ペレシー=レ=フォルジュ(Perrecy-les-Forges)<1>

2018年9月の旅行七日目、四番目の目的地はPerrecy-les-Forges。TGV 駅(Gare du Creusot TGV)から西に約32km、車で約26分の道のりです。

ここでの目的はサン=ピエール=エ=サン=ブノワ教会(Eglise Saint-Pierre-et-Saint-Benoît)。

事前に、私の訪問予定日に教会が開いているか、開いているなら何時から何時かをMairieにメールで問い合わせました。すると「Journées du Patrimoine に登録したので教会は一日中開いているでしょう。入場は無料です。」という返信がありました。

さらに、この Mairie の人が気を利かせて私のメールを教会修復協会の会長(Président de l’Association pour la Restauration de l’Eglise)に転送してくれたので、その会長さんから丁寧なメールをいただいたんです。長いやつ。略すと

「ぜひ、教会を案内して差し上げます」

みたいな。正直に「大変ありがたいのですけど実はグーグル翻訳で仏訳してメールを書いてて仏語会話がダメだから英語だと助かります」と返信したら、また丁寧なメールをくださり、この2番目のメールは

「私は上手な英語は話せません、私の妻は上手ですが、私達はロマネスク美術を説明するための建築をよく知りません。」

なんて言いつつ、待ってるから何時に来るか教えて欲しいとのこと。妻は英語が上手?建築を知らない?どういう意味だろ?と思ったものの、私は深く考えずに「16時頃に姉と一緒に行きます」と返信しました。

私と姉は、16時頃に教会の前に到着。

そのとき、やっと2番目のメールの意味が理解できました。出迎えてくださったのは、教会修復協会の会長さん、奥様、そして建築家の3名様だったんです。なんと豪華なこと。

会長さんは平易なフランス語で、奥様は実に流暢な英語で、そして建築家さんもなるべく英語で話してくださいました。私と姉は二人ともフランス語が下手ですから、助かったの、なんの。

教会については、現地で得た情報(3名様との会話、掲示されていた案内と建築家さんが書いた本)をもとに書きます。

9世紀の終わり頃、サン=ピエール教会を含むペレシーの土地がフルーリー(Fleury)のサン=ブノワ=シュル=ロワール(Saint-Benoît-sur-Loire)大聖堂に与えられました。10世紀に、ベネディクト会の修道士たちはノルマン人からの攻撃に備えてペレシーに修道院(priory)を造り、サン=ブノワの聖遺物などをペレシーに移管しました。

11世紀から始まったロマネスク教会の建築は12世紀まで続きました。教会の南側には巡礼者用の建物も造られ、多くの巡礼者が押し寄せて、ペレシーはブルゴーニュで最も美しい場所と呼ばれました。

本というのは、ご本人から買った、こちら。

建築家さんが遠慮がちに「€10なんです、、、」とおっしゃった時の様子を今もはっきり覚えています。読み返すたび、€10じゃあ申し訳ないくらい情報満載で、実に良い本と思います。

総勢5名で豪華ツアーを開始。早速、教会の中に入りました。教会は2009年から2014年にかけて修復されています。

西扉口から入って東方向を見ています。上の写真で、向かって左には北側廊があったのですが、1500年頃の火事で失われ、かつての様子を偲ぶことができる壁になっています。

教会のフロアプランは建築家さんの本から。

交差部です。壁に空いてる穴は、建築時に材木を組んでいた穴と聞きました。

クワイヤ。

上の写真で奥の壁ぞいに木製の椅子があります。

この椅子はね、こうして折りたたむと、、、ほら。立っているように見せかけて、実はここに腰を乗せてラクをすることができるんですよ、と会長さん。

外に出てみました。

教会の北側です。上の写真の中で、右下にあるアーチが注目度の高いナルテックス部分ですが、詳しくは、後ほど。

教会の北側廊は1500年頃の火事で焼け落ちたそうです。

教会の北東側。

「もしかすると、この教会にも地下聖堂(Crypt)があるかも知れないんですよ」と建築家さん。え?そうなんですか?何か見つかったんですか?と地下聖堂が好きな私はワクワクしてききました。

すると、この時代に造られた聖堂の多くに地下聖堂があるから可能性がある、とのことで、遺構が見つかったとかじゃ無いそうですが。

見つかると良いなあ。

1030年頃の聖堂の予想図が下のBの絵です。建築家さんの本から。

教会の南側にまわります。

教会の南側には農地が広がっていて、とても眺めが良いです。

往時の姿と比べて、かなり規模が小さくなっています。現地にあった掲示がこちら。

上の掲示物の小さい字のところに Mme M. Tokita Darling と書いてありますが、Darling 常田 益代 先生のことです。こちらの教会について多くの著作があり、とても参考になります。

さて、最後に西側を見ました。この、ナルテックスがすごいんです。

西扉口です。12世紀の特徴的な彫刻が満載。

一部を拡大。

ティンパヌムには荘厳のキリスト。その両側に六つの翼を持つセラフィム(熾天使)がいます。そして、まぐさ石とその左右のフリーズには聖木曜日の夜の様子が描かれています。

サン=ピエール=エ=サン=ブノワ教会(Eglise Saint-Pierre-et-Saint-Benoît)のすごいナルテックス、次回に続きます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です