ル・ピュイ=アン=ヴレ(Le Puy-en-Velay)<5>

2022年9月7日(水)、二番目に訪れたのは Cathédrale Notre-Dame-du-Puy(大聖堂)の回廊。大聖堂のみどころ⑧です。

ここは有料ですが、十二分な価値があります。多色に装飾された回廊を眺めるだけでも楽しいですが、みどころに目を凝らすのも楽しいです。

目次

回廊へ .
割引チケット〜 .
概要 .
回廊全体 .
体験コーナー .
回廊のみどころ .
1. 磔刑図 .
2. 錬鉄の格子 .
3. 12世紀の柱頭 .
4. ヴレ評議会の間(salle des Etats du Velay) .

回廊へ

Rocher Saint-Michel d’Aiguilhe の見学を終え、南に600m、7分ほど歩いて、回廊の入り口に着きました。13時頃のことです。

回廊の入り口
撮影方向

青◯の場所(Information – tickets)で€6を支払います。

〜割引チケット〜

もし、回廊を含めて3か所以上に行く場合は、割引チケットがあるかもしれません。2022年には、72時間有効のこんな割引チケットがあって、€12で3か所、€16で5か所全部に入場できました。

対象は以下の5か所でした:
1. Cloître de la Cathédrale
2. Rocher Saint-Michel d’Aiguilhe
3. Musée Crozatier
4. Statue Notre-Dame de France
5. Forteresse de Polignac

それぞれの場所で払うより、割引チケットの方が、€5以上安くなります。

概要

回廊の受付に各国語でリーフレットがありました。一部抜粋して太字で和訳すると:

11〜12世紀に、増加の一途をたどる巡礼者を受け入れるために大聖堂が拡大され、回廊も並置された。回廊は在俗司教座聖堂参事会員(secular canon)のためのものであった。
14〜18世紀にかけて、回廊は幾度も修築された。1842〜1853年には、建築家マレーの指揮で大規模工事が着手され、解体、再建、修復が行われた。大規模工事はミメーに引き継がれて、20世紀初頭まで続けられた。

回廊の内側にある柱頭はオリジナルであり、12世紀における建築様式の変遷を見ることができる。中庭側に配されたものの多くは、19世紀に修復された。

11世紀〜12世紀の柱頭彫刻のオリジナルが、Musée Crozatier にあります。


回廊全体

回廊の北側から見学開始です。

回廊北側にて南を向く
撮影方向

古典的な植物模様の柱頭彫刻がすごく良いです。

回廊は、南側と北側に5ずつ、西側に9、東側に10のアーケードがあります。

回廊北側にて南を向く
撮影方向

軒下に魅力的なフリーズ装飾があります。19世紀に、かなり手を入れられたようです。オリジナルがクロザティエ博物館(Musée Crozatier)にあります。

回廊西側にて北東を向く
撮影方向

また、柱にもさまざまな時代の装飾があります。

回廊東側にて北を向く
撮影方向

例えば、南東の角にある柱は、11世紀に昔風につくったか、11世紀より前のものを再利用したかも。

南東の角にある柱
撮影方向

柱頭には古典的な植物模様があり、柱身の表面には丸底の溝彫り(フルート)があって、ずいぶん古そうです。

体験コーナー

こんな展示がありました。素材の解説です。

数キロ圏内で調達した素材たち。

火山凝灰岩、黒色スラグ、花崗砂岩、焼成粘土の現物が置いてあって、触って体験することができます。

TUF(凝灰岩)
SCORIE(スラグ)、ARGILE(粘土)
ARKOSE(花崗砂岩)

また、こんな展示もありました。部品を自分で組み合わせて装飾やアーチ構造を体験できます。

良い展示だなと思いました。

体験すると、少し見る目が変わる気がします。

回廊西側にて南東を向く
撮影方向

回廊のみどころ

ロマネスク好きが興味ありそうな箇所がこちら。

1. 磔刑図
2. 錬鉄の格子
3. 12世紀の柱頭
 (a) オリファント(象牙製の角笛)を奏でる天使
 (b) 二人の悪魔に囲まれた天使
 (c) ケンタウロス
 (d) 司教杖を取り合う修道院長と女修道院長
 (e) ライオン
4. ヴレ評議会の間(salle des Etats du Velay)

平面図に位置を示します:

平面図に示した位置

番号順にみます。

1. 磔刑図

東側にある、参事会の間(chapter room)の南壁にあります。参事会は、参事会員(canon)による週次協議会です。

参事会の間(chapter room)にて南を向く

1200年ごろの作品です。

磔刑図

各部分ごとに撮影しました。

カラフル。

2. 錬鉄の格子

西側にある、渦巻き模様の錬鉄の格子は、12世紀末もしくは13世紀の初頭に作られました。

回廊西側にて南を向く

この錬鉄の格子の向こう(南)は、大聖堂の西ポーチにつながっています。

錬鉄の格子

いい仕事してますなあ。

3. 12世紀の柱頭

これらの柱頭も、西側にあります。

 (a) オリファント(象牙製の角笛)を奏でる天使

(a)


 
(b) 二人の悪魔に囲まれた天使

(b)
(b)
(b)


 
(c) ケンタウロス

(c)
(c)
(c)

 (d) 司教杖を取り合う修道院長と女修道院長

(d)
(d)
(d)

 (e) ライオン

(e)
(e)
(e)

どれも味わい深い。

(なお、11世紀〜12世紀の柱頭彫刻のオリジナルが、Musée Crozatier にあります。)

4. ヴレ評議会の間(salle des Etats du Velay)

ヴレ評議会の間は、石落としの建物(Bâtiment des Mâchicoulis)の4階にあります。大聖堂の宝物が展示されています。

青銅製衣類留め(12世紀)や、銅とリムーザン地方のシャンルベ・エナメル製の聖遺物箱(13世紀)なども気になりますが、、、

ヴレ評議会の間
衣類留め(12世紀)
聖遺物箱(13世紀)

私が食い入るように見てしまったのは、こちら。

11世紀末から12世紀初めのオリファント(象牙製の角笛)。

南イタリアのアマルフィ地方にあったサラセン人の工房で作られたもの。

人、鳥、ライオン、アンテロープ、グリフォンなどが隅々までびっしりと描かれています。

オリファント(象牙製の角笛)は狩猟や戦争で使われていたそうなんですが、私のイメージはロマネスク彫刻に登場する牧歌的なイメージでした。

細工がすごい。

回廊の見学は、これで終了です。

大聖堂の回廊。ここは有料ですが、十二分な価値があるように感じます。多色に装飾された回廊を眺めるだけでも楽しいですが、磔刑図、12世紀の柱頭、ヴレ評議会の間に展示されている宝物群に目を凝らすのも楽しいです。

次回

私が回廊で見学していると、いく人もの回廊のスタッフが、かわるがわる話しかけました。話すうち、追加料金なしで15時半からガイドツアーに参加できて、Baptistère Saint-Jeanにも行けることがわかりました。

やったあ!

回廊のスタッフたち、最高〜

どの人もしっかり知識があって、いつも的確に答えてくれました。みなさん英語が達者だったことも有り難かったです。

次回、回廊のガイドツアーについて書きます。

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