オーゾン(Auzon)

2022年8月9日(火)、最初に訪れたのは Auzon。Église Saint-Laurentです。

ここは、有名な、聖母と聖ヨセフが手をつないでいる柱頭彫刻があります。私は「ああ、ここに、こんな風にあったの」と、しばらく動けなくなりました。

Auzon へ

実は、この日の最初に向かった教会はブルノンクル=サン=ピエール(Bournoncle-Saint-Pierre)という村にある Église Saint-Pierre という教会でした。この教会は、とあるネットに「Du 16/07 au 15/08/2022, tous les mardis de 10h à 16h」と書いてあったので、日程をやりくりして行ってみたのですが、閉まっていました。役場に助けを求めましたが「教会の隣の家に住む人が鍵を管理しているので、私たちは知りません。」と言うばかりでした。さらに日程をやりくりして、合計3回も行きましたが、一度も中に入ることはできませんでした。いつの日か、中に入ることができたら、その時にブログに書きます。

私はブルノンクル=サン=ピエール(Bournoncle-Saint-Pierre)から北東に13分ほど車を運転して、かわいい村につきました。11時半頃のことです。

Église Saint-Laurent(東側外観)

外観をみます。

Église Saint-Laurentの外観:全体

東側と南側に広場と通りがあり、人の往来がそちらに集中するようです。

東側の五角形の後陣と、

Église Saint-Laurent(東側外観)

南扉口のポーチがまず目に入ります。

Église Saint-Laurent(南西側外観)

後ほどご紹介する通り、後陣とポーチには凝った装飾がありますが、西扉口は非常に簡素です。

Église Saint-Laurent(西側外観)

教会の中に入ります。

フロアプラン

現地には、フロアプランは、みあたりませんでした。ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps の『Auvergne Romane』によるフロアプランを載せます。東が上です。

ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps の『Auvergne Romane』より

Église Saint-Laurent の概要

現地には、教会の概要(歴史や建築に関する案内)は、みあたりませんでした。ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps の『Auvergne Romane』による案内の一部を抜粋して太字で和訳しつつ、私が撮影した写真を載せます。

教会は岩山の東端にある。10世紀に建てられた城を中心に、後に「オーヴェルニュの13の良い町」のひとつとなるオーゾン村が発展した場所である。

教会の起源は不明。1117年、クレルモンの司教となった前修道院長アイメリック(Aimeric)によってラ・シェーズ・デュ(La Chaise-Dieu)に譲渡された。

身廊はこの時代にさかのぼる可能性がある。四つの柱間を持つユニークなものである。

Église Saint-Laurent(内観、身廊にて東を向く)

聖域は内側が半円形、外側が五角形で、壁の厚さに組み込まれた三つの小後陣がクワイヤに直接開口している。

Église Saint-Laurent(内観、鐘楼下にて東を向く)

このプランは、隣接するメラ(Mailhat)教会のものと全く同じである。

私は三日後の2022年8月12日にメラ(Mailhat)に行きました。建築はもちろん、彫刻が良くて、心がふるえました。大好きな教会です。

オーゾンとメラ、同じ建築家が両方の教会を手がけた可能性もないとはいえないだろう。

うん、うん、確かに!

もうひとつの特徴は、教会の南側にある開放的なポーチ「ガニヴェール(ganivelle)」である。ブリウドのものをモチーフにしている。

Église Saint-Laurent(外観、南扉口前のポーチ)

アーケードは柱頭の上に乗っており、

Église Saint-Laurent(南扉口前のポーチ)

そのうちの一つは、受胎告知、

Église Saint-Laurent(南扉口前のポーチの柱頭彫刻、右端が受胎を告知される聖母)

羊飼いへの告知、ベツレヘムの飼い葉おけ、横たわる聖母、慰めるようにマリアの手に触れるヨセフなど、キリストの降誕に捧げられたものである。

Église Saint-Laurent(南扉口前のポーチの柱頭彫刻、左端が聖ヨセフ)

内部にも、価値ある柱頭がある。そのうちのひとつ、二人の使徒の間にキリストが描かれているものは、初期キリスト教美術でおなじみの、キリストが新しいモーゼであるペトロに律法を授ける「律法の授与図(traditio legis)」という古いテーマに触発されたものと思われる。

Église Saint-Laurent(内観、身廊の柱頭彫刻)

クワイヤには、ロマネスク様式(12世紀後半)の美しい木製の十字架が掛けられている。

Église Saint-Laurent(内観、クワイヤの十字架)

この非常に興味深い教会には、他にも多くの興味深い特徴があるが、それらはロマネスク美術に属するものではない。壮麗な聖母像(15世紀)、同じ画家による聖ペトロ像、14、15、16世紀の重要な絵画、ワイン生産者の守護聖人である聖ヴェルニ像、などである。

ゾディアックでは特に言及されていないロマネスク美術について、これからご紹介します。

Église Saint-Laurent の外観:後陣

後陣は、持ち送りも良いんです。

Église Saint-Laurent(東側外観)

人や、動物がいて、にぎやかです。

Église Saint-Laurent(東側外観、持ち送り)

柱頭彫刻も、魅力的です。

Église Saint-Laurent(東側外観、柱頭彫刻)

その柱頭彫刻の上にある、アーチの部分も、鳥や植物などで惜しみなく装飾されています。

Église Saint-Laurent(東側外観、柱頭彫刻の上のアーチ)

かわいいったら、ありゃしない。

Église Saint-Laurent の外観:南扉口の金属細工

南扉口も装飾されています。ロマネスク期(12世紀頃)の金属細工です。

Église Saint-Laurent(南側外観、南扉口)

Église Saint-Laurent の外観:南扉口前のポーチの柱頭彫刻

南扉口前のポーチには有名な生誕の柱頭の他にも、柱頭があります。

Église Saint-Laurent(南扉口前のポーチ)

獅子の穴の中のダニエル(旧約聖書のダニエル書6章)

Église Saint-Laurent(南扉口前のポーチ「獅子の穴の中のダニエル」の柱頭彫刻)

Église Saint-Laurent の内観:柱頭彫刻

教会の中の柱頭彫刻をみます。ゾディアック(Zodiaque)で言及されていた「律法の授与図(traditio legis)」の他にも、たくさんあります。

書物を示しています。

Église Saint-Laurent(内観、身廊の柱頭彫刻)

キョロちゃんたち

Église Saint-Laurent(内観、身廊の柱頭彫刻)

二股人魚たち

Église Saint-Laurent(内観、クワイヤの柱頭彫刻)

グリフォンたち

Église Saint-Laurent(内観、クワイヤの柱頭彫刻)

向かい側にも、グリフォンたち

Église Saint-Laurent(内観、クワイヤの柱頭彫刻)

二股人魚たち

Église Saint-Laurent(内観、クワイヤの柱頭彫刻)

魅惑の流し目。

Église Saint-Laurent。オーゾン川近くの岩山の上に花ひらいたかわいい村の教会です。後陣の持ち送りとアーチと柱頭の彫刻、南扉口前のポーチの柱頭彫刻、南扉口の金属細工、さらには教会内の柱頭彫刻と、必見のロマネスク美術の宝庫です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です