ムラーノ(Murano)

2023年8月15日(火)、最初に訪れたのは Murano、Basilica dei Santi Maria e Donato です。

ここは、床モザイクと後陣が素晴らしいです。

2023年は、教会は月曜から土曜、9:00〜18:00に開いていました。有料(€3.5)です。

目次

1. Murano へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観 .
5. 内観 .
 5-1. 後陣と身廊のモザイク
 5-2. 北側廊のモザイク
 5-3. 南側廊のモザイク

1. Murano へ

ムラーノ(Murano)はヴェネツィアにある島です。ヴェネツィアの中は車で移動できません。私は、本土とヴェネツィアを結ぶリベルタ橋(Ponte della Libertà)の手前に車を停め、公共交通機関で移動することにしました。

私は Airbnb から南西に約51km、45分ほど運転して大きな駐車場 Venice City Park Srl に車を停めました。駐車料金は1日(00:00~24:00)€5.5でした。

駐車場から徒歩50メートルの場所にバス停 Via Della Libertà があります。そこから路線バスに乗り、バス停 Venezia で降りました。

Googleマップより、赤色はバス、橙色は水上バス

フェリーターミナルで水上バスの一日券を買い、P.le Roma “D”から水上バスに乗って Murano に着きました。11:45頃のことです。

ムラーノ島はガラス細工で有名な島です。驚くほどたくさんの観光客がいますが、私はBasilica dei Santi Maria e Donato を目指して300メートルほど歩き、到着しました。

南東側遠景

鐘楼と後陣は修復中でした。美しいので、修復が終わったら行きましょう。

2. 概要

教会の外に案内掲示がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

Basilica dei Santi Maria e Donato
7世紀に建築 12世紀に再建
床と後陣のモザイク12世紀
絵画13世紀:祭壇画、フレスコ画、イコン

この後は、教会の中にあった案内掲示を引用するときに太字で書きます。

3. 平面図

教会の中にあった案内掲示に平面図がありました。東が右です。

教会の中にあった案内掲示より

バシリカ式の三身廊です。

4. 外観

ファサードの前が広場になっていて、開放感があります。

西側外観

暑さと日差しが強すぎるので、日焼けを好むヨーロッパの人たちですら、日陰を探してくつろいでいました。

5. 内観

教会の中に入ります。

西扉口から入ると、受付のブースがあり、見学料(€3.5)を払います。

身廊にて東を向く

身廊も、南北の側廊も、床モザイクだらけです。

タッセッラトゥム(TASSELLATUM)モザイクは、小さな正方形のテッセラで構成され、主に中世の獣戯画に典型的な人物像や象徴的要素、人間の悪徳や美徳を表す神の寓意などに使用される。一方、セクティーレ(SECTILE)モザイクは、幾何学的な形(三角形、四角形、六角形など)に切られた大理石の板で構成され、抽象的かつ幾何学的な用語で、最高の宗教的象徴を表現するために使用される。

この教会のモザイクアートはビザンチン様式にインスパイアされたもので、「美は円、正方形、長方形、六角形の規則的な図形の中にある」というプラトン思想を取り入れている。
最も頻繁に見られる図形は以下の通りである:正方形は、その枠に囲まれた人間の次元を表す。円は、始まりと終わりがないことから、神的なものを表す。

幾何学模様にも、意味があるんですねえ。

かつては、モザイク画のある身廊を歩けば、モザイク画に書かれていることを読み取ることができた。今日、この能力は低下しているが、宗教的、審美的なあらゆる側面からこの工芸品を鑑賞することはできる。

教会内の芸術表現は、単なる装飾や飾りではなく、観想、考察、祈りにおいて信者を導くことを意図している。

5-1. 後陣と身廊のモザイク

まず、後陣と身廊をみます。

身廊(案内掲示より)

