2025年8月11日(月)の最後、三番目に訪れたのはMarcilhac-sur-Célé、Abbaye Saint-Pierreです。
ここは、百年戦争で一部が廃墟となりましたが、良い彫刻が残っています。
2025年、修道院は毎日昼休みなく開いていました。
目次
1. Marcilhac-sur-Célé .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 南扉口 .
5. ナルテックスと身廊 .
6. ゴシック様式の教会 .
7. チャプター・ハウス .
1. Marcilhac-sur-Célé
マルシアック=シュル=セレ(Marcilhac-sur-Célé)は、オクシタニー地域圏ロット県にあり、県都であるカオールの約30km北東に位置します。
修道院は、セレ(Célé)川の西岸、村の中心にあります。

2. 概要
役場(mairie)のWebサイトによる概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
修道院の歴史
サン=ピエール修道院(Abbaye Saint-Pierre)の存在は10世紀から確認されている。ここには数十人のベネディクト会修道士たちが共同生活を送っていた。金銭や土地の寄進に支えられ、1050年頃、ルエルグ地方のコンク(Conques)にある有名な教会をモデルにした広大な修道院教会の建設に着手した。建設工事は12世紀半ば、物語を刻んだ柱頭で飾られたチャプター・ハウスの完成をもって終了した。
マルシアック(Marcilhac)が最盛期を迎えたのは13世紀のことである。11世紀から12世紀にかけて修道院への多額の寄進が行われ、1030年にカオール(Cahors)司教から取得したロカマドゥール(Rocamadour)の聖域を筆頭に、五つの教区にまたがる資産を所有するに至った。
担当司祭の怠慢により、ロカマドゥール(Rocamadour)の聖域は、紆余曲折を経た長い裁判の末、1193年にトゥール修道院(abbaye de Tulle)に編入された。
百年戦争はケルシー地方を破滅と荒廃へと突き落とした。1373年頃、修道院は略奪され、焼き払われ、一部が破壊された。多くの住民が虐殺された。
戦争が終わるまで待たなければならなかったが、サン=シュルピス(Saint-Sulpice)のエブラール(Hébrard)家からの寄付と遺贈により、修道院教会はゴシック様式で再建された(1450年から1462年)。
この寛大な支援の見返りとして、同家系の修道院長が200年にわたり代々その職に就いた。
宗教戦争もまた修道院と修道院の建物に影響を及ぼした。1570年7月の戦争開始当初から、建物は部分的に損傷を受け、修道士たちの住居は焼き払われた。
修道院は居住不能となり、修道院の敷地も失われたため、修道生活は困難を極めた。1750年にはすでに世俗化の案が提案されていた。
フランス革命の際、修道院教会は教区教会となった。修道院の建物と土地は国有財産と宣言され、売却された。チャプター・ハウスは馬小屋や納屋へと改築されたが、あるパトロンによる修復を経て、1919年にようやく自治体によって買い戻された。
教会の注目すべき点
ロマネスク様式部分(11世紀および12世紀)は、二つの空間から成っている。ひとつは修道院の西側の遺構、もうひとつはチャプター・ハウスである。
この後は、現地にあった案内板を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
(Zodiaque) la nuit des temps『Quercy roman』による平面図です。東が上です。

黒色:12世紀
斜線:15世紀
4. 南扉口
南扉口をみます。
これは修道院の至宝のひとつであり、ヨーロッパで最も古い「物語を刻んだ」ティンパヌムのひとつである。まだカロリング様式の残りを色濃く残しており、やや古風な趣がある。おそらく1080年頃に制作されたものであろう。
中央の最上部には、髭をたくわえ十字ニンブスをまとったイエスが肘掛けのある玉座に座っています。右手で祝福し、左手で本を持っています。
キリストの膝の高さには、翼を広げた2人の天使がいます。
天使たちの足元には、聖ペトロと聖パウロがいます。聖ペトロは鍵を持っています。聖ペトロのアーチには2羽の鳥がいます。

5. ナルテックスと身廊
西に行きます。

西扉口からロマネスク様式の遺構の中に入ります。

ナルテックスがあり、その東隣に身廊があります。
下の写真の右半分に写っている壁と扉口はゴシック様式の教会で、教区教会として使用されています。

南扉口の近くまで行き、ナルテックスをふりかえります。

ナルテックスの柱頭に彫刻が残っています。
こちらは、たぶん「獅子の穴の中のダニエル」(旧約聖書『ダニエル書』6章)だと思います。

6. ゴシック様式の教会
ゴシック様式の教会の中に入ります。

支柱のベースの上に、いくつかの柱頭が置かれています。
こちらの柱頭は、コリント式の渦巻きなど、後述するチャプター・ハウスの柱頭との共通点が多いので、あちらにあったものかもしれません。

7. チャプター・ハウス
チャプター・ハウスに行きます。

柱頭をみます。
二重柱頭では、救済と破滅が対比されています。
向かって左の柱頭には、中央の輪に「Liticia」と刻まれているので、おそらく、歓喜や幸福を表していると思います。三つの輪の中にそれぞれ、神に選ばれた人がいるようです。
向かって右の柱頭では、悪魔と人が戦っているようです。地獄の様子かもしれません。

向かって左の柱頭では、人物たちが両手で持つ本から目を背けているようです。彼らの足元にはロマネスク様式のアーケードの箱があります。
向かって右の柱頭では、髭をたくわえ十字ニンブスをまとったイエスが座っています。イエスは右手で祝福し、左手で本を持っています。

こちらの柱頭では、マンドルラの中に座る神が、ひざまずく選ばれた2人に冠を与えているようです。

Abbaye Saint-Pierre。百年戦争で一部が廃墟となりましたが、良い彫刻が残っています。
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