キアヴェンナ(Chiavenna)<2>

Chiavenna、続きです。前回<1> で Battistero (Collegiata San Lorenzo) を訪れました。今回<2> で Museo del Tesoro を訪れます。

ここは、とりわけ「パーチェ(Pace)」が素晴らしいです。

木曜と土曜と日曜の10:00~12:30と15:00~18:30に開きます。火曜は午前(10:00~12:30)だけ開きます。火曜午後、月曜全日、水曜全日と金曜全日は閉まります。有料(€4)です。

Chiavenna では、二つの建物に行きました。以下のように2回に分けて書いています。
<1> Battistero (Collegiata San Lorenzo)
<2> Museo del Tesoro

目次

1. Museo del Tesoro へ .
2. 金箔をかぶせた銀製聖体皿(13世紀) .
3. 金箔をかぶせた銅製十字架(12世紀後半) .
4. 公誦聖歌集(11世紀) .
5. 福音書のカバーまたはケースの蓋(11世紀) . . .

1. Museo del Tesoro へ

洗礼堂の見学を終えたのが11:45頃のことでした。

私は博物館の入り口の場所が分からず、10分くらい探し回りました。焦りました。博物館は12:30まで開館していますが、最終受付は30分前の12:00までだからです。

あ、ここから行けそう!

ポルティコにある博物館への通路

洗礼堂の西扉口もポルティコにありましたが、博物館もポルティコから行きます。洗礼堂の西扉口から50メートルくらい南に通路があります。住所は Piazza Don Pietro Bormetti, 3 です。

通路の先に中庭があり、立て看板のあるところが博物館のエントランスです。

博物館の前のエントランス

扉が施錠されていて戸惑ったのですが、呼び鈴を鳴らすと、博物館の中から職員が出てきて扉を開けてくれました。11:55頃のことです。

では、見学です。

Museo del Tesoro には、主に Collegiata San Lorenzo に属する、ロマネスクから18世紀までの、芸術的にも歴史的にも重要な典礼品が展示されています。

ロマネスク期の作品の中で、私が興味を持ったものだけをご紹介します。

2. 金箔をかぶせた銀製聖体皿(13世紀)

銀製聖体皿(13世紀)

磔刑に処されたイエス、聖母マリアと洗礼者ヨハネなどが金属彫刻刀で彫られています。

イエスが両目を見開き、天を仰ぎ見ているのが、興味深いです。

金箔をかぶせた銀製聖体皿(13世紀)

3. 金箔をかぶせた銅製十字架(12世紀後半)

金箔をかぶせた銅製十字架、Villa di Chiavenna(12世紀後半)

上部に、宝石が埋め込まれていたと思います。きらきらだったことでしょう。

金箔をかぶせた銅製十字架、Villa di Chiavenna(12世紀後半)

4. 公誦聖歌集(11世紀)

音符が発見される以前に使用されていたカイロノミー記譜法を用いた公誦聖歌集で、言葉の上に指揮者の手の動きを示す記号(ネウマ・アクセント)がある(11世紀)。

音階は書かれていません。

聖職者たちは、何度もきいたことのある歌だから、この聖歌集で歌うことができたのかもしれません。

公誦聖歌集(11世紀)

5. 福音書のカバーまたはケースの蓋(11世紀)

「パーチェ(Pace)」と呼ばれています。

お宝のなかの、お宝です。

11世紀(1030-1090年)の福音書のカバーまたはケースの蓋、(41.4×31.3×2.1cm)

”Pace”(11世紀)

陳列ケースには、拡大して見るためのレンズが備え付けられています。見学者は、リモートコントロールでレンズを動かすことができます。

繊細な加工に驚きます。

拡大レンズ越しの”Pace”(11世紀)

全体を見ます。

エンボス加工されたプレートには、四福音書記者のシンボルが描かれています。楕円形のエナメル板には、四つの面の中央に、上部に「パントクラトル(全能者、万物の支配者)」、下部に「ご訪問」、左に大天使ガブリエルと右に聖母マリアで「受胎告知」が描かれています。

”Pace”(11世紀)

宝石、真珠、カメオなどがふんだんに使われています。

宝石は東洋(スリランカ)からもたらされたもので、彫られたものはローマ時代(紀元1〜2世紀)のものの再利用である。

受胎告知の下の丸い宝石の中央には、二つのアラビア語が刻まれている。

宝石にも多様な来歴がありそうです。

”Pace”(11世紀)

パントクラトルの下には、次の祈りが浮き彫りにされている:”Vivant in Christum regnum teneant per ipsum qui fecerant tantum faciunt vel condere factum”

(このような作品を制作した者ら、あるいは、依頼した者らが、キリストにあり、キリストを通して天の御国に至らん)

天の御国に行くことが、最重要課題だったわけですな。

“Vivant in Christum regnum teneant per ipsum qui fecerant tantum faciunt vel condere factum”

この作品が「パーチェ(Pace)」と呼ばれるのは、この文字があるからです。

“PAX VITA”

“PAX VITA”

伝承によれば、これはドイツかフランスの司教によって Chiavenna に寄贈されたものである:1176年にハインリヒ獅子公との劇的な会談のために Chiavenna に来た Barbarossa に同行し Cristiano di Magonza が寄贈したという。

Cristiano di Magonza はマインツの大司教クリスティアン1世(1165年〜1183年)、Barbarossa は神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世(1122年〜1190年)のことです。

Cristiano di Magonza はイタリアで外交官として何度か Barbarossa に仕えたときいたことがあります。

もしかすると、この寄贈には、外交的、政治的な意図もあったかもしれません。

Museo del Tesoro。主に Collegiata San Lorenzo に属する、ロマネスクから18世紀までの、芸術的にも歴史的にも重要な典礼品が展示されています。とりわけ「パーチェ(Pace)」が素晴らしいです。

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