エルヌ(Elne)<3>

Elneのエルヌ大聖堂、回廊(cloister)の続きです。

West Gallery(13世紀初頃)をご紹介します。

案内シートのフロアプランで⑫の場所にある柱頭は創世記を描いています。

案内シートのフロアプランを再掲します。

West Gallery(13世紀初頃)に並んでいる柱頭彫刻は、South Gallery(12世紀末頃)と共通の題材が多いのですが、私はSouth Gallery の彫刻の方が好きです。

最後に、好きな South Gallery(12世紀末頃)をご紹介します。

案内シートのフロアプランで③の場所にあるのはライオン、グリフォン、孔雀を描いた柱頭、と案内シートに書いてあります。

③ の西面

③ の南面

③ の東面。案内シートには特に説明がありません。⑤の三頭の馬と人と王を描いた図に似ています。そして⑤の説明に「この題材は cloister 内に繰り返し使われています」と書いてありました。三博士とヘロデ王(the Three Kings and Herod)ではないか、と言う人もいますが、詳細は不明です。

もしかすると、悪い王(ヘロデ王)と賢い王(三博士)を取り上げることで、世俗の領主ではなく教会に従うべきだ、と示したいのかなと私は感じました。地元の領主(lord)たちとエルヌ司教(Bishop)との対立の話をセラボヌを訪れた時に聞きましたし、似たような話を他の場所でも聞いたので。

案内シートのフロアプランで①の場所にあるのは、聖ペトロを描いたクオ・ヴァディス(Quo Vadis)の場面です。

Quo Vadis はラテン語で「どこへ行かれるのですか」という意味です。ペトロがイエスの前でひざまずいています。

新約聖書の『ヨハネによる福音書』13章にこうあります。(一般財団法人日本聖書協会の新共同訳です。)

31節:さて、ユダが出て行くと、イエスは言われた。「今や、人の子は栄光を受けた。神も人の子によって栄光をお受けになった。
32節:神が人の子によって栄光をお受けになったのであれば、神も御自身によって人の子に栄光をお与えになる。しかも、すぐにお与えになる。
33節:子たちよ、いましばらく、わたしはあなたがたと共にいる。あなたがたはわたしを捜すだろう。『わたしが行く所にあなたたちは来ることができない』とユダヤ人たちに言ったように、今、あなたがたにも同じことを言っておく。
34節:あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。
35節:互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。」
36節:シモン・ペトロがイエスに言った。「主よ、どこへ行かれるのですか。」イエスが答えられた。「わたしの行く所に、あなたは今ついて来ることはできないが、後でついて来ることになる。」
37節:ペトロは言った。「主よ、なぜ今ついて行けないのですか。あなたのためなら命を捨てます。」
38節:イエスは答えられた。「わたしのために命を捨てると言うのか。はっきり言っておく。鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしのことを知らないと言うだろう。」

このペトロって、たいそうお調子者です。「あなたのためなら命を捨てます」なんて言ってます。そのくせ、イエスが捕らえられてから「あなたも、あの人の弟子の一人ではありませんか。」と言われると「違う」って言っちゃうんです。イエスが言ったとおり、三度。(『ヨハネによる福音書』18章)

その後もイエスが言った通りになります。イエスは『ヨハネによる福音書』13章36節で「後でついて来ることになる」と言いましたが、ペトロは布教につとめて最期はローマで殉教しました。

創世記の場面もあります。案内シートのフロアプランで②の場所です。

神はあばら骨の一部を抜き取り、人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた。。。はずなんですが、アダムのわき腹からエバを引っ張り出しちゃってるみたい。

同じ柱頭を別の角度から。

アダム良い人そう。そして、エバの腰のひねりと流し目がすごい。
私、このエバ、かなり好きです。

cloister が素晴らしいエルヌ大聖堂、流し目エバに見送られて、終わります。

旅行六日目は、こうして七箇所(新記録達成です)を訪ねました。一つ一つの場所に心が弾むような思い出があって、今も記憶に鮮明です。

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