ビオレ(Biollet)<2>

Église Saint-Pierre、続きです。奇妙な柱頭彫刻たちを見ます。

奇妙な彫刻たち

人や動物がぐにゃぐにゃしている奇妙な彫刻たちは、南側に七つ、北側に二つあります。

位置関係をわかりやすくするために、ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps の『Auvergne Romane』によるフロアプランの画像を編集し、番号をつけました。東が上です。

ゾディアック(Zodiaque)によるフロアプランに、私が任意の番号をつけました

ひとつずつ、みていきます。

南側の柱頭彫刻

まず、南側の柱頭彫刻から。

Église Saint-Pierre、南にある3本の柱(西を向く)

南側には人や動物による奇妙な柱頭彫刻が七つあります。

Église Saint-Pierre、南にある3本の柱(東を向く)

South1は、南にある3本の中で一番西の柱の、西側の柱頭彫刻。上↑の写真の右端に写っている柱頭彫刻です。

ファサードや南壁が近いため、じゅうぶんな距離がなく、ゆるやかな角度から撮影することが難しいです。写真は、身廊から撮影した、こちら↓

Église Saint-Pierre(South1

人や動物、生首↑。

South2は、同じ柱(南にある3本の中で一番西の柱)の東側の彫刻です。こちら↓も、人や動物。

Église Saint-Pierre(South2

上↑と同じ彫刻の別角度↓。

Église Saint-Pierre(South2

South3は、南にある3本の中で真ん中にある柱の、西側の彫刻です。こちら↓も、人と動物です。

Église Saint-Pierre(South3

人は、向かいあって口づけしている二人、十字架を持つ人、本(のようなもの)を持つ人と、たて笛を吹く人がいます。

上↑と同じ彫刻の別角度↓。

Église Saint-Pierre(South3

South4は、同じ柱(南にある3本の中で真ん中にある柱)の東側の彫刻です。こちら↓も、人と動物で、十字架を持つ人がいます。

Église Saint-Pierre(South4

South5は、南にある3本の中で一番東にある柱の、西側の柱頭彫刻。↓人、動物と生首。生首の一部はヒゲを生やしているのでしょうか?顎のあたりが二つに分かれています。

Église Saint-Pierre(South5

South6は、南にある3本の中で一番東にある柱の、東側の柱頭彫刻。↓十字架を持つ人、動物と生首。

Église Saint-Pierre(South6

South7は、南にある3本の柱に並ぶように、壁にうめ込まれている柱頭です。↓人と生首。

Église Saint-Pierre(South7

北側の柱頭彫刻

北側にある柱頭彫刻は植物模様が多いのですが、

Église Saint-Pierre、北にある3本の柱(西を向く)

人や動物による奇妙な柱頭彫刻が二つあります。

Église Saint-Pierre、北にある3本の柱(東を向く)

North1は、植物装飾に人が登場するものです。上↑の写真の中央に写っている柱頭彫刻で、北にある3本の中で真ん中にある柱の、西側です。

上↑と同じ彫刻の別角度↓。

向かいあって口づけする二人と、生首が二つ。優しい顔をしているように見えます。

Église Saint-Pierre(North1

North2は、北にある3本の中で一番東にある柱の、西側の柱頭彫刻。↓中央にハンマーを持つ人、両脇に十字架を持つ二人と、両端(両側面)に棒を持つ二人。

Église Saint-Pierre(North2

九つの奇妙な彫刻たちを見て

南側に七つ、北側に二つの奇妙な彫刻たち。

どの彫刻も魅力にあふれ、見る人をひきつける強いちからを持っています。

そして、どの図像にも意味があったと思うんです。

私は想像するしかありませんが、きっと、当時の人には意味が分かっていたでしょう。

古代ケルトの神「スケルス(sucellus)」?

図像の意味を知りたくて、ウェブサイトを検索してみたところ、こんな本をみつけました。

L’INFLUENCE CELTE DANS UNE EGLISE ROMANE D’AUVERGNE

ケルトの文化がこちらの教会に与えた影響について書いてあり、North2 のハンマーを持った彫刻は古代ケルトの神「スケルス(sucellus)」であろう、とのことです。

スケルス(sucellus)?ぜんぜん知りませんでした。

たしかに、、、

フランスの中でも、このあたりの地域はケルト人の足跡が濃く残る場所です。それは多くの地名がケルトに由来することだけでなく、古代ローマ人による文書や、発掘によって証明されています。

この地には、古代ローマの文化や、さまざまな東方の文化が伝わりました。そうした中で、ケルトの文化をとりこみながら花開いたロマネスク美術が魅力的なのは、当然と思います。

Église Saint-Pierre、11世紀にさかのぼる身廊には、奇妙な柱頭彫刻がいっぱいです。

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