タウイ(Taüll)<2>

Sant Quirc de Taüll の見学を終え、Sant Climent de Taüll の見学に向かいます。北西に3m、車で4分の距離。

ボイ谷いちばんの有名どころ。

入れ込み具合もすごくて、ここはボイ谷で唯一、プロジェクション・マッピングがあるんです。オリジナルの壁画は剥がされてカタルーニャ美術館に移設されているんですが、後陣の再現イメージを音と光の共演で楽しめるって寸法です。初めての経験でしたが、面白かった!

2019年9月現在、訪問時間は10時~14時と16時~19時で、プロジェクション・マッピングの開始時刻は11:15、12:15、13:15、17:15、18:15 でした。

12:15の上映を見ようと、12時少し前に到着。

さっすが、たくさん観光客が来るんでしょう。大型バスも余裕の大きい駐車場が教会の近くにあります。

とにもかくにも、教会が視界に入ったとたん、その威厳のある姿に驚きます。

後陣

東側

ファサードへ。

西側の主扉口は簡素

フロアプラン付きの案内板がありました。

11世紀または12世紀初めに建築されたロマネスク教会で、ほぼそのままの姿で残されています。12世紀に後陣にフレスコ画が描かれました。荘厳のイエスの壁画は1919年、海外に売られようとしていたところをバルセロナのカタルーニャ美術館に移設されました。

ここで、バルセロナのオリジナルについて。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelona で、2019年9月5日に撮った写真がこちら。 後陣、北側の小後陣と、柱に刻まれた献堂のプレートのオリジナルです。

中二階からの眺め。階下に行けば壁画を近くから見られます。

階下から後陣を見上げると

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelonaに移設されているオリジナル(12世紀)

イエスの辺りを大きく。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelonaに移設されているオリジナル(12世紀)

美術館の無機質な白い壁の中にあっても、これ、大迫力です。なんと威厳のあることか。

さて、話を現地の見学に戻します。

教会の中に入りました。

(現地)ファサードを背にして後陣を向く

上の写真を撮った時は、オリジナルがあった頃の後陣の姿を映写してありました。

プロジェクション・マッピングが終わって、何も映写していない時は、こんな感じ。

(現地)フレスコ画の表面の層を剥がしたあとも、奥の層に若干、色が残っています
(現地)後陣を背にしてファサードを向く
(現地)南側廊
(現地)北側廊

上の写真で左端に写っているのが、北側の小後陣。

残っているフレスコ画は複製ではなく、オリジナルです。

現地に残されているフレスコ画。上の大きな動物が目立ちます。
(現地)大きな動物を拡大。爪が鋭い!

ここ、北側の小後陣については、窓の辺りに、天使を描いたフレスコ画がありましたが、剥がされてバルセロナのカタルーニャ美術館に移設されています。

ここで再びバルセロナのオリジナルについて。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelona で、2019年9月5日に撮った写真がこちら。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelonaに移設されているオリジナル(12世紀)

角度を変えて、拡大

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelonaに移設されているオリジナル(12世紀)

別の角度を拡大

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelonaに移設されているオリジナル(12世紀)

個人的には、この、間延びしたような面立ちと細長い手足が大好きです。

また、北側の小後陣には聖クレメンスの生涯を描いた13世紀の祭壇前面画がありましたが、こちらも現在はバルセロナのカタルーニャ美術館収蔵。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelonaの公式HPから(13世紀)

大胆なようでいて繊細な表現。すばらしい。こんな祭壇前面画が、あんなフレスコ画の前にあったら、、、

しびれます。

さて、バルセロナのオリジナルの話は、これでおしまい。

現地見学に話を戻します。

南側廊には後陣の再現予想図が展示してありました。

色とりどりで、すごいことになってたらしい。

さらに、南側廊には聖母子像と磔刑像が。

(現地)もとは近くの Santa Maria de Taüll にあったものだそう(12世紀~13世紀)
(現地)磔刑像(詳細不明)

ここまで見学したところで、周りがざわついてきました。そろそろプロジェクション・マッピングが始まるようです。

席に着くと、照明が落とされて暗闇に。息をこらして後陣の小さい窓の光を見つめていると、鐘の音が響きました。重い扉が開く音がして、ローマ数字が映し出されたのです。

1123年、献堂の年です。

この後、めくるめく展開に。極彩色で、効果音も工夫してあって、面白かった。

すっかり満足した私は外に出て、もう一度、大迫力の姿を眺めました。

圧倒的な存在感

20世紀の初めに、この場所に来て、あのフレスコ画や祭壇前面画を目の当たりにした人たちは、きっと体がうちふるえる衝撃を受けたと思います。古代ギリシャやローマのような人間を礼讃する傾向からかけ離れ、華美な装飾ともかけ離れた、象徴を簡素に繊細に表す豊かな様式。

Sant Climent de Taüll、カタルーニャ・ロマネスクの至宝です。

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