2023年5月14日(日)、最初の訪問地は San Pantaleón de Losa。Ermita de San Pantaleón de Losa です。
ここは、その驚くべき景観と、謎めいた彫刻たちが素晴らしいです。
“Amigos de San Pantaleón” という協会が訪問を可能にしています。私は彼らのホームページの中の Horaios のページを見て、Ermitaが2023年5月14日10:00-10:45に開くことを知りました。
私はこの Ermita に2回行きました。5月13日と5月14日です。最初に行った5月13日15:30頃は外観だけ見学しました。Ermita の中を見学できた5月14日10:00時頃の訪問として書きますが、外観の写真の多くは5月13日15:30頃に撮影したものです。
目次
1. San Pantaleón de Losa へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 東側外観 .
4-1. 後陣中央の窓 .
4-2. 内陣南の窓 .
5. 南側外観.
5-1. 身廊南の窓 .
6. 西側外観 .
6-1. 身廊西の窓.
6-2. 西扉口
7. 内観 .
7-1. ロマネスク様式の壁画 . .
7-2. 勝利アーチの柱頭 .
7-3. 後陣の柱頭 .
1. San Pantaleón de Losa へ
夫と私はAirbnbをチェックアウトし、東に約32km、30分ほど運転して、驚くべき景観に息をのみました。9:45頃のことです。
大きな駐車場(Aparcamiento público de San Pantaleón de Losa)が道路(BU-550)沿いにあります。その駐車場から西を向くと、奇妙な赤い岩峰があります。
奇妙な赤い岩峰は、まるで巨大な船のようです。その甲板の上に Ermita があります。
Ermita の西約80メートルの場所に小さい駐車場がありますから、夫と私はそこを目指します。
途中で、Ermita の鐘楼が見えました。
小さい駐車場に車を停め、東に約80メートル、Ermita までの急坂を登ります。
私はErmita を通り過ぎ、岩峰の頂上まで登りました。
突端から見下ろすと、さっき通ってきた道が小さく見えました。
360度の大パノラマ。圧巻です。
岩峰の突端から、後ろを振り返ると、Ermitaの後陣が見えます。
この立地は、このErmitaを特別なものにしています。
2. 概要
教会の外に案内板がありました。自動翻訳(DeepL)に助けてもらいながら、私が一部を抜粋して太字で和訳します。
San Pantaleón de Losa
自然の営み
Jerea 川とその小さな支流の流れが、この地に驚くべき景観を形成している。空に向かって進む船のような「Peña Colorada(赤い岩峰)」には、聖パンタレオンに捧げられた謎めいた教会がある。
魅惑的な場所の魔法
岩山は、大地と空を接触させようとしているようだ。守りが容易で見通しの良いこの場所は、鉄器時代には丘砦があり、ローマ時代にも塞がれていた。13世紀の初めには、教会が同じ場所に建てられた。内部に保存されている碑文によると、1207年にブルゴス司教によって奉献された。
その立地、その複雑な図像の象徴のさまざまな解釈、聖パンタレオンの血の驚異、エルサレムの聖ヨハネ騎士団に属するという事実は、この場所を取り巻く多くの伝説を煽り、その多くは聖杯と関連している。
謎めいた作品
地形の急傾斜のため、この教会の建築にはいくつかの特徴がある。例えば、長方形の身廊は天井が高く、後陣の低さとは対照的である。
16世紀に行われた教会の増築は、ルネサンス様式のデザインにゴシック様式の要素を加えた折衷様式で行われ、片側を増築しなければならなかったため、不思議で奇妙な空間となった。
内陣の北壁にロマネスク様式のアーチが残っており、この増築部分には、かつて聖遺物を安置するロマネスク様式の小さな礼拝室があった可能性がある。
複雑な図像は様々な解釈を生んだ。最新の研究によれば、扉口と柱頭に描かれた図像は、聖パンタレオンの殉教を六つの場面で描いている。すなわち、溶けた鉛の中に入れられ、海に沈められ、車輪にかけられ、手足を巻き上げ機で引き延ばされ、猛獣に投げつけられ、そして最後に剣で斬首である。
サムソンと解釈される男像柱と、稲妻の形をした不思議な柱に挟まれた扉口には、奇妙な図像モチーフのひとつであり、後陣の窓のひとつにも描かれている「壁に囲まれた者たち」が描かれている。 監房に閉じ込められた囚人か、聖パンタレオンの殉教を表しているのであろうか。
驚異的な魅力
周囲の環境と建物の魅力に加え、かつてはこの教会に保管され、現在は Madrid の Encarnación 修道院で小さな密閉アンプルに収められている、聖パンタレオンの血液が液化するという奇蹟の魅力も、非常に早い時期から加わっていた。この奇跡的な出来事は、毎年彼の祝日の前夜に繰り返され、この教会は巡礼者の重要な目的地となった。
