2018年3月の旅行五日目。二番目に向かったのはコルネイヤ・ド・コンフランという村です。フランス語でCorneilla-de-Conflent、カタルーニャ語 だと Cornellà de Conflent と言うそうです。
目当ては11世紀〜12世紀頃のロマネスク建築、聖マリア教会です。
カニグーを下山して、麓の村の駐車場に停めてあった車に意気揚々と乗り込み、約5km 北へ行くだけなので10分くらいで着きました。
ちょろい、ちょろい。
村に入るとすぐ、目的の教会が、どーん。
教会の前が駐車場になっていますから、車もすぐに停められました。
ここは、確か、12時までに観光案内所に行けば鍵を開けてもらえるはず。そして、観光案内所は教会の隣のはず。。。
観光案内所を示す「i」のマークも、すぐに見つかりました。
鼻歌を歌いながら、観光案内所に入って「ボンジュールマダム♪」ってな感じで、小柄で優しそうなご婦人に「教会を見たいので、鍵を開けてくださいますか?」とお願いしました。すると、
???
「フェルメ」だの、「ダブリル」だの、理解したくない言葉がきこえている気がしました。
信じたくない気持ちで聞き返すと、入り口の掲示板へ私を伴って行き、掲示してあるフランス語の小さな文字を、丁寧に、なぞってくださいました。
L’église est fermée Il rouvrira à partir d’avril.
(教会は閉鎖中です。4月から再開します。)
私は、ショックで真っ白になりました。
優しく「ジュ・スイ・デゾレ」(ごめんなさいね)とおっしゃる、ご婦人。。。内心は未練たらたらでしたが、気持ちを必死に抑えて、お礼を言って外に出ました。
出てみると、目の前には立派な鐘楼があります。
ロンバルディアからカタルーニャに伝わった、ロンバルディア・ロマネスクと呼ばれている建築の特徴があります。床(底辺)の形は正方形。開口部の上部は半円形で、特徴的なブラインド・アーチと付け柱(pilaster)で装飾されています。
こりゃ、真っ白になってる場合じゃないぞと思い直しました。
そして確かここは、後陣(apse)のロンバルディア・ロマネスクの装飾が素晴らしいと聞いています。
鐘楼の脇を通って反対側にまわると、、、
見事です。目に入った瞬間、あんまり衝撃的だったので、思わず、わお!と叫んで小走りしてしまいました。
写真で見たことはあったんですが、緑の山を背景にして陽光に照らされている実物は神々しい綺麗さでした。
きれいなロンバルディア帯(lombard band)、ノコギリの歯のようなフリーズ、三つの窓それぞれに凝らされた装飾。すごい。
でもね、この後陣のある場所、詳細に見たい人には不親切な立地なんです。グーグルマップのストリートビューの画像を貼り付けますと、こんな感じです。
よく見ようとして近寄るためには坂を下る必要があって、坂を下ると後陣の装飾を見上げる格好になるので角度が鋭角になって、よく見えません。
特に、一番右の窓(上の画像に写っていない窓があるんです)は、見づらいったら、ありゃしない。
坂の下から見上げると、こうなります。
遠くから身を乗り出して望遠レンズを使って、、、四苦八苦しながら写真に収めました。
向かって左の窓
左の窓の拡大版
真ん中の窓、
真ん中の窓の拡大版は、葉っぱに気づかず撮り直しせず、こんなことに。
苦労した、右の窓。
右の窓の拡大版
こんな、人が見るか見ないか分からない場所に、ここまで細かい装飾しちゃうって、驚きです。
後陣(apse)を堪能して満足したところで、ゆっくり扉口(Portal)を見ました。
ティンパヌム(tympanum)は聖母子と天使。
この聖母子像は、聖母が小さな玉座について正面を向いていて、膝の真ん中でイエスが祝福のポーズをしています。ニコポイア型って呼ばれてる図像で、荘厳な聖母が勝利をもたらすものだって意味です。つまり、教会の無敵さを象徴しているんでしょうなあ。
天使の翼が優美で、イエスの裸足がかわいいです。
目を引かれたのは戸板の装飾です、記憶に残る美しさ。
ピンク色の大理石と、金属加工で装飾された木製扉の、素材と色の調和が良くて、惚れ惚れします。
それから、柱頭装飾も素晴らしい。
向かって右です。
向かって左です。
ハイタッチしながら踊ってる幸せそうなのがいました。
堪能し、満足してコルネイユ・ド・コンフランを出発しました。
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