2024年8月28日(水)、最初に訪れたのはMadrid、Museo Arqueológico Nacionalです。
ここは、貴重なロマネスク美術の展示が充実しています。必見です。
2024年、博物館は火曜から土曜の9:30〜20:00と日曜祝日の9:30〜15:00に開いていました。月曜、1月1日と6日、5月1日と15日、12月24日、25日と31日は閉館でした。有料(€3)でした。
Madrid では、2か所に行きました。以下のように2回に分けて書きます。
<1> Museo Arqueológico Nacional
<2> Museo Nacional del Prado
目次
1. Madrid へ .
2. 概要 .
3. ドン・フェルナンドとドーニャ・サンチャの十字架 .
4. サン・ペドロ・デ・ビジャヌエバ(アストゥリアス)の洗礼盤 .
5. マサリエゴス(ブルゴス)の洗礼盤 .
6. アンテアルタレスの柱像 .
7. グランハ・デ・バルデカル教会の柱頭 .
1. Madrid へ
マドリード(Madrid)は、スペインの首都です。
博物館は、マドリード(Madrid)市内、アルカラ門(Puerta de Alcalá)の北約360メートルにあります。
エントランスはセラノ通り(C. de Serrano)に面しています。

「エントランス」という表示にしたがって入館します。
2. 概要

先史時代から近代にわたる展示物は実に豊富です。そして、趣向を凝らした展示方法に目を奪われます。これで入館料€3は激安です。
さらに、どのスタッフもとても親切で、展示物の撮影が許可されていて、私はこの博物館が大好きです。
古代や初期中世の展示もたいへん良かったのですが、それらは割愛します。
ロマネスク時代の展示について、選りすぐってご紹介します。

3. ドン・フェルナンドとドーニャ・サンチャの十字架
展示物の横にあった説明を引用する時に太字で書きます。
ドン・フェルナンドとドーニャ・サンチャの十字架(Crucifijo de don Fernando y doña Sancha)
象牙、褐炭、金
ロマネスク
11世紀
聖イシドロ王立参事会教会(レオン)(Real Colegiata de San Isidoro (León))

セビリアから聖イシドロ(San Isidoro)の聖遺物が移された際に、レオン王家から参事会教会に寄贈された。
スタウロテカ(真の十字架の聖遺物を納めるための容器)であり、典礼における救済の歴史、十字架にかけられたキリストとその足元のラテン語の十字架、墓から出てきたアダムが彫られている。
上部には復活したキリスト、片側には墓から出てくる聖人たちの魂を集めるために冥府へと降りていくキリストが描かれている。背面には神秘の子羊とテトラモルフが描かれている。
表面のイエスの姿は簡素で尊く、裏面の神秘の子羊とテトラモルフは繊細に彫られていて、とても優美な十字架です。

4. サン・ペドロ・デ・ビジャヌエバ(アストゥリアス)の洗礼盤
ちからづよい洗礼盤があります。
洗礼盤
砂岩
ロマネスク
スペイン暦1152年(西暦1114年)
サン・ペドロ・デ・ビジャヌエバ(アストゥリアス)(San Pedro de Villanueva (Asturias))
曲がりくねった茎の帯で装飾されている。碑文には、寄進者名と日付が記されている。
+ IOHANNES ET MARIA FECERVNT HOC OPVS IN ERA MILA CLII.(フアンとマリアが1152年にこの作品を寄進した)
このちからづよさ、ひかりを放って動き出しそう。

5. マサリエゴス(ブルゴス)の洗礼盤
美しい洗礼盤があります。
洗礼盤
石灰岩
ロマネスク
12世紀
マサリエゴス(ブルゴス)(Mazariegos (Burgos))
水盤を囲む半円形のアーチと、それを囲むロゼットは、天のエルサレムを象徴している。これらのモチーフは、洗礼の秘跡による救いの神秘を強調している。縁には、次の碑文が刻まれている:PET(R)VS ME FECIT… ERA…
ペドロという人が寄進したのかもしれません。
この調和のとれた美しさ。

6. アンテアルタレスの柱像
二つの柱像があります。
アンテアルタレスの柱像(Estatuas-columnas de Antealtares)
ロマネスク
12世紀
サン・パヨ・デ・アンテアルタレス修道院(サンティアゴ・デ・コンポステーラ、ラ・コルーニャ)(Monasterio de San Payo de Antealtares (Santiago de Compostela, La Coruña))
3人ずつグループになった使徒たちの姿が描かれている。
1番目の柱にはペトロ、アンデレ、パウロが表現されており、そのラテン語の名前がニンブスに刻まれている。パウロは開かれた巻物を持ち、そこには「EGO PAVLVS CUPIO DISOLVI ET CVM XPO ESSE MVLTO MELIVS(私パウロは、この世を去って、キリストと共にいたいと熱望しており、この方がはるかに望ましい。『フィリピの信徒への手紙』1章 23節)」と書かれている。
2番目の大理石の柱には、使徒マタイ、バルトロマイ、ヤコブが、それぞれの名前とともに描かれている。
元々は四つあり、おそらく祭壇を支えていたと思われる。3番目はハーバード大学フォッグ美術館(Harvard University’s Fogg Museum)にあり、4番目は失われている。
難しそうな顔をしているのに、なんだか、かわいい。

7. グランハ・デ・バルデカル教会の柱頭
三つの大きな柱頭があります。

柱頭
砂岩
ロマネスク
11世紀後半から12世紀初頭
グランハ・デ・バルデカル教会(マヴェ、パレンシア)(Iglesia de Granja de Valdecal (Mave, Palencia))
11世紀半ば、マヴェ村からそう遠くない場所に、ロマネスク様式の教会または修道院があった。現存する唯一の部材である三つの大きな柱頭は、かなりの規模の建物であったことを示唆している。1番目は果物に食らいつく狼の頭がヴォリュートの間に描かれている。2番目はコリント式で伝統的な葉が描かれている。3番目はモルタルの準備、資材の運搬、石の加工という建築の三つの工程を描いている。これはサン・マルティン・デ・フロミスタ(San Martin de Frómista)から着想を得たものである。
なんだか、楽しそう。

ロマネスク彫刻は、ご紹介したもののほかに、アギラル・デ・カンポー(Aguilar de Campoo)のMonasterio de Santa Maria la Realにあった彫刻群などの展示があります。
Museo Arqueológico Nacional。貴重なロマネスク美術の展示が充実しています。必見です。
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