マラング(Maringues)

2022年8月6日(土)、三番目に訪れたのは Maringues 。Église Saint-Étienne、またの名をÉglise Notre-Dame です。

ここは、ごっついゴシック様式の身廊を通り抜けると、素晴らしいロマネスク様式の柱頭彫刻が待っていました。

Maringues へ

私はビュロン(Bulhon)から西に8分ほど車を運転し、より大きな町につきました。14時頃のことです。

実は、この日の二番目に訪問したエンヌザ(Ennezat)から、まず、東に17分ほどの場所にあるビュロン(Bulhon)へ行ったんですが、教会が閉まっていたんです。Bulhon については、8月10日(水)に出直して中を訪問できたので、その日の記録として書きます。

で、今回はマラング(Maringues)です。

Église Saint-Étienne(北西側外観)

教会は小高い丘の上にあり、教会前の広場からは、町やピュイの連なりを見渡す大パノラマをみわたせます。

Église Saint-Étienne の概要

教会の外にQRコードがありました。Office de Tourisme Riom Limagne が作成したものです。聞き取った音声ガイドについて、一部を抜粋して太字で和訳します。

あなたは、街の最も古い場所にいます。教会は1050年にはこの小高い丘の上にあり、かつては旧市街全体を囲む要塞に守られていました。ラ・シェーズ・デュの修道士たちによって小修道院が設立され、12世紀になると修道士たちは教区教会と小修道院という二つの機能を共有するには小さすぎる教会を拡大しました。

その後、15世紀にはゴシック様式の天井が作られ、17世紀には北側廊と南側廊に礼拝室が増築され、1855年に鐘楼が建てられました。

フロアプラン

現地には、フロアプランは、みあたりませんでした。ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps の『Auvergne Romane』によるフロアプランを載せます。東が上です。

ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps のAuvergne Romaneより

ロマネスク様式で拡大された後も、かなり改築が繰り返されたことがわかります。

Église Saint-Étienne の外観

南側はゴシック様式です。

Église Saint-Étienne(南側外観)

東側は、後陣に、いくらかロマネスク様式が残ります。

Église Saint-Étienne(東側外観)

持ち送りに目をやると

Église Saint-Étienne(東側外観、持ち送り)

二人組がいました。かわいい。

教会の中に入ります。

Église Saint-Étienne の内観:全体

教会の中の、全体の様子。

Église Saint-Étienne(内観、身廊にて東を向く)

身廊と側廊は、ゴシック様式です。

交差部のあたりまで進むと、ようやくロマネスク様式の柱頭が目に入ります。

Église Saint-Étienne(内観、身廊にて東を向く)

柱頭彫刻をみます。

Église Saint-Étienne の内観:周歩廊の柱頭彫刻

柱頭彫刻は、交差部のものも良いのですが、周歩廊のものが秀逸です。

Église Saint-Étienne(内観、周歩廊の柱頭彫刻)

なんだろう?この二体の生き物?

Église Saint-Étienne(内観、周歩廊の柱頭彫刻)

胸に字が刻まれています。同じ柱頭を別角度から。

Église Saint-Étienne(内観、周歩廊の柱頭彫刻)

”MEDI TAV RI”、、、もしかして、ミノタウロス?頭から生えてるのは、牛の耳と角かも。

こちらには天使がいて、バナーに名前が書いてあります。大天使ミカエルとガブリエル。

Église Saint-Étienne(内観、周歩廊の柱頭彫刻)

こちらには、悪魔に両脇を固められた守銭奴がいます。

Église Saint-Étienne(内観、周歩廊の柱頭彫刻)

さらに、つながれた猿もいます。

Église Saint-Étienne(内観、周歩廊の柱頭彫刻)

同じ柱頭を、別角度から。綱は、馬に乗った男にひかれています。

Église Saint-Étienne(内観、周歩廊の柱頭彫刻)

最後にご紹介する柱頭は、ルカによる福音書/ 17章を描いています。

こういう話です。

ルカによる福音書/ 17章 
11:イエスはエルサレムへ上る途中、サマリアとガリラヤの間を通られた。
12:ある村に入ると、重い皮膚病を患っている十人の人が出迎え、遠くの方に立ち止まったまま、
13:声を張り上げて、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」と言った。
14:イエスは重い皮膚病を患っている人たちを見て、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」と言われた。彼らは、そこへ行く途中で清くされた。
15:その中の一人は、自分がいやされたのを知って、大声で神を賛美しながら戻って来た。
16:そして、イエスの足もとにひれ伏して感謝した。この人はサマリア人だった。
17:そこで、イエスは言われた。「清くされたのは十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。
18:この外国人のほかに、神を賛美するために戻って来た者はいないのか。」
19:それから、イエスはその人に言われた。「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」
20:ファリサイ派の人々が、神の国はいつ来るのかと尋ねたので、イエスは答えて言われた。「神の国は、見える形では来ない。
21:『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ。」

重い皮膚病を患っている人々(シワのある顔たち)が出迎えています。

Église Saint-Étienne(「重い皮膚病を患っている人々」の柱頭彫刻)

彼らは、清くされますが、、、

Église Saint-Étienne(「重い皮膚病を患っている人々」の柱頭彫刻)

その中の一人だけが、戻って来て、イエスの足もとにひれ伏して感謝しました。

Église Saint-Étienne(「重い皮膚病を患っている人々」の柱頭彫刻)

神の国は、見える形では来ない。

Église Saint-Étienne(「重い皮膚病を患っている人々」の柱頭彫刻)

nonne decem mundati sunt et novem ubi sunt”と書かれています。

Église Saint-Étienne(「重い皮膚病を患っている人々」の柱頭彫刻)

清くされたのは十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。

実に、神の国はわたしたちの間にあるってことでしょう。

Église Saint-Étienne 。ごっついゴシック様式の身廊を通り抜けると、素晴らしいロマネスク様式の柱頭彫刻が待っていました。後陣(外観)の持ち送りもお見逃しなく。

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