2022年9月7日(水)、最初の目的地は Rocher Saint-Michel d’Aiguilhe です。
ここは、奇岩の上に、火山岩を組み合わせて建築された礼拝堂です。壁画も柱頭彫刻も素晴らしい。
目次
Rocher Saint-Michel d’Aiguilhe へ . .
〜割引チケット〜 ..
概要 . .
フロアプラン . .
聖ラファエル礼拝堂の跡 . .
ファサード . .
柱頭彫刻 . .
宝物 . .
壁画 . .
眺め ..
脚注(1) 聖ラファエル
Rocher Saint-Michel d’Aiguilhe へ
私は宿から北西に17分ほど歩いて、奇岩の上にたつ礼拝堂を目指しました。
礼拝堂に行くには、岩山の下にある受付で€5を支払います。
〜割引チケット〜
もし、Rocher Saint-Michel d’Aiguilhe を含めて3か所以上に行く場合は、割引チケットがあるかもしれません。2022年には、72時間有効のこんな割引チケットがあって、€12で3か所、€16で5か所全部に入場できました。
対象は以下の5か所でした:
1. Cloître de la Cathédrale
2. Rocher Saint-Michel d’Aiguilhe
3. Musée Crozatier
4. Statue Notre-Dame de France
5. Forteresse de Polignac
それぞれの場所で払うより、割引チケットの方が、€5以上安くなります。
受付の奥から参道の階段に行くんですが、受付の建物に楽しい博物館があります。参拝前に楽しむも良し、帰りに楽しむも良し。
博物館によると、岩と礼拝堂はこんな歴史です。こうして奇妙な岩山ができたんですねえ。。。
概要
少なくとも200万年前、ピュイ盆地は巨大な湖であった。水中火山の噴火がこの地形を形作ったのである。溶岩は地表に到達する際に大量の水と接触して爆発し、水の中に落ちた。その破片が何層にも重なって凝集し、溶け合って薄茶色の物質となった。これが火山凝灰岩の始まりである。岩石が爆発のたびに火口の中に戻ってきたため、岩は垂直に近い形で構成され、深い煙突の中に蓄積された。火山凝灰岩の浸食によって、古い煙突の深い根元だけが残された。
礼拝堂の建築
ル・ピュイ教会長のトルアヌスは、当時、俊敏な人でなければ登れなかったエギュイユの岩の上に礼拝堂を建てたいと考えていた。そこで、司教ゴデスカルクに許可を求め、司教はトルアヌスを激励した。961年、司教ゴデスカルクは、この礼拝堂を奉献した。
もとはローマの神メルクリウスがまつられていた場所で、それ以前から聖域だったようです。
司教ゴデスカルクは、巡礼路であるポディエンシス街道を開通させた人で、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指した最初の外国人巡礼者として知られています。
10世紀につくられた礼拝堂は、奥行きが約7メートル、かなり小さなものでした。
フロアプラン
博物館で上映されていた動画を撮影しました。
建築は10世紀と12世紀に行われました。12世紀に、10世紀部分を包み込むように拡張されました。
11時9分、登山開始です。
聖ラファエル礼拝堂の跡
参道の階段は268段あり、10分くらいで着きます。
途中に、聖ラファエル礼拝堂の跡があり、聖ラファエルの石があります。
ラファエルは旅人と病人の守護天使(1)ですから、巡礼者にはうってつけ。
ファサード
11時15分、到着。6分間で着きました。
ファサードの装飾からして、圧巻です。
最上部には五つのアーチがあり、左端から聖ヨハネ、聖母マリア、イエス、聖ミカエル、聖ペトロがいます。
扉口上部のアーチには、細かい装飾があり、中央には神の仔羊がいます。
まぐさには人魚たち。
礼拝堂の中に入ります。
柱頭彫刻
礼拝堂の中には、見事な柱頭彫刻があります。
蝋燭のつけられている方に向かって、複数の尼僧たちがわざわざ直に床にひざまずいて椅子の後ろから熱心に祈りを捧げていたので、彼女たちの祈りが終わるのを待ってから撮影しました。
