エスパリオン(Espalion)

2025年8月10日(日)の最後、七番目に訪れたのはEspalion、Église Saint-Hilarian-Sainte-Foy de Perseです。

ここは、ルエルグ地方の田園のロマネスク様式がよく残っています。

2025年、教会は火曜から日曜の午前と午後に開いていました。

目次

1. Espalion .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(東側) .
5. 外観(南側) .
6. 内観 .

1. Espalion

エスパリオン(Espalion)は、オクシタニー地域圏アヴェロン県にあり、県都であるロデーズの約25km北東に位置します。

赤砂岩の教会は、墓地の東隣、村の東外れにあります。

東側外観

2. 概要

教会の外に案内板がありました。私が全文を太字で和訳します。

ロマネスク美術の至宝であり、エスパリオン(Espalion)で最初の教区教会である。

数分間、その素朴なティンパヌム、柱頭、フレスコ画、持ち送り、後陣、そしてルエルグ地方のロマネスク様式に特徴的な櫛型鐘楼をじっくりと眺めてみてほしい。

現在の建物は11世紀末から12世紀初頭に建てられたものである。

伝説によれば、7世紀にサラセン人に首を切られて殉教した司祭である地元の聖人ヒラリアン(Saint Hilarian d’Espalion)の遺骨が、当初の教会に安置されていた。

1060年、コンク(Conques)の文書には、エスパリオン(Espalion)の領主ユグ・ド・カルモン(Hugues de Calmont)がペルセ修道院(monastère de Perse)をサント=フォワ修道院(abbaye de Sainte-Foy)に遺贈したことが記されている。

この後は、(Zodiaque) la nuit des temps『Rouergue roman』を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

(Zodiaque) la nuit des temps『Rouergue roman』による平面図です。東が上です。

『Rouergue roman』より

黒色:11世紀末
網目:12世紀
斜線:15世紀

4. 外観(東側)

主後陣には、ルエルグ地方の田園(南部)でよく見られるような巨大で重厚なアーチが施されています。

1060年にサント=フォワ修道院(abbaye de Sainte-Foy)に遺贈された後、この修道院がエスパリオン(Espalion)の教区教会として機能していたことがわかる。

もっとも、その規模はさほど拡大せず、14世紀初頭には5人の修道士がいたが、15世紀にはわずか2人となっていた。ロット川に架けられたばかりの橋に惹かれて、集落は西へと移り始めていたのだ。1472年、新しい集落において新しい教区教会の建設が始まった。この修道院は1537年に世俗化され、宗教戦争の間に消滅した。

現在、エスパリオン(Espalion)の集落から完全に隔絶されたこの教会は、もはや墓地の礼拝堂に過ぎない。

16世紀頃までに集落の中心が西へと移りました。このため、この教会はあまり改築されず、ルエルグ地方の田園のロマネスク様式を保つことができたようです。

主後陣

主後陣の軒下に彫刻された持ち送りが並んでいます。

持ち送りには、おなじみの奇想天外な人物や動物の像が飾られている。そのうちのひとつに刻まれた1646年という日付は、改修工事の年であり、その際に装飾が大幅に改変された可能性がある。

私には、どの持ち送りに1646年という日付が刻まれているのか、見つけられませんでした。

5. 外観(南側)

南に行きます。

南側外観

南翼廊の軒下に動物や人物などが彫刻された持ち送りが並んでいます。

南翼廊の持ち送り
南翼廊の持ち送り

興味深いのは、東西両端の持ち送りには、二つの面に彫刻があることです。

こちらは西端の持ち送り。

ひとつの石の西面に騎士、南面に生き物が彫られています。

南翼廊の西端の持ち送り

こちらは東端の持ち送り。ひとつの石の南面に生き物、東面にケンタウロスが彫られています。でも、私が行ったとき東面を覆うように枝葉が広がっていて、弓をひくケンタウロスを撮影することは難しかったです。

南翼廊の東端の持ち送り

南扉口をみます。

南扉口

左(西)上の浮き彫りには、「東方三博士の礼拝」(『マタイによる福音書』2章)が彫られています。

それぞれの人物は正面を向き、聖母はたいへん威厳のある姿です。

南扉口

ティンパヌムには、「聖霊降臨」(『使徒言行録』2章)が彫られています。

イエスは(ヨハネから)水によって洗礼を授けられましたが、使徒たちは聖霊によって洗礼を授けられました。

イエスの昇天から10日後のことです。

『使徒言行録』2章
1: 五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、
2: 突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。
3: そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。
4:すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。

最上部の中央には、三つの半円が天を表していて、そこから聖霊を象徴する鳩が垂直に降りてくる一方、光線が斜めに放射されています。

その左右には、太陽と月の象徴。通常、太陽と月の象徴は「聖霊降臨」ではなく「磔刑」の場面に見られますから、途中でテーマが変更されたのか、それとも混同してしまったのか、不可解です。

