アヴナ(Avenas)

2022年9月3日(土)、二番目に訪れたのはAvenas。Église Notre-Dame です。

ここは、近くのモミの森に守られるように佇む山の中の教会です。祭壇が素晴らしい。

Avenas へ

私はボージュ(Beaujeu)から北に15分ほど車を運転して、小さな村に着きました。12時頃のことです。

Église Notre-Dame(南西側外観)

外観を見学します。

外観

西側、ファサードは簡素。

Église Notre-Dame(北西側外観)

教会の北は斜面になっています。

Église Notre-Dame(北東側外観)

後陣はひとつ。

Église Notre-Dame(東側外観)

写真からも、山の中の小さな教会ってことが一目瞭然です。

Église Notre-Dame の概要

教会の中にリーフレットがありました。一部を抜粋して太字で和訳します。

マコン(Mâcon)の旧教区ヴォー=ルナール(Vaux-renard)の旧首席司祭管轄地の教会は、1906年に外観を大きく修復しすぎたため、小さな建物は古くからの特徴を失ってしまった。階段櫓の追加により、鐘楼の勢いが妨げられている。

内部は非常にシンプルで、骨組みに覆われた身廊、突出した交差部、交差部の上のクーポラ、ピラスターで装飾された後陣がある。最近の修理(1956-1960年)で、壁の漆喰が剥がされ、石肌があらわになっている。

リーフレットは、祭壇について多くの紙幅をさいています。後で私が撮った写真を載せながら引用します(そのときも太字で書きます)。

教会の中に入ります。

内観:全体

教会の中の、全体の様子。

Église Notre-Dame(内観、身廊にて東を向く)

1956-1960年の修理で、あらわになった石肌。私は、漆喰で覆い隠してあるより、こちらの方が好きです。

Église Notre-Dame(内観、身廊にて東を向く)

祭壇をみます。

祭壇

正(西)面に描かれているのは、イエスと、四福音書記者の象徴と、十二使徒。

祭壇の正(西)面

かなり腕のある親方が手がけたのか、細かいところまでしっかり彫ってあります。

祭壇の正(西)面

手足の細やかなこと。

祭壇の正(西)面

北面には、聖マリアの物語が四つの場面で描かれます。

交差部から南東を向く

北面の、向かって左上は、受胎告知(英:Annunciation)。祝日は3月25日。

受胎告知(英:Annunciation)

大きな手と小さな足が良いです。

向かって左下は、赤ちゃんを抱く女性と、横たわる女性が描かれていて、3人の上には大きな布が豊かに張られています。

ご生誕(Nativity)

リーフレットには Nativité と書いてあります。でも、降誕祭(イエスの誕生)じゃあ、赤ちゃんの側に牛とロバがいないから変です。

もしかして聖マリアの誕生(英:Nativity of Mary)かな?

それなら、豊かに布が張られているのも、納得です。聖マリアは部屋の中で生まれたように描かれるから。その場合、祝日は9月8日です。

ご生誕(Nativity)

何はともあれ、布のゆるやかなヒダが印象的です。

向かって右上は、聖燭祭(英:Candlemas)。マリアの潔め(英:Purification of the Virgin)とも、主の奉献(Presentation of the Lord)とも言います。祝日は2月2日。

聖燭祭(英:Candlemas)

ルカによる福音書2章に書かれています。聖マリアと聖ヨセフが律法の定め(レビ記12章)に従って、イエスを生後40日後にエルサレム神殿に連れて来て、産後の汚れの潔(きよ)めの式を受けるとともに、イエスを神に捧げました。

シメオン(主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた預言者)が幼子を腕に抱きます。これで安らかに去ることができる預言者は、安堵の表情。

聖燭祭(英:Candlemas)

向かって右下は、聖マリアの御眠り(英:Dormition of Mary)。聖マリアの被昇天(英:Assumption of Mary)でもあります。祝日は8月15日。

聖マリアは、使徒たち(おそらく聖ヨハネと聖ペトロ)に見守られながら永遠の眠りにつき、神の手によって被昇天しています。

東面には、聖遺物を入れる穴があって、

東面

最後に、問題の、南面です。

南面

冠の男性が教会を捧げていて、その下にラテン語が書いてあります。

(RE)X LVDOVICVS PIVS ET VIRTVTIS AMCVS
OFFERT AEECLESIAM RECIPIT UINTIVS ISTAM
LAPADE BISSENA FLVITVRVS IVLIVS IBAT
MORS FVGAT OBPOSITV REGIS AD INTITUM

リーフレットによると:

敬虔で美徳の友であるルイ王が、この教会を献上
聖ヴィセンテがそれを受け取る。
十数日後、7月が終わり、

死は王に反対する者を敗走させ、没落に導くだろう。

これは、ルイ王が聖ヴィセンテ、つまりマコン大聖堂の司教座聖堂参事会にアヴナの教会を寄贈する場面である。

何が問題って、どのルイ王か分からないんです。ルイ王いっぱいいるから。

考古学者の中には、ルイ6世やルイ7世と考える人もいれば、この寄贈シーンをもう少し古くしたり新しくしたりする人もいる。しかし、わからないと認めたほうがよいであろう。

リーフレットは、割とあっさり匙を投げます。

南面

ま、どのルイ王でも、いっか。12世紀頃のクリュニー風の彫刻が素晴らしいから。

Église Notre-Dame。近くのモミの森に守られるように佇む山の中の教会です。祭壇が素晴らしい。

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