この後も、案内板や案内掲示を引用するときは太字で書きます。
3. 平面図
教会の中の案内掲示に平面図がありました。東が上です。
さっそく、見学です。
4. 東側外観
後陣と内陣には、四つ(後陣に三つ、内陣南に一つ)の窓があります。
そのうち、後陣北窓は下の写真には写っていません。もっと言えば、増築部分が迫っているため、近づいてもよく見えません。
4-1. 後陣中央の窓
後陣中央の窓をみます。
左右両側に3対の柱がありますが、二つの柱頭と4本の柱が失われています。
残っている四つの柱頭を南側からみます。2本の手で挟まれ口を覆われている顔、植物、2頭のライオン、編み目模様、だと思います。
外側のアーキヴォルトは、まるで窓のように人間の頭や足が見える不思議な図が描かれています。内側のアーチボルトは、植物のような模様があります。アーチは波状にくり抜かれています。
4-2. 内陣南の窓
内陣南の窓には、左右両側に3対の柱があります。
柱頭をみます。左端から、柱を飲み込むように巨大な口を開ける怪物の頭、口を開けた男性の頭、松ぼっくり。向かって右の柱頭は全て植物が描かれているようです。
松ぼっくりの柱頭は、バスク州で見たものに似ています。スメチャガ(Zumetxaga)、フルイス(Fruiz)、レスパルディサ(Respaldiza)、などで見ました。
アーキヴォルトは、花模様や交差するリボンのような模様で装飾されています。アーチには五つの人面が描かれています。
花模様と人面の組み合わせが、不思議です。
5. 南側外観
南側から見ると、急斜面が一目瞭然です。
基礎の水準が、身廊と後陣でずいぶん違います。
身廊が、柱間一つだけで短いことは、急斜面と関係しているのでしょう。長いと、天井高ももっと必要になって、建てるのが大変だから。
その短い身廊に窓が一つあります。
5-1. 身廊南の窓
身廊南の窓には、左右両側に2対の柱があります。
柱頭をみます。左端から順に、葉に包まれた丸い果実のような形、柱を飲み込むように巨大な口を開ける怪物の頭、植物、人面、が描かれています。
アーキヴォルトは、外側には交差するリボンのような模様の中に紡錘形が描かれ、内側のアーキヴォルトの要石にはネコ科の動物の頭が描かれています。
柱を飲み込むように巨大な口を開ける怪物、内陣南だけでなく身廊南の窓にもいるんですねえ。
6. 西側外観
西側には、窓と主扉口があります。
6-1. 身廊西の窓
身廊西の窓には、左右両側に3対の柱があります。
柱頭をみます。松ぼっくりや植物の模様が多いですが、人間が描かれている柱頭が二つあります。
舌を出す人間の頭の柱頭と、アダムとエバが描かれた柱頭です。
6-2. 西扉口
西扉口をみます。不思議な装飾です。
目立つのは、サムソンと解釈される男像柱と稲妻の形をした不思議な柱です。
男像柱はひげを生やした男性像で、長い髪を胸の前に垂らし、腰にベルトを巻いています。彼は左肩に何かを乗せていて、腰の高さに置かいた両手でそれを握っています。
アーキヴォルトには、まるで窓のように人間の頭や足が見える不思議な図が描かれています。
後陣中央の窓にも、同じようなものが描かれていました。面白い表現なので、私は好きです。
7. 内観
Ermita の中に入ります。
内側から見ると、窓は三つだけです。(後陣南北の窓と身廊西の窓は壁石で塞がれています。)
北側に16世紀の増築部分があります。
北壁の一部に、13世紀の壁が残っています。
7-1. ロマネスク様式の壁画
北壁の一部に残る13世紀の壁には、ロマネスク様式の壁画があります。
白い壁に赤い絵の具で描かれているのは、幾何学模様や騎馬像など。バスク州のアライザ(Alaitza)、アニュア(Añua)やアルブロ(Arbulo)でみた壁画を思い出します。
7-2. 勝利アーチの柱頭
内陣に行き、柱頭彫刻をみます。
勝利アーチ北側には、爬虫類のような尻尾と鳥のような翼と頭を持つ生き物が2匹います。その生き物たちは、一方がもう一方のクチバシを噛んでいます。似たような柱頭彫刻を同じカスティーリャ・イ・レオン州のバジェホ(Vallejo)で見ました。
勝利アーチの南側には松ぼっくりが描かれています。
松ぼっくりの柱頭は、バスク州で見たものに似ています。スメチャガ(Zumetxaga)、フルイス(Fruiz)、レスパルディサ(Respaldiza)、などで見ました。
7-3. 後陣の柱頭
後陣の柱頭彫刻をみます。
後陣の北側には、勝利アーチの北側と同じような生き物が描かれています。
ついでにご紹介すると、その隣には、ネコ科の生き物が描かれています。なぜここに?
後陣の南側には、もっと謎めいた図像が描かれています。両手を伸ばして横たわる男性の腹に蛇のような尻尾を持つ二本足の生き物が噛み付いています。その隣には髭を生やした男性が立っています。
Ermita de San Pantaleón de Losa。その驚くべき景観と、謎めいた彫刻たちが素晴らしいです。
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