博物館の動画によると、西扉口の上のトリビューンは、かつて、聖職者(cleric)や司祭(priest)たち専用の場所でした。
この場所の柱頭には、すすのような黒ずみがあります。
壁画も、きっと昔は豪華だったことでしょう。
柱頭彫刻、どれも見事。
宝物
10世紀の建築部分に、いかつい格子に守られて、宝物があります。
宝物は、1955年に祭壇の基礎部分から発見された、ロマネスク時代の典礼装飾品。
現地のものは撮影が難しいので、博物館で仮想訪問シノグラフィーを撮影した画像です。
左の木製十字架は磔刑像。右の銀製聖遺物十字架は、「神の母」を意味する二つのギリシャ語の間に、幼いイエスを抱いたビザンチン様式の聖母が表されています。
どちらも、すごく魅力的。
最後に、壁画をみます。
壁画
博物館に掲示してあった案内によると、、、
レイアウトや技法は、聖堂の絵画が10世紀末から14世紀にかけてのさまざまな建設段階と同時期のものであることを示している。絵画装飾は、礼拝堂の壁面全体を覆っていた。
1823年に漆喰で完全に覆われた。1851年、画家であり修復家でもあったアナトール・ドーヴェルニュ氏が、漆喰の除去と絵画の調査を依頼された。
1997年には、マテイ・ラザレスク氏による修復前の分析で、煤や埃の下に壁画が存在する可能性が高いことが確認されている。
2003年から2005年にかけて行われたユーレス・アトリエ社による修復は、この二つの報告書に基づき、オリジナルの計画に近い修復を目指したものであった。
天井の中心には、イエスと、聖ミカエルとドラゴン。周囲に熾天使、太陽と月の擬人像、四福音書記者の象徴が描かれています。
その下には聖人たちが四方に横一列で描かれています。
さらにその下には、聖ミカエルと死者たちや天上のエルサレムが描かれています。
礼拝堂の見学は、これで終わり。外に出ます。
眺め
礼拝堂は、中も清々しいのですが、外の眺めも爽快です。
Rocher Saint-Michel d’Aiguilhe。奇岩の上に、火山岩を組み合わせて建築された礼拝堂です。壁画も柱頭彫刻も素晴らしい。
次回、大聖堂に戻り、回廊をみます。
(1) 聖ラファエル. ↩️
ラファエルは、聖書の正典では言及されていません。外典に言及があります。
旧約聖書続編の『トビト記』6章
2: 少年は同行する天使と連れ立って出発した。犬も出て来て彼らに付いて行った。二人は旅を続け、ある晩ティグリス川のほとりで夜を明かすことになった。
3: 少年は足を洗おうとしてティグリス川に下りて行った。すると、一匹の大きな魚が水中から跳び上がり、少年の足を一吞みにしようとしたので、彼は叫び声を上げた。
4: 天使は少年に、「捕まえなさい。しっかりと魚を捕まえて放さないように」と言った。そこで少年は魚をしっかりと捕まえて、陸に引き揚げた。
5: 天使は言った。「魚を切り裂き、胆嚢と心臓と肝臓を取り置き、ほかの内臓は捨ててしまいなさい。魚の胆嚢、心臓、肝臓は薬として役に立つからです。」
6: そこで少年は魚を切り裂き、胆嚢、心臓、肝臓を集め、身は焼いて食べ、残りは塩漬けにした。二人は共に旅を続け、ついにメディアの近くにたどりついた。
7: そこで、少年は天使に、「兄弟アザリア、魚の胆嚢、心臓、肝臓にはどんな効き目があるのですか」と尋ねた。
8: そこでラファエルは答えた。「魚の心臓と肝臓は、悪魔や悪霊に取りつかれている男や女の前でいぶしなさい。そうすれば、悪霊どものどんな力も消えてしまい、今後一切その人に及ぶことはありません。
9: 胆嚢は、目にできている白い膜に塗り、その部分に息を吹きかけなさい。そうすれば、目は回復します。」
少年(トビア)は天使ラファエルに助けられ、メディアの親族から父の貸金を取り戻す旅の途中でサラと結婚して新妻とともに帰国し、魚の胆汁を塗って父の失明をいやします。
ラファエル、大活躍。
ラファエルは旅人、病人、薬剤師などの守護天使です。
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