エリル・ラ・バル(Erill la Vall)

2019年9月の旅行六日目の最後、七番目の目的地はErill la Vall。ボイ(Boí)から北西に約3km、車で約4分の道のりです。

目的は Santa Eulàlia d’Erill la Vall とその隣にある Centre del Romànic de la Vall de Boí 。

車を停めて歩くと、見えてきました。教会の北側(後陣、小後陣、鐘楼とポルティコ)。

Santa Eulàlia d’Erill la Vall

ポルティコの北側は墓地。

のどか

2019年9月現在、教会の開いている時間は10時から14時と、16時から19時でした。

フロアプランつき案内板

案内板によると、11世紀から12世紀にいくつかの段階をへて建てられた初期ロマネスク様式またはロンバルディア様式の建物です。まず単身廊に三つ葉状の三つの後陣が造られ、その後に鐘楼が、続いて北扉口のポルティコが追加されました。内部には十字架降架の彫刻群がありますが、12世紀のオリジナル作品は現在、バルセロナのカタルーニャ美術館とビクの司教区美術館にあります。

15世紀から16世紀にかけてゴシック様式の祭壇画が置かれましたが、今はほとんど残っておらず、身廊の西側に設けられたクワイヤに、案内が展示されています。1970年代から修復工事が始まり、1994年から1997年にかけて行われた調査ののち、十字架降架の彫刻群が複製され、ロマネスク様式の後陣が復元されました。

ではさっそく、中に入ります。

ポルティコのある北扉口が出入口

北扉口を入ると受付があり、チケットにハサミを入れてもらってから、左に進みます。

西を背にして後陣を向く。十字架降架の彫刻群は複製です。
南小後陣
北小後陣
後陣を背にして西を向く

受付の上にロフトがあるので、行ってみます。これクワイヤらしいんですけど、オルガンを置く代わりに歌声って感じでしょうか。

ロフトの上から後陣を向く

案内があります。

1st stageは11世紀。屋根は木製で、壁の表面は内側も外側もしっくいが塗られていました。
2nd stageは12世紀。鐘楼が増築され、ヴォールト天井と柱にアーチが加えられ、洗礼盤が設けられました。
3rd stageは2nd stageより後ですが、まだロマネスク期で、北側にポルティコが増築されました。

ロマネスク様式の装飾は、十字架降架の彫刻群、現存しませんが恐らく祭壇画と、北壁や扉口のアーチ部分の蛇の模様に断片が残っている通りフレスコ画がありました。

どこにあるんだか分かりにくくて受付の人に教えてもらいました。蛇🐍の模様。縦にクネクネ。

教会は1960年に修復され、1962年に歴史的建造物に指定されました。1993年-1997年にカタルーニャ州政府によって考古学的発掘調査と修復工事が行われ、2012年-2013年に継続されました。

発掘調査で発見された主なものとして、洗礼盤、ロマネスク様式の壁画、様々な時代の陶器があります。また、修復工事では、主後陣が再建され、十字架降架の彫刻群が複製されてロマネスク様式を取り戻し、さらに彫刻やレタブルムなどの典礼工芸品が修復されました。

洗礼盤っていうのは、こちら。

現地の受付の近くにある洗礼盤

十字架降架の彫刻群については、現地の案内にこんな写真がありました。

現地に展示してあった写真

1907年にカタロニア研究所の調査で発見されたときの写真。いたんでますが、7体そろっています。

ちなみに、このときのことをジュゼップ・プッチ・イ・カダファルク(Josep Puig i Cadafalch)が語っているんです。(Puig i Cadafalch は、前回のボイ(Boí)に関する投稿でご紹介した建築家です。)

