2023年5月4日(木)、四番目の訪問地は Hoyos。Iglesia de Santa María です。
ここは、外観では後陣の持ち送りと柱頭、内観では勝利アーチの柱頭と台座が良いです。
訪問はガイドツアーを予約します。
私は事前に Servicio de guía の facebook(Conoce Valdeolea Cantabria)にメッセージを送って、Valdeolea にある、5か所の教会訪問をお願いしました。
目次
Hoyos へ .
概要 .
平面図 . .
東側外観(後陣) .
内観(勝利アーチ) .
Hoyos へ
ガイドのSoniaと私はサン・マルティン・デ・オヨス(San Martín de Hoyos)から北東に約2km、4分ほど運転して、丘の上の教会に着きました。11:20頃のことです。
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教会は、Hoyosの村の北端にあります。
概要
Soniaがくれた英語の案内プリントによる概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
Hoyos村とValdeolea地域の他の村についての最初の記述は、1275年の文書にある。この文書には、Sandoval兄弟がこれらの村に所有していた不動産をAguilar de CampóoのSanta María修道院に寄付したことが記されている。これは、修道院がHoyosに教会を建てるためであり、彼らはそこに家族用の墓所を持つことができた。
ロマネスク様式の教会は、身廊が一つで、鐘楼、ポーチ、聖具室、洗礼祭室が加えられた。1632年、専用の入り口を持つ聖具室が南壁を背にして建てられ、屋根まで達して南コーニスを覆っている。
この後も、案内プリントを引用するときは太字で書きます。
平面図
現地には平面図が見当たりませんでした。Románico Digital による平面図です。東が右です。
![](https://emiliaromanica.com/wp-content/uploads/2023/10/Romanico-Digital-11-1024x589.png)
さっそく、見学です。
東側外観(後陣)
後陣の持ち送りや柱頭に彫刻があります。
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南から北へと順にみます。
1: 鶴かコウノトリのどちらかが、蛇を巻き付けている。
2: 僧侶か男性が座っており、膝の上に鶴嘴(pick)か巻物を持っている。
3: 大きな耳を持つウサギ、背中を見せており、頭を回して振り返っている。
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4: 船の舳先。
5: 膝の上に本を持つ座る男性。
6: 膝の上に大きな鶴嘴(pick)を持つ石工。
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7: 対峙する一対のハルピュイア。
8: フードを被った球とヤシの葉。
9: 二つの実と茎。
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10: 四つの実か玉。
11: 口を開けている動物。背中を見せており、頭を回して振り返っている。
12: 4枚の葉。
![](https://emiliaromanica.com/wp-content/uploads/2023/10/0F7A1961-1024x683.jpg)
13: 大きなアカンサスの葉。
14: 渦巻く茎。
15: 両端にロールを持つカヴェット。(四分円の形をしたモールディング)
16: 両端にロールがあり、二つの三角形が接しているカヴェット。
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17〜18: 船の舳先。
19〜20: 北の内陣。
21: 垂直の巻き葉。
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北壁には九つの持ち送りがあり、全て凹型または船首型をしている。
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美しい後陣です。
内観(勝利アーチ)
教会の中に入ります。
![](https://emiliaromanica.com/wp-content/uploads/2023/10/0F7A1973-1024x683.jpg)
勝利アーチをみます。
左の柱頭は、中央に両手を上げた威厳のあるキリストが描かれている。
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左側には二人の使徒が十字架を携えている。右側には、アラバスターの香油瓶を持つマグダラのマリアと思われる人物と、その後ろに香炉を持つサロメのマリアがいる。衣服のひだはサンティリャーナ・デル・マールの回廊にあるものと似ている。アバクスは、左隅にある動物の頭の口から出ている茎が波打っている。
右の柱頭には、反対側の柱頭のキリストのように両手を高く掲げたダニエルが座っている。ダニエルの両脇にはライオンがおり、足を舐めている。アバクスには、高さ4分の3の平らなアーケードがあり、これはSan Andres de Arroyo修道院に典型的な装飾である。
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台座をみます。
台座は、シェブロン(chevron、ジグザグの繰り形)で装飾された四角い柱礎の上に、トルス(torus、大きな凸状の繰り形)、スコティア(scotia、凹形をした操り形)、アストラガル(astragal、小さな凸状の繰り形)、が丁寧に彫られている。さらに広い台座の上に乗っている。
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確かにシェブロン、トルス、スコティア、アストラガルが丁寧に彫られています。
でも、トルスに足のようなものが二つついていることについては、案内プリントの著者は全く言及しないんですね。私は、かなりこの足が好きなんですが。
右側の台座には二つのフルール・ド・リス(アイリスの花を様式化した意匠)がある。
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一方で、案内プリントの著者は、フルール・ド・リスについてはしっかりと言及していました。フルール・ド・リスの方が立派ですものね。
Iglesia de Santa María。外観では後陣の持ち送りと柱頭、内観では勝利アーチの柱頭と台座が良いです。
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