ブルグシオ(Burgusio)

2023年8月11日(金)の最後、二番目に訪れたのは、聖ニコラス教会(St.-Nikolaus-Kirche in Burgeis / Chiesa di San Nicolò a Burgusio)です。

ここは、フレスコ画が素晴らしいです。

2023年は4月14日から10月13日までの、毎週金曜14:00のガイドツアーでのみ見学可能でした。ガイドツアーは予約不要で、ドイツ語とイタリア語で行われます。有料(€3)です。

目次

1. Burgusio へ .
2. 概要 .
3. 航空写真 .
4. 外観 . 
5. 内観 . 
 5-1. ロマネスク建築とゴシック建築
 5-2. ゴシック様式の天井画
 5-3. ロマネスク様式のフレスコ画
Pension. 

1. Burgusio へ

私はツィリス(Zillis)から東に約170km、150分ほど運転して、村はずれの小さな教会に着きました。13:45頃のことです。

北東側外観

私は国境を越えました。ツィリス(Zillis)は🇨🇭スイス(グラウビュンデン州)でしたが、ここ Burgusio は🇮🇹イタリア(トレンティーノ=アルト・アディジェ州)です。

イタリアですが、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の公用語はドイツ語とイタリア語で、主にドイツ語が話されています。

14:00になり、ガイドが来ました。

ガイドツアーの参加者たちは、私を除く全員がドイツ語を話す人たちでした。幸い、ガイドはイタリア語も話せるとのことで、他の参加者たちのためにドイツ語で案内を終えた後で、私のためだけにイタリア語で案内をしてくれました。

2. 概要

教会の外に案内掲示がありました。私が全文を太字で和訳します。

St.-Nikolaus-Kirche in Burgeis / Chiesa di San Nicolò a Burgusio

1199年に聖別された教会は、1533年の天井画に描かれた桶に入った道化師の不思議な絵でよく知られている。13世紀に描かれた貴重なフレスコ画は、長い間、漆喰の下に隠され、後陣は壁で覆われていた。フレスコ画は、1971年から1973年にかけて行われた修復工事で初めて姿を現した。特に後陣の樽型ヴォールトに描かれたマンドルラのキリスト像は、隣接するMarienberg 修道院のフレスコ画と様式的な類似性を示している。フレスコ画の断片には、メランコリックなまなざしの人魚の胴体が描かれている。アルプスの山中で人魚の肖像を見つけるのは意外かもしれないが、このようなハイブリッドな生き物は、ロマネスクの図像学では無秩序と混沌を象徴するモチーフとして繰り返し登場する。
アルプスの Via Romanica に関する詳細は entierodelcielo.it で入手可能。

この後は、ガイドから聞いた内容を引用するときに太字で書きます。

3. 航空写真

現地には平面図は見当たりませんでした。Googleマップによる航空写真です。

Googleマップによる航空写真

4. 外観

鐘楼は14世紀のもの。

鐘楼の最下層部分が後陣です。

南東側外観

教会は、年に2度、5月と12月に聖ニコラウスのための祝祭が行われる。

5. 内観

教会の中に入ります。

5-1. ロマネスク建築とゴシック建築
身廊にて東を向く

壁画が残っているところが、1199年にロマネスク様式で建築されたときの横幅である。

14世紀半ばに、ゴシック様式で南側と西側に拡張された。

長さは、マトロネウム(14世紀)より西側が14世紀の拡張部分で、それより東側が1199年にロマネスク様式で建築されたときの長さである。

12世紀の建物は、今よりずっと小さかったんですね。

身廊にて西を向く
5-2. ゴシック様式の天井画

天井は、1533年にゴシック様式の絵画で装飾された。

この天井画が有名らしいんです。

「愚か者が長生きすると老人になる」と書かれた碑文の下には、洗い桶に入った愚か者が描かれている。

「愚か者が長生きすると老人になる」と書かれた碑文

愚か者は手酌でワインを飲んでいます。

洗い桶に入った愚か者

このあたりは Strada del vino(ワイン街道)と呼ばれるワインどころです。16世紀頃の暮らしを想像すると、面白いです。

5-3. ロマネスク様式のフレスコ画

東側にあるロマネスク様式のフレスコ画をみます。

身廊にて東を向く

内陣にはゴシック様式の祭壇があり、後陣は塞がれていた。20世紀にオーストリア人が修復調査し、フレスコ画を再発見した。

こちらのフレスコ画は、左に神の手があり、右に小麦の束を持つ男性がいます。土の実りを主のもとに献げ物として持って来たカイン(創世記4章)だと思います。

カイン(創世記4章)

肘の描き方が独特です。

カインの下には、人魚が描かれています。

人魚

胸と臍の描き方が独特です。

内陣の天井には、イエスと、たぶん四福音書記者が描かれています。

イエスと、たぶん四福音書記者

残念ながら北側部分は損傷が激しいです。きっと、鷲(聖ヨハネ)と有翼のライオン(聖マルコ)が描かれていたと思います。

中央には、右手で祝福し左手に本を持つイエス。

イエス

この教会のフレスコ画は、隣接するクロスター・マリエンべルク(Kloster Marienberg)のフレスコ画とよく似ています。

こちらの教会ではイエスの持つ本は閉じていますが、Kloster Marienberg ではイエスの持つ本は開いています。

なんでそんな風に描いたのか、考えると面白いです。

有翼の牛(聖ルカ)

聖ルカ

有翼の人(聖マタイ)

聖マタイ

聖マタイがとても美しく描かれています。翼も手もしなやか。

聖ニコラス教会(St.-Nikolaus-Kirche in Burgeis / Chiesa di San Nicolò a Burgusio)。フレスコ画が素晴らしいです。

〜Pension〜

この日の全ての見学を終えた私は、北に約7km、12分ほど車を運転して、San Valentino Alla Muta という村にある Pension(ホテル風民宿)にチェックインしました。寝室、シャワー・トイレという間取りです。車は敷地内に駐車できました。

ちなみに、過酷な猛暑が続くなか、涼しいこのあたりは避暑地として大人気です。だから長期滞在する人たちでどこの宿泊施設もすぐに予約で満室になります。

2泊(朝食込み)の総額が€ 148でした。

寝室

Pension のスタッフは親切で、私は快適に過ごしました。

ちなみに、この Pension は、オーストリアのナウダース(Nauders)という村までわずか15kmです。そこにはロマネスク様式のフレスコ画があり、役場が鍵を管理していて月曜から金曜の8:00〜12:00に開きます。私は予定を調整できず、訪問しませんでした。このあたりには、他にも行きたい場所が複数あるので、いつか訪問したいです。

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