Église Saint-Pierre、続きです。奇妙な柱頭彫刻たちを見ます。
奇妙な彫刻たち
人や動物がぐにゃぐにゃしている奇妙な彫刻たちは、南側に七つ、北側に二つあります。
位置関係をわかりやすくするために、ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps の『Auvergne Romane』によるフロアプランの画像を編集し、番号をつけました。東が上です。
ひとつずつ、みていきます。
南側の柱頭彫刻
まず、南側の柱頭彫刻から。
南側には人や動物による奇妙な柱頭彫刻が七つあります。
South1は、南にある3本の中で一番西の柱の、西側の柱頭彫刻。上↑の写真の右端に写っている柱頭彫刻です。
ファサードや南壁が近いため、じゅうぶんな距離がなく、ゆるやかな角度から撮影することが難しいです。写真は、身廊から撮影した、こちら↓
人や動物、生首↑。
South2は、同じ柱(南にある3本の中で一番西の柱)の東側の彫刻です。こちら↓も、人や動物。
上↑と同じ彫刻の別角度↓。
South3は、南にある3本の中で真ん中にある柱の、西側の彫刻です。こちら↓も、人と動物です。
人は、向かいあって口づけしている二人、十字架を持つ人、本(のようなもの)を持つ人と、たて笛を吹く人がいます。
上↑と同じ彫刻の別角度↓。
South4は、同じ柱(南にある3本の中で真ん中にある柱)の東側の彫刻です。こちら↓も、人と動物で、十字架を持つ人がいます。
South5は、南にある3本の中で一番東にある柱の、西側の柱頭彫刻。↓人、動物と生首。生首の一部はヒゲを生やしているのでしょうか?顎のあたりが二つに分かれています。
South6は、南にある3本の中で一番東にある柱の、東側の柱頭彫刻。↓十字架を持つ人、動物と生首。
South7は、南にある3本の柱に並ぶように、壁にうめ込まれている柱頭です。↓人と生首。
北側の柱頭彫刻
北側にある柱頭彫刻は植物模様が多いのですが、
人や動物による奇妙な柱頭彫刻が二つあります。
North1は、植物装飾に人が登場するものです。上↑の写真の中央に写っている柱頭彫刻で、北にある3本の中で真ん中にある柱の、西側です。
上↑と同じ彫刻の別角度↓。
向かいあって口づけする二人と、生首が二つ。優しい顔をしているように見えます。
North2は、北にある3本の中で一番東にある柱の、西側の柱頭彫刻。↓中央にハンマーを持つ人、両脇に十字架を持つ二人と、両端(両側面)に棒を持つ二人。
九つの奇妙な彫刻たちを見て
南側に七つ、北側に二つの奇妙な彫刻たち。
どの彫刻も魅力にあふれ、見る人をひきつける強いちからを持っています。
そして、どの図像にも意味があったと思うんです。
私は想像するしかありませんが、きっと、当時の人には意味が分かっていたでしょう。
古代ケルトの神「スケルス(sucellus)」?
図像の意味を知りたくて、ウェブサイトを検索してみたところ、こんな本をみつけました。
L’INFLUENCE CELTE DANS UNE EGLISE ROMANE D’AUVERGNE
ケルトの文化がこちらの教会に与えた影響について書いてあり、North2 のハンマーを持った彫刻は古代ケルトの神「スケルス(sucellus)」であろう、とのことです。
スケルス(sucellus)?ぜんぜん知りませんでした。
たしかに、、、
フランスの中でも、このあたりの地域はケルト人の足跡が濃く残る場所です。それは多くの地名がケルトに由来することだけでなく、古代ローマ人による文書や、発掘によって証明されています。
この地には、古代ローマの文化や、さまざまな東方の文化が伝わりました。そうした中で、ケルトの文化をとりこみながら花開いたロマネスク美術が魅力的なのは、当然と思います。
Église Saint-Pierre、11世紀にさかのぼる身廊には、奇妙な柱頭彫刻がいっぱいです。
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