ラス・エネストロサス・デ・ラス・キンタニージャス(Las Henestrosas de las Quintanillas)

2023年5月4日(木)、五番目の訪問地は Las Henestrosas de las Quintanillas。Iglesia de Santa María la Real です。

ここは、外観では内陣、後陣の持ち送りと柱頭、内観では勝利アーチの柱頭が良いです。

訪問はガイドツアーを予約します。

私は事前に Servicio de guía の facebook(Conoce Valdeolea Cantabria)にメッセージを送って、Valdeolea にある、5か所の教会訪問をお願いしました。

目次

Las Henestrosas de las Quintanillas へ .
概要 .
平面図 . .
東側外観(内陣、後陣) .
内観(勝利アーチ)  .

Las Henestrosas de las Quintanillas へ

ガイドのSoniaと私はオヨス(Hoyos)から南西に約14km、17分ほど車で進むと、小高い丘の上の教会が見えます。

北西側遠景

丘の中腹に車を停めて、最後は歩いて登ります。

南西側外観

私たちが教会に着いたのは、12:30頃のことです。

西側外観

教会は、村の集落から1kmほど東に離れた場所にあります。

概要

Soniaがくれた英語の案内プリントによる概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

現在、教会は孤立しているが、この場所にはローマ時代の集落があったため、その後に村が形成された可能性がある。

道路から教会に近づくと、素晴らしい眺めが広がる。低い潅木に囲まれ、孤立した佇まいを見せている。東と南は塀が教会を囲み、北側には元々墓地として使われていた草地がある。教会へは、1680年に鐘楼の下壁に作られた西側の扉口から入る。現在の鐘楼の下部はロマネスク様式の鐘楼で、1503年頃、六つの窓を持つ上層が増築された。その際、身廊に南側廊が付け加えられ、その結果、元のロマネスク様式の壁が破壊された。

この後も、案内プリントを引用するときは太字で書きます。

平面図

現地には平面図が見当たりませんでした。Románico Digital による平面図です。東が右です。

Románico Digital による平面図

さっそく、見学です。

東側外観(内陣、後陣)

東側に行きます。

東側外観

内陣と後陣の装飾をみます。

内陣の南の持ち送り(赤い部分)がすごく良さそうなのですが、聖具室(増築部分)が邪魔をして、よく見えません。

東側外観

増築部分が邪魔をしていると言えば、南壁の持ち送り(青い部分)も、そうです。1503年頃、身廊に南側廊が付け加えられ、その結果、元のロマネスク様式の壁が破壊されたために、南壁の持ち送りはほぼ全て破壊されて、残っているのは、これ一つだけです。

内陣南の持ち送りは、見えづらくても、そこに残っているだけで大変ありがたいことだと思います。

ちなみに、内陣南の持ち送りは、これらの五つだそうです。

1: 両端がロール状に凹んでいる。
2: 大きなアカンサスの葉。
3: 足を後方に曲げ、足を抱えている曲芸師が正面から描かれている。
4: 足を組み、左肩に置いた弦楽器を演奏する男性。
5: 後ろに長い髪をなびかせ、後ろにのけぞる踊り子女性。
最後の三つは、中世に村から村へと回っていた大衆芸能を表している可能性がある。

後陣の持ち送り(黄色い部分)をみます。

1: 両端にロールがある凹面。
2:アカンサスの葉で、両端が反り返っている。この主題は Piasca Aguilar de Campoo によく見られる。
3: 円錐形のフードと広い袖を持つ修道服に身を包んだ座った修道士。膝の上に開いた本を持っている。
4: もう一人の座った修道士。彼は膝の上に石版を置き、その上で書き物か絵を描いている

柱頭先端が反り返ったアカンサスの葉が様式化されている。

持ち送り(1〜4)と柱頭

5: 後ろから見た鹿だが、頭は後ろを振り返っている。
6
: 狩猟用の角笛を吹く座った男。5と6は鹿狩りに関連している可能性がある。
7: 後ろから見た、たてがみを長く広げたライオン。このライオンと鹿は
Piasca の後陣に描かれており、同じ巨匠によって彫られた可能性が高い。

持ち送り(5〜7)


8: くちばしの長い鳥、鶴かコウノトリで、くちばしに蛇が巻きついている。Piasca
にも同様のものがある。
柱頭:かなり摩滅しているが、最初のものと同じアカンサスがあったと思われる。
9: 両端にロールがある凹面。

持ち送り(8〜9)と柱頭

10: 大きなアカンサスの葉。
11: 両端にロールがある凹面。
12: 後に聖具室の壁が造られたため破損している

持ち送り(10〜12)

窓の装飾をみます。

後陣の窓

左の柱頭には、ビーズのリボンに囲まれた、向かい合う2頭のグリフォンが彫られている。この柱頭は、Piasca や Rebolledo de la Torre の西扉の右側にあるものと、テーマも彫り方もほとんど同じである。右のアバクスには、肉厚の葉があり、その先端が反り返り、強い濃淡を生み出している。右の柱頭の右側には翼のあるバシリスクが彫られている。その口からはビーズのリボンが流れ落ち、3本に分かれてそれぞれ旋風を形成している。

後陣の窓
後陣の窓

素晴らしいです。相当の力量を持った石工が手がけています。

内観(勝利アーチ)

教会の中に入ります。

オリジナルの教会のうち、ロマネスク様式の遺構は後陣、内陣、三角形やジグザグで装飾された勝利アーチのみである。アーチの柱頭は、外壁と同じ石工によるものである。天井と壁は、15世紀末に San Felices de Castilleria の親方によって、La Lomaで描かれたものとよく似たフレスコ画で覆われた。

身廊にて東を向く

勝利アーチの柱頭をみます。

北の柱頭は、サムソンがティムナの獅子の顎を裂いている。サムソンは長い髪を束ね、マントを後ろになびかせている。彼は獅子に乗り、両手を獅子の口の中に入れている。左足は獅子の前脚の間に伸ばされており、獅子の口を開けるために努力していることを示すように右足で後方に押している。獅子は厚いたてがみを持ち、前足は柱頭の縁にかかっている。サムソンがティムナの獅子を服従させたことは、原始的な情熱に打ち勝つ必要性を信者に思い起こさせる。

北の柱頭

右側の座っている人物は獅子の尾を持っている。

北の柱頭(別角度)

柱頭の上部には、天上のエルサレムを示す銃眼と思われる装飾が施されている。それぞれの角から出ている菱形の葉は、柱頭の半分まで伸びている。Rebolledo de la Torre (Burgos) には、この珍しい葉を含む非常によく似た都がある。Santa Eufemia de Cozuelos (Palencia) にも同様の場面があるが、銃眼装飾はない。アバクスには、さまざまな種類の平らなアカンサスの葉がある。

南の柱頭には、後方を向いた2対のグリフォンが描かれており、中央で嘴が触れそうになっている。Vallespinoso de Aguilar のものとよく似ている。

南の柱頭

どちらの柱頭も Santa Eufemia de Cozuelos の親方によって彫刻されたようで、特にサムソンの柱頭は有名である。

私は Santa Eufemia de Cozuelos に行ったことがありません。きっといつか、行きます。

〜2025年11月更新〜
私は、2024年9月11日に Santa Eufemia de Cozuelos を訪問しました。

Iglesia de Santa María la Real。外観では内陣、後陣の持ち送りと柱頭、内観では勝利アーチの柱頭が良いです。

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