フエンティドゥエニャ(Fuentidueña)

2024年8月25日(日)、最初に訪れたのはFuentidueña、サン・ミゲル教会(Iglesia de San Miguel)です。

ここは、内観では身廊の柱頭、外観では身廊の持ち送りと後陣の柱頭が素晴らしいです。西扉口も興味深いです。

2024年、教会は役場(Ayuntamiento de Fuentidueña)にある観光局(Oficina de turismo)によるガイドツアーで見学できました。有料(€2)でした。連絡先は役場のウェブサイトに掲載されていました。

目次

1. Fuentidueña へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(西側) .
5. 外観(南側) .
6. 外観(東側) .
7. 外観(北側) .
8. 内観 .

1. Fuentidueña へ

フエンティドゥエニャ(Fuentidueña)は、カスティーリャ・イ・レオン州セゴビア県にある村で、県都セゴビアの約57km北にあります。

ここは、ドゥラトン川によって形成された狭い渓谷です。

丘の最も高い場所に廃墟となった城がありますが、その周辺は無人の区域になっています。峡谷の斜面、より河岸に近い方に集落があります。

サン・ミゲル教会(Iglesia de San Miguel)は、集落の最も高い場所にあります。

北側外観

2. 概要

教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

ロマネスク様式の教会(12世紀)。 やや尖った樽型ヴォールトで覆われた身廊、半円形の後陣、礼拝室からなる。西側に塔、北側にポルティコを持つ、セゴビアのロマネスク様式の典型である。

16世紀に福音書の側に礼拝室が増築され、Pedro de Lunaとその妻Ana de Viverosが埋葬された。

「福音書側」は祭壇に向かって左側です。福音書が読まれる場所であることからこう呼ばれます。

柱頭と持ち送りの彫刻は、宗教的な場面やエロティックな場面から当時の日常生活を表す職業まで、さまざまなテーマを網羅しており、幻想的な動物、悪魔のような仮面、植物や幾何学的な装飾で補完されている。

ロマネスク様式のポルティコは、「自由の権利を保護するための建築様式」であり、イスラム教徒と国境を接するこの土地に住む自由民の評議会や集会が開催される場所であった。

この後は、Románico Digital を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

Románico Digital による平面図です。東が右です。

Románico Digital より

4. 外観(西側)

ファサードは西側と北側にあります。

西側外観

西扉口には、不可解な柱頭があります。

西扉口

さらに不可解なのは、右(南)の内側の柱頭で、2人の天使が配置され、その前にはチュニックをまとった人物が跪いているが、作品の損傷がひどく、残念ながらその姿は不明瞭である。右腕の下に何らかの容器か受け皿があるように見える。また、頭上の天使が両手で示す碑文が解釈を明らかにしてくれるはずだが、判読できるのは「VIDE [NOVE?]MBRIS」のみである。

疑念もあるが、もし碑文の2番目の単語を「NOVEMBRIS」と解釈するのが正しいならば、これは神聖な収穫を意味する可能性があり、San Zoilo de Carrión de los Condesの西扉口の柱頭のひとつに刻まれたものと類似している。

西扉口の柱頭

5. 外観(南側)

南に行きます。

身廊の南壁に持ち送りが並んでいます。

南側外観

身廊南壁の持ち送りは、動物、怪物や人物の顔だけを描いているものが多いです。

そんな中、全身像を描いたものが三つあります。

身廊南の持ち送り1はケンタウリス(ケンタウロスの女性形)、身廊南の持ち送り2は座る女性、だと思います。

ケンタウリスの優雅なこと。

身廊南の持ち送り1
身廊南の持ち送り2

身廊南の持ち送り3は愛し合う男女だと思います。

身廊南の持ち送り3

6. 外観(東側)

東に行きます。

南東側外観

内陣と後陣の持ち送りに彫刻があります。

持ち送り1はマントをまとう男性、持ち送り2は槍と盾を持つ兵士、だと思います。

持ち送り1
持ち送り2

後陣の柱頭も興味深いです。

後陣

後陣の柱頭1はライオンたちだと思います。

後陣の柱頭1

後陣の柱頭2は「エジプトへの逃避」(『マタイによる福音書』2章)だと思います。

二つの塔のある城のような建物があり、前面には聖母マリアが幼子を抱いています。

後陣の柱頭2

反対側には聖ヨセフが手綱を引いています。ロバがかわいい。

後陣の柱頭2(別角度)

後陣の柱頭3は鳥たちだと思います。

後陣の柱頭3

後陣の柱頭4は二股人魚たちだと思います。

後陣の柱頭4

7. 外観(北側)

この教会は西側と北側にファサードがありますが、北扉口は身廊の第3柱間にあり、村に向かって開いています。

北扉口は、教会本体の後に建てられ、大幅に改修された後期ロマネスク様式のポルティコによって保護されている。ポルティコはロマネスク様式ではあるが、13世紀中頃より古い年代のものではない。

北側外観

身廊の北壁の持ち送りには、怪物たちがいっぱいです。

身廊北の持ち送り1
身廊北の持ち送り2

怪物たち、跋扈しています。

身廊北の持ち送り3
身廊北の持ち送り4

8. 内観

教会の中に入ります。

身廊にて東を向く

柱頭彫刻が素晴らしいです。

勝利アーチ北の柱頭は「イエスの復活」(『マタイによる福音書』28章、『マルコによる福音書』16章、『ルカによる福音書』24章、『ヨハネによる福音書』20章)だと思います。

勝利アーチ北の柱頭

勝利アーチ南の柱頭は4体のハルピュイアだと思います。

勝利アーチ南の柱頭

身廊の柱頭を三つご紹介します。

身廊の柱頭1は「聖ステファノの殉教」(『使徒言行録』7章)だと思います。

ローブをまとった人物たちが石を運んでいます。禿頭の人物は聖パウロでしょう。右端では、天使が聖ステファノの魂を抱いているようです。

身廊の柱頭1

身廊の柱頭2は、グリフォンたちをつかむ男性だと思います。

テーマの解釈は複雑であり、道徳的な意味合いを推測することもできる。構図的には「天に昇るアレクサンドロス大王」や「獣の王」のテーマに関連している。

身廊の柱頭2

身廊の柱頭3は「大天使ミカエルによる魂の計量」だと思います。

おそらく、これは教会の彫刻の中で最も象徴的なものであり、セゴビアのロマネスク様式の中でも最も印象的なもののひとつである。この作品には、死後の世界の様子と地獄の罰が刻まれている。

善と悪の対比が、明確です。

身廊の柱頭3

サン・ミゲル教会(Iglesia de San Miguel)。内観では身廊の柱頭、外観では身廊の持ち送りと後陣の柱頭が素晴らしいです。西扉口も興味深いです。

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