聖霊と太陽と月の下では、聖母マリアと彼女を取り囲む10人の使徒たちが、聖霊を受け入れています。

南扉口

まぐさには「最後の審判」を思わせる『ヨハネの黙示録』の場面が彫られています。

東(右)側には『ヨハネの黙示録』4章の場面。

『ヨハネの黙示録』4章
2: わたしは、たちまち“霊”に満たされた。すると、見よ、天に玉座が設けられていて、その玉座の上に座っている方がおられた。
3: その方は、碧玉や赤めのうのようであり、玉座の周りにはエメラルドのような虹が輝いていた。
4: また、玉座の周りに二十四の座があって、それらの座の上には白い衣を着て、頭に金の冠をかぶった二十四人の長老が座っていた。
5: 玉座からは、稲妻、さまざまな音、雷が起こった。また、玉座の前には、七つのともし火が燃えていた。これは神の七つの霊である。
6: また、玉座の前は、水晶に似たガラスの海のようであった。この玉座の中央とその周りに四つの生き物がいたが、前にも後ろにも一面に目があった。
7: 第一の生き物は獅子のようであり、第二の生き物は若い雄牛のようで、第三の生き物は人間のような顔を持ち、第四の生き物は空を飛ぶ鷲のようであった。
南扉口

西側には『ヨハネの黙示録』20章の場面。

『ヨハネの黙示録』20章
1: わたしはまた、一人の天使が、底なしの淵の鍵と大きな鎖とを手にして、天から降って来るのを見た。
2: この天使は、悪魔でもサタンでもある、年を経たあの蛇、つまり竜を取り押さえ、千年の間縛っておき、
3: 底なしの淵に投げ入れ、鍵をかけ、その上に封印を施して、千年が終わるまで、もうそれ以上、諸国の民を惑わさないようにした。その後で、竜はしばらくの間、解放されるはずである。
4: わたしはまた、多くの座を見た。その上には座っている者たちがおり、彼らには裁くことが許されていた。わたしはまた、イエスの証しと神の言葉のために、首をはねられた者たちの魂を見た。この者たちは、あの獣もその像も拝まず、額や手に獣の刻印を受けなかった。彼らは生き返って、キリストと共に千年の間統治した。
5: その他の死者は、千年たつまで生き返らなかった。これが第一の復活である。
6: 第一の復活にあずかる者は、幸いな者、聖なる者である。この者たちに対して、第二の死は何の力もない。彼らは神とキリストの祭司となって、千年の間キリストと共に統治する。
7: この千年が終わると、サタンはその牢から解放され、
8: 地上の四方にいる諸国の民、ゴグとマゴグを惑わそうとして出て行き、彼らを集めて戦わせようとする。その数は海の砂のように多い。
9: 彼らは地上の広い場所に攻め上って行って、聖なる者たちの陣営と、愛された都とを囲んだ。すると、天から火が下って来て、彼らを焼き尽くした。
10: そして彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄の池に投げ込まれた。そこにはあの獣と偽預言者がいる。そして、この者どもは昼も夜も世々限りなく責めさいなまれる。
11: わたしはまた、大きな白い玉座と、そこに座っておられる方とを見た。天も地も、その御前から逃げて行き、行方が分からなくなった。
12: わたしはまた、死者たちが、大きな者も小さな者も、玉座の前に立っているのを見た。幾つかの書物が開かれたが、もう一つの書物も開かれた。それは命の書である。死者たちは、これらの書物に書かれていることに基づき、彼らの行いに応じて裁かれた。
13: 海は、その中にいた死者を外に出した。死と陰府も、その中にいた死者を出し、彼らはそれぞれ自分の行いに応じて裁かれた。
14: 死も陰府も火の池に投げ込まれた。この火の池が第二の死である。
15: その名が命の書に記されていない者は、火の池に投げ込まれた。

レビヤタンが大きな口を開けています。

南扉口

通常、「最後の審判」では『マタイによる福音書』25章の記述に基づいて、人々を右と左により分ける「栄光のキリスト」が中央に描かれます。でも、このまぐさにはその場面がありません。

さらに、通常は義人が配置される場所に地獄が彫られ、悪人が配置される場所にキリストと四つの生き物が彫られています。

ティンパヌムもまぐさも、つぎはぎな印象で、不可解です。

6. 内観

教会の中に入ります。

身廊にて東を向く

壁に古そうな石板が置かれていました。現地には「墓石」と書いてありました。

石板

交差部の南北に翼廊があります。中央に円柱があり、天井を支えています。

身廊にて南東を向く

教会内部の柱頭彫刻は主に植物モチーフですが、一部に動物や人物などが彫られています。

柱頭

戦う人たち。

柱頭

祝福するイエス。

柱頭

向かい合い同じ杯から飲む鳥。

柱頭

これらは、コンク(Conques)にも同様の柱頭がありました。ルエルグ地方の田園のロマネスク様式がよく残っています。

Église Saint-Hilarian-Sainte-Foy de Perse。

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