このくだりは Sant Joan de Boí の展示から。

「エリル・ラ・バル(Erill la Vall)の教区司祭は、これらの彫刻群をわずか1オンス(およそ80ペセタ)で売ると持ち掛けてきた。」

これって、現在の価値で言うとたったの 0.50ユーロです。

こうしたことは、ふさわしくないと考えてカタロニア研究所はこの申し出を断ったこと、でもその後で商売人がやって来たことが書いてありました。あーあ🥺

現在、 マリアとヨハネはバルセロナのカタルーニャ美術館に、他はビクの司教区美術館にあります。

Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelona で、2019年9月5日に撮った写真がこちら。

カタルーニャ美術館にあるオリジナル(12世紀)。マリアとヨハネ。

Museu Episcopal de Vic で2018年3月に撮った写真が、こちら。

ビクの司教区美術館にあるオリジナル(12世紀)。

イエスと一緒に十字架につけられた二人の強盗が、一人は右に、もう一人は左にいます。そして磔刑で亡くなったイエスをヨセフとニコデモが十字架から降ろしています。

これらを合わせた配置図が現地に掲示してありました。

ヨハネの衣に彩色の痕跡が見えます。この色が12世紀のものかどうかは分かりませんが、ロマネスク様式の時代には建物も内外が壁画で彩られていたわけですから、おそらく木彫たちもぬりぬりされていたかと。興味深いです。

また、La Nativitat de Durro と Santa Maria de Taüll にも同様の彫刻群があり、三つともマリアだけは現存していて、とても似ているんですが、よく見ると頭の上の組み紐模様みたいなのが少しずつ違うんです。何故か分かりませんが。面白い。

さて、教会の中の見学を終えて、外を見学。

(現地)ポルティコ

北扉口を拡大。

(現地)北扉口

へび

(現地)ロマネスク様式のフレスコ画のオリジナル。くねくね。

西壁

(現地)西壁

南壁

(現地)南壁

後陣

(現地)後陣と鐘楼

Santa Eulàlia d’Erill la Vall、1907年に7体が揃って発見された十字架降架の彫刻群は現在、マリアとヨハネはバルセロナのカタルーニャ美術館に、他はビクの司教区美術館にあります。現地にはフレスコ画の断片が残っており、また、三つ葉状の後陣やポルティコの特徴的な造りが楽しめます。

これで、ボイ谷のロマネスク教会の見学は、終わり。

Santa Eulàlia d’Erill la Vall の後陣のすぐ南にある、Centre del Romànic de la Vall de Boí に行きます。

€10で買ったチケット、教会五つだけじゃなくロマネスク・センターも含まれているので、じゃ、ついでに行こっかと言うことで。

受付でチケットを見せると、教会五つをコンプリートした後だったので「まあ、ぜんぶ行ったんですね!」と笑顔で迎えてもらっちゃいました。

中には、ロマネスク建築やロマネスク美術に親しみを感じられるような工夫がいっぱい。

建築、彫刻やフレスコ画の制作過程や道具などを様々に展示。

基本的にインタラクティブな展示方法なので、触ったり動かしたり刺激を感じながら見て回れます。

20世紀の文化遺産の再発見や、保護の活動の様子なども紹介してありました。

また、フレスコ画のコピーを大きく展示して、ロマネスク期の吟遊詩人、兵士、羊飼いなどの様子も紹介してありました。

兵士
吟遊詩人

上の吟遊詩人、愛嬌があって私かなり好きです。

掲示はカタルーニャ語だけでなく英語もありましたし、動画も英語を希望する人が鑑賞する時には英語版が選べたり、設定を英語版に変えて上映してくれたりと、とても親切。さすが、世界遺産ともなると、対応が違う。

思った以上に、楽しく過ごしました。

さて、これでこの日の見学はすべて終わり。訪問したのは怒涛の七箇所。青字の15~21です。

六日目、9月9日(月)ボイ谷
15. カルデット(Cardet)
16. バルエラ(Barruera)
17. – 19. タウイ(Taüll)
20. ボイ(Boí)
21. エリル・ラ・バル(Erill la Vall)

パンフレット(の画像を編集して訪問番号をつけました)

世界遺産のボイ谷に別れを告げ、明日はアラン谷に行きます。

 

 

 

 

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