2025年5月17日(土)の最後、四番目に訪れたのはPoncé-sur-le-Loir、Église Saint Julienです。
ここは、身廊の絵画が素晴らしいです。
2025年夏期、教会は毎日9:30〜18:00に開いていました。
目次
1. Poncé-sur-le-Loir .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 内観(聖水盤と洗礼盤) .
5. 内観(彫刻) .
6. 内観(北壁の絵画) .
7. 内観(南壁の絵画) .
8. 内観(西壁の絵画) .
1. Poncé-sur-le-Loir
ポンセ=シュル=ル=ロワール(Poncé-sur-le-Loir)は、ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏サルト県にあり、県都ル・マンの約43km南東に位置します。
教会は、ロワール渓谷を見下ろす丘の上にあります。

2. 概要
教会の中にリーフレットがありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
伝説によると、ヴィラ・ポンシアクス(Villa Ponciacus)を訪れた後、ル・マンの初代司教である聖ユリアヌスは、そこに教会を建てたいと望んだ。必要な資金を得るため、彼は裕福なエヴァに頼んだが、彼女は拒否した。しかしエヴァは悪霊に悩まされていた。それを知った聖ユリアヌスは、彼女を癒す手配をした。すると彼女は、聖ユリアヌスが教会を設立できるよう、自分の財産を聖ユリアヌスに捧げた。その教会は、後に聖ユリアヌス教会となった。
ヴァンドーム伯爵の支配下にあったポンセ(Poncé)の教会は、12世紀初頭にヒルデベルト・ド・ラヴァルダン(Hildebert de Lavardin)が率いるル・マン教会参事会に返還された。この建物は、おそらくこの頃に建てられたものと思われる。
数々の改築を経てきたにもかかわらず、身廊は純粋なロマネスク様式の見事な例を示している。大きなアーチが身廊と側廊を隔て、その壁にはロワール渓谷でも最も注目すべきロマネスク様式のフレスコ画が描かれている。ポンセ(Poncé)以外の最も注目すべき作品は、サン・ジル・ド・モントワール(St Gilles de Montoire)と、トロ(Trôo)近くのサン・ジャック・デ・ゲレ(St Jacques des Guérets)にある。
ポンセ(Poncé)のフレスコ画は、1180年頃の作と思われる。
切妻屋根の鐘楼は、16世紀末に建てられたものである。
この後も、リーフレットを引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
リーフレットによる平面図です。東が上です。

黒色:12世紀〜13世紀
緑色:13世紀→18世紀
赤色:19世紀
4. 内観(聖水盤と洗礼盤)
教会の中に入ります。
クワイヤの色鮮やかな絵画が、目に飛び込んできます。
クワイヤの絵画は、19世紀の修復工事を担当した歴史的建造物建築家ラフィレの指導のもと、1892年に制作された。

西扉口を入ったところに、聖水盤があります。11世紀から12世紀のものかな、と思います。

12世紀の注目すべき洗礼盤は、サルト県で最も古いもののひとつとして指定されている。

5. 内観(彫刻)
身廊の柱に柱頭彫刻があります。
様式化された植物のほか、2羽の鳥、植物を吐く顔。
歯を見せる顔、2頭の四足獣。
6. 内観(北壁の絵画)
身廊の絵画をみます。
最も保存状態が良いのは、北壁です。
上層(高窓の間)には騎士たちの戦い、中層(アーチの間)には「イエスの復活」、「不信のトマス」や「金持ちとラザロ」、下層(柱)には音楽家と踊り子などが描かれています。

「金持ちとラザロ」(『ルカによる福音書』16章)の下には、射手と雄鹿が描かれています。

北壁の絵画の詳細をみます。
まず、上段の騎士たちの戦いです。
おそらく第1回十字軍による戦闘の場面である。
第1回十字軍(1096年〜1099年)は、激戦の末、エルサレムの奪還に成功しました。12世紀末に描かれたこちらの絵は、その成功が聖人たちの助力を得た聖戦であったことを示すと同時に、騎士(領主)に対して敬意を表すために、3段のうち一番上の段に描いたのかな、と思います。

次に、中段の聖書の物語をみます。
「イエスの復活」(『マタイによる福音書』28章、『マルコによる福音書』16章、『ルカによる福音書』24章、『ヨハネによる福音書』20章)。
マグダラのマリアが使徒たちにイエスが復活したことを伝えている場面だと思います。

「不信のトマス」(『ヨハネによる福音書』20章)
聖トマスが手を置き、イエスの脇腹の傷を露わにしています。

「金持ちとラザロ」(『ルカによる福音書』16章)
金持ちがぜいたくに遊び暮らしています。この金持ちの門前に、ラザロというできものだらけの貧しい人が横たわっています。

やがて、ラザロは死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれます。
金持ちも死んで葬られますが、彼のところには悪魔が迎えにきています。金持ちは、これから陰府でさいなまれます。

アーチの下には、中央に神格、その両側に天使たちが描かれています。

翼の立派なこと。

最後に、下段の音楽家と踊り子をみます。
体を大きく反らせて踊っています。

7. 内観(南壁の絵画)
南壁をみます。
南壁には、主にイエスの幼年期が描かれています。

「神殿奉献」(『ルカによる福音書』2章)。

「エジプトへの逃避」(『マタイによる福音書』2章)。

「幼児虐殺」(『マタイによる福音書』2章)。
右端で両手をあげている女性は、幼児を虐殺されて嘆く母かもしれません。
細い手指としなやかな曲線を描く袖口が、サン・ジル・ド・モントワール(St Gilles de Montoire)のふわふわの天使を思い出します。

8. 内観(西壁の絵画)
西壁を見ます。
西壁には、主に「最後の審判」(『マタイによる福音書』25章、『ヨハネの黙示録』20章)の場面が描かれています。

中央には、キリスト。マンドルラの中に座り、その左肩にωの文字があります。おそらく、右肩にはΑの文字があったでしょう。
『ヨハネの黙示録』の1章8節、21章6節、22章13節をふまえて、全能者であることを示しています。
『ヨハネの黙示録』22章13節
わたしはアルファであり、オメガである。最初の者にして、最後の者。初めであり、終わりである。
この言葉は、旧約聖書に基づいています。
『イザヤ書』44章6節
イスラエルの王である主/イスラエルを贖う万軍の主は、こう言われる。わたしは初めであり、終わりである。わたしをおいて神はない。
通常のキリストと違うのは、胸や手から出血していることです。

左(南)上には、天上のエルサレム。円の中に選民たちが描かれています。

右(北)上には、義人たちを迎える聖ペトロ。彼らは、天上のエルサレムに入ります。

聖ペトロの下には、「死者の復活」(『ヨハネによる福音書』5章、『コリントの信徒への手紙一』15章)。

「死者の復活」の下には、車輪を使った拷問でさいなまれる人が描かれています。

サン・ジル・ド・モントワール(St Gilles de Montoire)やサン・ジャック・デ・ゲレ(St Jacques des Guérets)との共通点は、もちろんあります。でも、「最後の晩餐」や「イエスの幼年期」など、描かれているテーマは、よりアニエール=シュル=ヴェーグル(Asnières-sur-Vègre)に共通しています。
Église Saint Julien。身廊の絵画が素晴らしいです。
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