サンタッピアーノ(Sant’Appiano)

2019年GWの旅行五日目、二番目の目的地はSant’Appiano。アシャーノ(Asciano)から北西に約63km、車で約60分の道のりです。

ここでの目的はサンタッピアーノ教会(Pieve di Sant’Appiano)。

事前にコムーネ(基礎自治体)に私の訪問予定日に開いているか、何時から何時まで開いているかを問い合わせると、丁寧な回答がありました。

il giorno domenica 28 aprile la pieve di S.Appiano sarà aperta solo la mattina dalle ore 11.30 alle ore 13.00 circa, durante la Santa Messa.
In quante persone sarete?
Le chiavi non possono essere consegnate, deve sempre esserci un responsabile presente.
Qualora sia impossibilitata a recarsi in loco tale mattina, sarà mia premura passarLe il contatto diretto di riferimento per accordare un’eventuale apertura su richiesta durante un altro giorno.

(4月28日の日曜日、サンタッピアーノ教会は午前11時30分から午後1時頃まで、聖ミサの間だけ開かれます。
何人でいらっしゃいますか?
鍵をお渡しことはできず、常に責任者が同行しなければなりません。
この日時にいらっしゃることができない場合には、別の日に教会が開けられるかを問い合わせられる連絡先をお教えします。)

つまり、毎週日曜の聖ミサの時以外は、基本的に閉まっているんです。日曜だけ開く教会のためにアレッツォを切り上げてシエナに来たと前述しましたが、その教会の一つがここ。気軽に立ち寄れる教会じゃなくて、大変ですが、わざわざ来る意味のある場所だと私は思います。

「ありがとうございます。一人で聖ミサが始まる前に行きます。」と返信しました。こりゃあ、なんとしても聖ミサが始まるまでに内部の見学を終えたい。

アシャーノ(Asciano)から約1時間。この辺りはヴァルデルサ(Val d’Elsa)と呼ばれるエルサ川の渓谷地域で、目的地への最後の10分くらいは非常に狭い山道を登ります。到着すると教会の北側に車を停めました。見上げると鐘楼。

時刻は11時半。教会が開いているといいなあ、と思いながら進むと、

開いてました。聖ミサが始まる前に内部の見学を終えたくて焦る私は、開いている扉の向こうへ。入るとまず目にしたのは、こちら。

霊柩車?

さらに進むと

中庭があって、回廊になっています。

中庭に面したこの場所で右を向くと、教会の南扉口があります。

左上にチラッと写っている、教会の南側壁のまぐさにご注目。詳細は後述します。

回廊の壁に掲示がありました。 洗礼堂のプランや、昔の姿が描かれています。現在の姿はアイキャッチ画像の通りで、4本の柱だけが残っています。

八角形に三つの半円後陣がついた洗礼堂。体を浸すことができるほど大きい洗礼盤があったようです。

教会の中へ。

façadeを背にして後陣を向く

教会の中には、聖ミサの開始を待っている様子の婦人が一人で本を読んでいました。私は恥を忍んで話しかけたんです。「こんにちは、あの、、、大変申し訳ないのですが、、、どうしてもトイレに行きたいんです。」婦人はとても優しくて「ここまではかなり遠い道ですからね」なんて言いながら、鍵を管理している人の所に行って鍵を借り、教会隣の建物の鍵を開けて、中のトイレまで案内してくれました。

反省した私としては、この教会から南に5km、車で10分くらいの所にポッジボンシ(Poggibonsi)という町がありますから、その町のバルでトイレを済ませて来ることをオススメします。

さて、見学に話を戻します。

掲示によると、聖ミサは日曜と祝日の正午開始。

掲示

案内版やリーフレットを探しましたが、見つけたのはドイツ語の一枚紙だけ。いつもは現地で得た情報を優先しますが、この教会に関してはゾディアック(Zodiaque)の『la nuit des temps』を参照します。

8世紀からの文書に記載されている教会であり、11世紀の写本の記述からは、ここが中世においてヴァルデルサ地域の宗教の中心地であったことがわかります。建物の年代を考察するために重要な年は1171年であり、この年に鐘楼が教会の上に倒れたことが、側壁扉のまぐさの大理石に刻まれています。

南側壁のまぐさ。画像はゾディアック(Zodiaque)の『la nuit des temps』より。

鐘が「super ecclesiam istam ruit」教会の上に倒れて一部を破壊したため、その部分は修築されました。南側廊が12世紀後半に修築された部分で、北側廊と後陣が10世紀から11世紀に初期ロマネスク様式で建築された部分です。

ゾディアック(Zodiaque)の『la nuit des temps』によるフロアプラン。黒色部分が10~11世紀、斜線部分が12世紀、点々部分は15世紀。

なお、北側廊の最も内陣に近い部分は15世紀の建築です。また、ファサードは15世紀と19世紀に改築されており、西扉口のまぐさの内側には1843年と書かれています。

教会内を見ます。

南側廊。主に12世紀後半の部分で、植物模様の柱頭があります。
北側廊。手前は主に10世紀〜11世紀の部分で、石積みの角柱があります。内陣に近い一番奥は15世紀部分。
北側廊に近い位置から後陣を向く

今、気づきましたが後陣をよく見ると窓は二つだったんですねえ。後ほどグーグルマップの衛星画像を載せますが、この後陣は東というより北東に向いています。つまり、これら二つの窓は、より東側に開けてあるわけです。

南側廊に近い位置から後陣を向く。

北側廊との間の壁や柱は主に10世紀~11世紀の建築ですが、内陣に一番近い大きいアーチの部分は15世紀の建築です。

後陣を背にしてfaçadeを向く
後陣の石積み

南側廊との間には印象的な柱頭彫刻があります。

植物と顔

少しずつ聖ミサを待つ信者が増えて来ました。

外に出ます。

グーグルマップの衛星画像を編集しました。北が上。後陣が北東に向いています。

10世紀~11世紀の後陣がとても良いんです。オリーブ畑から後陣、鐘楼を見る動画をユーチューブにアップしました。

私は車を停めた場所から鐘楼を目指して歩き、南扉口から教会に入りましたが、本来はきっと、教会の南西にある階段をのぼってファサード(西扉口)から教会に入るはず。

その階段から教会を見上げます。

教会の南西にある階段

階段をのぼると、洗礼堂跡とファサードが見えます。

動画をユーチューブにアップしました。

ゾディアック(Zodiaque)の『la nuit des temps』によれば、洗礼堂は地震で建物にひびが入り、倒壊の危険があったために取り壊されました。現在は、短縮された二本を含む四本の柱だけが残っています。そのロンバルディア風の柱は12世紀後半のヴァルデルサ地域のロマネスク様式によく似ています。

この洗礼堂で信者になった数多くの人が教会に通って、教会を大切にしながら祈りを捧げる日々を過ごしたのかなあ。なーんて思っていると、鐘が鳴りました。

動画をユーチューブにアップしました。

目が覚めるような大きな音にびっくり。

サンタッピアーノ教会(Pieve di Sant’Appiano)、ぜひ来てみてください。洗礼堂の跡、10世紀~11世紀の遺構、12世紀の遺構など、人々の営みを感じられる、ヴァルデルサを代表するロマネスク教会です。

 

 

 

 

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