救済の道

後陣の聖母は、交差部と身廊によって形成される十字架の先頭に立つ。彼女がイエスを身ごもり、産むことによって、救済が始まる。

後陣の聖母

交差部中央の正方形は、新しいエルサレムを表しており、4人の福音書記者(四つの円)によって与えられた宣言がキリストの受肉(中央の円)とともに天から降臨する。

「円は、始まりと終わりがないことから、神的なものを表す。」ってわけですな。

それにしても、円を五つ描いて「新しいエルサレム」を表すとは、びっくり。

5枚の白い大理石の板は、救いの歴史の中心的な出来事であるキリストの受難(五つの傷)を想起させる。

キリストの受難(五つの傷)と「キリストの昇天」

入口の反対側には、4人の天使(円)によって栄光のうちに上げられたキリスト(中央の円)が天に召される様子が描かれている。

大きな円の周りに四つの円を描いて「キリストの昇天」とは、たまげました。

内側の円は、1141年9月という教会の建設日を示している。

「1141年9月」

向かい合う一対のグリフォンと孔雀は、不滅と神聖の象徴である。最後に飲む聖杯は、神の恵みを象徴する。

聖杯から飲む一対の孔雀
5-2. 北側廊のモザイク

次に、北側廊をみます。

北側廊(案内掲示より)

教会の道

内陣の空間にある正方形はキリストの昇天(中央の大きな円形)を4人の大天使(小さな円形)が支えている様を描いており、身廊のモチーフと呼応しているが、ここは聖職者だけの空間である。

残念なことに18世紀の出来事によって破損してしまったこのエリアには、恋するコオロギのペアと鳥のペア(繁栄のシンボル)、ソロモンの二つの結び目など、非常に特徴的な絵が描かれている。

コオロギたち、かわいい。

恋するコオロギのペアと鳥のペア(繁栄のシンボル)

波打つシンボルは、花婿と10人のおとめのたとえ話にちなんでおり、彼女たちが待っている間に持つランプを表している。中央の正方形は花婿の家(教会)を表している。

波打つシンボルが「賢いおとめと愚かなおとめ」とは、私の想像を超えています。

鷲の爪にかかった子羊は、弱く悩める人間の魂が救い主によって引き上げられる様子を表している(ここでの鷲はキリスト論的象徴である)。

そうか、この動物は子羊でしたか。

鷲の爪にかかった子羊

残念ながら部分的に破損しているが、最初の正方形のセクティーレ(SECTILE)は、黙示録の4人の天使の中の教会(中央の正方形)を囲んでいる。

なるほど、少しずつわかってきました。どうやら正方形は教会、複数の円形は天使や四福音書記者を表すようです。

5-3. 南側廊のモザイク

最後に南側廊をみます。

南側廊(案内掲示より)

洗礼の道

中央に正方形を持つ四つの六角形が円を刻んでいる。これらは、地上の帝国(六角形)とキリスト(正方形に刻まれた円)による神との和解を表している。

正方形の角には、2対のワイバーン(2本足の竜)と2対の猛禽類がウサギを抱いている。これらは、洗礼の水が洗い流す悪徳を表している。大きな八角形は、かつて建物の外にあった洗礼堂を思い起こさせる。

向かい合うワイバーン(2本足の竜)

チェス盤は、善と悪を表している(実際にチェスをするために使われていた)。

チェス盤

二羽の雄鶏が敗れた狐を運んでいる。狡猾さに打ち勝つ神の警戒の象徴である。

二羽の雄鶏が敗れた狐を運ぶ

八つの円には八つの6弁の花が描かれている。「8」という数字に付けられた様々な意味の中には、変容と新約聖書がある。

八つの6弁の花

鷲は再生を表す。その爪には人間の弱さの象徴である小鳥が捕らえられており、洗礼によってそこから引き上げられる。

鷲と小鳥

六角形は洗礼盤を表し、キリストのモノグラムである「クリスモン」が描かれている。

私は、床モザイクの模様には意味があるかもって想像できても、正方形が教会で大きな円形がイエスで四つの円形が大天使や四福音書記者だ、なんて、ぜんぜん想像できませんでした。

Basilica dei Santi Maria e Donato。床モザイクと後陣が素晴らしいです。

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