、なんとも不思議な生き物です。

Santa Magdalena de Tardajosの柱頭2
翼をたたんだ鳥と、翼をひろげた鳥が彫られています。強そうで立派なので、鷲たちかもしれません。

Santa Magdalena de Tardajosの柱頭3
女性のような美しい顔を持つ、2体の幻想的な生き物が向かいあっています。

2体ともライオンのような体に翼を持ち、長い髪をなびかせています。

三つとも、とても高品質な作品だと思います。
ブルゴス博物館(Museo de Burgos)。サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院(Monasterio de Santo Domingo de Silos)にあったエナメル細工や象牙細工の作品数点が展示されています。また、柱頭彫刻のコレクションも素晴らしいです。
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