グロピナ(Gropina)<1>

2019年GWの旅行三日目、三番目の目的地はGropina。ピアン・ディ・スコ(Pian di Scò)から南東に約15km、車で約25分の道のりです。

「Gropina」という表示のすぐ近くに駐車スペースがあります。

グーグルマップの画像をお借りしました。右側のゴミ箱の向こうに車を停められます。

夫と私が車を停めていると、すぐあとから車4〜5台が連なって来ました。小さい駐車場は、いっきに満車。ここに車を停める人の目的はひとつ。

グロピナのサン・ピエトロ教会(Pieve di San Pietro a Gropina)。

下調べしたとき、教会のHPに載っていたメールアドレスに4月26日は開いているか、何時から何時までかを問い合わせると、以下の返信がありました。

la Pieve è aperta tutti i giorni dalle 9 alle 17
(教会は毎日9時から17時まで開いています)

教会が見えてきました

歩いて教会に着くと、前述の、車4~5台で来たグループがfaçadeの前に集まってフランス語で話してて、西扉口にはそれを出迎えている風な人がいました。

façade
façade

西扉口の男性にイタリア語で「こんにちは~」と挨拶しながら入ると、、、

façadeを背にして後陣を向く

わお。

後陣

きれい!

そして、ふと右を見ると、、、なんじゃ、こりゃ!

この説教壇、写真で見たことはありましたが、実物は想像していた以上の存在感。圧倒されながら、気がつくと夢中で見入っていました。

ここで、外を見学していたグループがどっと入ってきたので、夫は外に人がいなくなったタイミングで後陣の写真を撮ろうと外へ。私は、南側廊の奥に教会に関する本が置いてあるのに気づいて手に取りました。なんと、フランス語。同じ本が何冊かありましたが、全部、フランス語。

さっき西扉口で挨拶した男性に、イタリア語で「この本が欲しいのですが」と話しかけると、男性は「ありますよ、えーと、イタリア語版をご希望ですかな?」と言いながら扉の奥の小部屋に行き、持ってきてくれました。

買っちゃった。

すると、私が本を受け取る様子を見ていた他の人たちが、何なに?と男性の所に集まってきました。私は本を手に入れてホクホクしながらも、そのやりとりが耳に入ってきて

どうやら英語の本もあるらしい。

英語の本があるなら、欲しいぞ、と思った私はこちらも入手。

私は時間の制約が気になって案内を頼みませんでしたが、説明を聞いたり質問したりすれば理解が深まるうえ、奥にしまってある本が買えるとなれば、案内を頼むの良いかも。

私が買ったイタリア語の本はヴァレンテ・モレッティ(Valente Moretti)神父が2003年に著したもの。神父の親友で、この教会を描き続けて2002年に亡くなったシスト・ザネッティ(Sisto Zanetti)教授に捧げられています。表紙を含め、素描は教授によるもの。

そして、英語の本の方は、フィレンツェ大学の中世美術史のグイド・ティグレル(Guido Tigler)教授が序文を、その教え子キアラ・ディ・マリア(Chiara Di Maria)博士が本文を書き、英訳版として2018年に出版されたもの。原文はイタリア語で2018年より前に出版されたようです。同時代の他の教会との比較や中世の文書や最近の文献を検証して結論を導いています。

英語の本によれば、教会のある場所、グロピナ(Gropina)の名はエトルリア語で村を意味するKrupinaに由来し、紀元前1世紀には古代ローマのヴィッラ(villa)がありました。現在のロマネスク教会は12世紀の建築。その地下では、1969年〜71年に行われた発掘調査により第一教会、第二教会の遺構が明らかになりました。

恐らく8世紀頃までに第一教会(12X6.5m)が建設され11世紀頃までに第二教会が建設されました。第二教会は、まず一身廊のみの第一段階(20.5X7.5m)が建設され、続いて第二段階(20.5X14)で側廊が増築されました。第一教会、第二教会ともに、現在残るロマネスク教会よりもずっと小さいものでした。

英語の本に、1973年のマリオ・サルミ(Mario Salmi)教授の文献から引用して、地下部分を含むフロアプランが掲載してありました。ダブルクリックで拡大表示できます。

教会の見学に話を戻しましょう。地下をみようと階段へ行きました。

鉄柵のところに地下への階段が
鉄の扉、開けられます
地下にはロマネスク以前の建築の遺構が

思った以上に、広いです。

何だろう?
あ、顔があった。

地上に戻って説教壇を見ます。

西側の支柱には、彫刻がほどこされた石

説教壇をぐるりとみる動画をユーチューブにアップしました。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は CC10F016-E3C7-45BA-B506-F32843832EDA-e1558267758530-576x1024.jpeg です
説教壇、上の部分。
説教壇、上の部分。

中ほどのジグザグのところ、、、単純なジグザグ線かと思ったら、動物が隠れてるんです。

向かって左から四番目
ほら、居るでしょ?

この動物について、ヴァレンテ・モレッティ(Valente Moretti)神父は福音書記者のシンボルの一つ、ルカ(雄牛)と考えています。上にヨハネ(鷲)、マタイ(翼の人)、マルコ(獅子)っぽいのが縦に並んでいるけど、そこにはルカが見当たらないんですよね。

ヨハネ(鷲)、マタイ(翼の人)、マルコ(獅子)っぽいのと、ジグザグ線

この動物の下にいる12人をみます。

北西側。側面の一名は、頭に手をあてています。
北東側。こちらの側面の一名は、目に手をあてているような。
南側。あまり注目されないこの部分も丁寧に彫ってあります。表情の豊かなこと!
南西側。頭や手が大きく、折り曲げた膝や脚がすごく小さく表現されています。

心奪われる説教壇です。

次回、これまた素晴らしい、柱頭を見ます。

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