2024年8月28日(水)の最後、二番目に訪れたのはMadrid、プラド美術館(Museo Nacional del Prado)です。
ここは、壁画が素晴らしいです。
2024年、美術館は月曜から土曜の10:00〜20:00と日曜祝日の10:00〜19:00に開いていました。1月1日、5月1日、12月25日は閉館でした。有料(€15)でした。館内での写真や動画の撮影は禁止されていました。
Madrid では、2か所に行きました。以下のように2回に分けて書きます。
<1> Museo Arqueológico Nacional
<2> Museo Nacional del Prado
目次
1. Madrid へ .
2. 概要 .
3. ラ・ベラ・クルス教会の壁画 .
4. エルミタ・デ・サン・バウデリオの壁画 .
1. Madrid へ
マドリード(Madrid)は、スペインの首都です。
美術館はプラド通り(Paseo del Prado)に面して建っています。
チケットは、北側にあるゴヤ門で売っています。
入館口は、ゴヤ門の階段をあがった上階や、北東にあるヘロニモ門です。
私はヘロニモ門から入りました。

2. 概要
プラド美術館は1819年に王立博物館として開館しました。スペイン王家のコレクションを中心に約3万点もの絵画や彫刻を所蔵する、世界屈指の博物館です。
私の目当ては、教会から剥がされて移設されたロマネスク様式の壁画です。
3. ラ・ベラ・クルス教会の壁画
作品の横にあった説明文を引用する時に太字で書きます。
カスティーリャの工房(12世紀)
ラ・ベラ・クルス教会(Iglesia de la Vera Cruz)
マデルエロ(セゴビア)(Maderuelo (Segovia))
キャンバスに移された壁画
この壁画は教会の後陣にあったもので、1929年に国が取得した。
建物の隣に貯水池の建設が迫っていたため、1947年に絵画は撤去され、キャンバスに移され、1948年にプラド美術館に設置された。
レリダのサンタ・マリア・デ・タウイ(Santa María de Taüll)の絵画(カタルーニャ美術館)やサン・バウデリオ・デ・ベルランガ(San Baudelio de Berlanga)の聖画に近いことから、当初はイタリアで修行した1人の画家によるものと考えられていた。
しかし、後に、それらは別の画家によるものであると結論づけられた。
この作品は、二つの楽園を表している。入口の半円形の壁には、罪によって失われた地上の楽園(アダムの創造とアダムとイブの誘惑)が描かれ、四つの壁の下部には、キリストの死後に回復した天の楽園(新しいエルサレム)が描かれている。キリストの贖いの使命を暗示する大きな十字架が、正面の半円形を占めている。その中心には、2人の天使が支える円が、救い主の象徴である子羊を囲んでいる。両側には、キリストの予型であるアベル(左)とメルキゼデク(右)が、義人を想起させる。下部の、聖霊の窓の左側には、キリストの足に香油を注ぐマグダラのマリアが、罪の赦しを表している。右側には、東方三博士の礼拝が、贖罪の普遍性を表している。
下段には、左(北)と右(南)の壁に6人の使徒が配され、天井中央には、四隅に4人の天使が立つマンドルラに囲まれたパントクラトルが描かれている。テトラモルフ(人間の体と動物の頭を持つ4人の福音書記者)は、周囲に配されている。この最後の部分には、入口から奥に向かって、聖母または聖女、福音記者聖ヨハネ、ケルビム、大天使、聖ルカが描かれており、右側には、聖司教、聖マタイ、ケルビム、大天使、聖マルコが描かれている。
私は、保存状態の良いことに驚きました。

4. エルミタ・デ・サン・バウデリオの壁画
カスティーリャの工房(12世紀)
エルミタ・デ・サン・バウデリオ(Ermita de San Baudelio)
カシージャス・デ・ベルランガ(ソリア)(Casillas de Berlanga (Soria))
キャンバスに移された壁画
これらの6枚の絵は、本来、11世紀に建てられたサン・バウデリオのモサラベ様式の建物の壁を飾るために描かれたもので、その内部建築がこの空間に再現されている。1926年に建物から取り外された23枚の断片の一部で、キャンバスに移されてアメリカに運ばれ、ボストン、インディアナポリス、シンシナティ、ニューヨークのクロイスターズの各美術館に分配された。1957年、ニューヨークのメトロポリタン美術館から無期限の一時寄託として、6枚の絵がプラド美術館に持ち込まれた。
それらは、建物の北壁面下部(ウサギ狩りとシカ狩り)と、クワイヤの正面(ゾウ、クマ、兵士、カーテン)にあった絵画の一部である。残りの二つには、新約聖書のテーマが含まれており、上部にあった絵画はキリストの誕生と幼年期、中部にあった絵画はキリストの公生涯と受難である。
当初は、それぞれの絵画の主題や形式の違いや、聖画のロマネスク的な停滞感や図像様式とはかけ離れた、よりダイナミックな姿勢を世俗的な絵画が示していることから、年代が異なることが示唆された。しかし、類似するフランス、イタリア、スペインのロマネスク絵画と比較すると、これらの作品は同時代のものであり、カスティーリャとアラゴンの国境地帯で活動した同じ二つの工房によって制作され、世俗的な場面が神聖な象徴性を帯びた統一的な構成の一部を形成していると考えられる。
ウサギ狩りでは、三叉の矛を手にした馬上の狩人が、淫欲の象徴であるウサギに三匹の犬を鞭打ち、自分が仕掛けた網にウサギを導く。

シカ狩りでは、最初の矢(邪悪な欲望)で傷ついたキリストと魂の象徴であるこの動物に、狩人は2本目の矢を放つ。象は謙遜の象徴であり、キリストと関係がある。その背中の城は、『フィシオログス』(中世の動物が象徴するものを説明した書物)において、人間の病気や不幸と関連づけられている。熊は悪の勢力と結びついており、熊を倒す使命を帯びた男の隣に現れるが、ここでは熊と結びつく可能性のある兵士(槍と楯で武装)は、近くにいるものの、熊とは離れている。
ちょっと熊っぽくないのですが、この背中を丸めた動物、熊だそう。

カシージャス・デ・ベルランガ(Casillas de Berlanga)のエルミタ・デ・サン・バウデリオ(Ermita de San Baudelio)は、その建物もすごくカッコよくて、私が大好きな教会です。
プラド美術館(Museo Nacional del Prado)。壁画が素晴らしいです。
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