ブリウド(Brioude)<2>

Brioude の Basilique Saint-Julien、続きです。前回に外観(後陣、南扉口)を見学したので、今回は内観(地下聖堂、殉教者廟の遺構、身廊、聖ミカエル礼拝堂)を見学します。

前回にも載せましたが、フロアプランを再掲します。わかりやすくなるので。

フロアプラン

教会の中に掲示してあったフロアプラン。

教会の中に掲示してあったフロアプラン

<主な建築時期>
白色部分:1060年頃から1100年頃
斜線部分:1140年頃
桃色部分:1165年頃
横線部分:1180年頃
なお、身廊のヴォールトは13世紀から14世紀。

地下聖堂をみます。

地下聖堂

教会の周囲には、400基もの石棺が見つかっている。

しかし、教会の内部には、たった2基。

地下聖堂

1基は聖ユリアヌスの墓。

もう1基は空で、誰のものかは、不明。

伝説では、聖ユリアヌスは首を切り落とされて殉教しました。処刑人は、近くの泉で頭を洗ってヴィエンヌ(Vienne)に運び、遺体を2人の老人に任せました。2人の老人は遺体をブリウド(Brioude)に埋葬。すると2人の老人は奇跡を受けて、若返ったといいます。

地上に戻ります。

殉教者廟の遺構

5世紀頃、聖ユリアヌスの遺体が埋葬された場所に、殉教者廟がつくられました。

金色の祭壇の下に、殉教者廟の遺構があります。

Basilique Saint-Julien(内観、身廊にて東を向く。画像を編集して赤い矢印を描きました。)

上の写真の、赤い矢印の位置に行きました。

ガイドが、金色の祭壇の下の様子をタブレットで見せ、画像を撮影させてくれました。

ガイドが見せてくれたタブレットの画像(私が画像を編集して赤い四角を描きました)

タブレットの画像を編集して、下の写真の部分を赤い四角で囲ってあります。

波型のモザイクは5世紀

黒と白の小石を使って作られた床は8世紀アリエ(Allier)川の小石が使われている

アリエ(Allier)川は教会の1.5km東を流れる川です。川原にある丸くなった小石を英語でペブル(pebble)と言いますが、この床装飾をガイドは「pebble system」と呼んでいたように思います。

花模様や渦巻き模様の、素朴な装飾がきれいです。

身廊や側廊の床も、小石で幾何学模様を描いてあるが、それらは16世紀。

身廊をみます。

身廊

建物全体に言えることですが、この地方の、赤砂岩、石灰砂岩、玄武岩、花崗岩、灰色とピンクの大理石が使われています。

Basilique Saint-Julien(内観、身廊にて東を向く)

身廊は五つの柱間があり、11世紀後半から12世紀前半に建築されました。(天井は13世紀から14世紀の改築です。)

北側廊にて南東を向く
南側廊にて北西を向く

1950年代に再発見された12世紀の壁画が素晴らしい。

また、柱頭彫刻も力作ぞろいです。

守銭奴
楽器を弾く人たちと、ミノタウロス
騎士たち

実は、玄関間の二階から、身廊の柱頭彫刻がしっかり見えます。

玄関間に行きます。

西扉口の南脇に、らせん階段への小扉があります。

Basilique Saint-Julien(内観、身廊にて西を向く)

いざ。

玄関間の二階への、らせん階段

階段をのぼると、西扉口の真上に出ます。

柱頭彫刻がよく見えます。

玄関間の二階中央にて北東を向く
玄関間の二階中央にて南東を向く

西扉口だけでなく、北扉口や南扉口の上にも二階がありますが、現在は非公開です。

いい柱頭彫刻がありそうなので公開してくれるといいなあ。

上の写真を撮った西扉口の上の位置から、南隣にある聖ミカエル礼拝堂に入りますが、その前に、一階からの様子を少し。

聖ミカエル礼拝堂

一階からも、聖ミカエル礼拝堂の壁画が鮮やかに見えます。

Basilique Saint-Julien(内観、南側廊にて西を向く)

上の写真の、二階部分が聖ミカエル礼拝堂です。ちなみに、一階のアーチに描かれているこの人、すごい存在感。

では、聖ミカエル礼拝堂に入ります。

聖ミカエル礼拝堂にて南を向く
聖ミカエル礼拝堂にて西を向く

壁画は1190-1200頃に塗られた。

19世紀の修復でかなり塗りなおされた。

聖ミカエル礼拝堂にて上を向く

おそらく人物の顔はほとんど19世紀の作品。

聖ミカエル礼拝堂にて北を向く
聖ミカエル礼拝堂にて東を向く

オリジナルが比較的残っているのは、例えば、東側のアーチ部分に8人並ぶ天使たち。

聖ミカエル礼拝堂にも柱頭彫刻があり、

聖ミカエル礼拝堂にて南東を向く

ここからは、身廊の柱頭彫刻もよく見えます。

聖ミカエル礼拝堂にて北東を向く

Basilique Saint-Julien。4世紀にさかのぼる長い歴史があり、12世紀の建物は長さ約78mと超巨大。豊富な美術が保存されていて、最重要級のロマネスク。「オーヴェルニュの五姉妹」として、ブリウド、イソワール、クレルモン、オルシヴァル、サン=ネクテールを数える人も多いようです。

見どころは後陣、南扉口、地下聖堂、殉教者廟の遺構、身廊、聖ミカエル礼拝堂(玄関間の二階)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です