シャリリュー(Charlieu)

2018年9月の旅行十日目、四番目の目的地はCharlieu。フルーリー=ラ=モンターニュ(Fleury-la-Montagne)から南に約8km、車でわずか約11分の道のりです。

ここでの目的はサン=フォルトゥネ修道院(Abbaye Saint-Fortuné)。

地図を見て思い立ち、当日、行くことを決めました。

近そうだな、と思ったんですよね~。そのときは、まだ疲れてなかったもんだから。

そもそも、連日、訪問予定をかなり詰め込んでいた私。無理したくなくて旅程から外したんですが、ペレシー=レ=フォルジュ(Perrecy-les-Forges)でブリヨネ地域のロマネスクの話になって、Charlieuを勧められたことも理由の一つ。

もう一つの理由は、小さくて素朴な聖堂を好む私ですが、こういう大きな修道院が付近の小さな聖堂に与えた影響を知るのに役に立ちますし、やっぱ、行っとこうかな、と。

つまり、軽い気持ちで決断しました。

町に着いて車を停め、歩くとナルテックスがバーン!と現れます。見えているのは北西の角です。

教会(今は基礎部分が残るだけ)の建築は11世紀ですが、このナルテックスは12世紀の増築。向かって右が西側ですが、豊かな装飾は北側の扉口に施されています。

ナルテックスの南に受付への入口があります。

ここは修道院としての役目を終え、博物館として運営されています。① 受付(Accueil)で€3の入場料を払い、リーフレットをもらいました。また、案内もたくさん掲示されています。例えば、これ。

ロマネスク建築の部分の名称を三ヶ国語で親切に教えてくれます。

リーフレットによると、修道院は875年にベネディクト会修道士によって創設されました。最初の教会が修道士たちによって建てられ、木材屋根の一廊式でした。930年から940年頃クリュニーに取り入れられ、クリュニーの大修道院長の指導で教会は石造りの三廊式、クワイヤに周歩廊を持つ構造に改築されました。さらに、1040年頃に修道院はクリュニー系の小修道院(priory)になりました。

10世紀以降、宗教コミュニティができて発展を続け、教会は11世紀にさらに拡張されてベネディクト会修道院の様式で再建されました。

18世紀に修道院は閉鎖され、建物は国有化されて売却されました。1926年に始まった発掘によって過去の三つの教会の遺構が確認され、11世紀の小修道院教会の様子が明らかになりました。

立体的なプランが過去の教会の様子を教えてくれます。手前が北です。

別の案内のプラン。向かって左が北です。

上のプランにある、④ ナルテックス(Narthex)を見ます。12世紀に増築された部分です。

façadeです。西側に十分な広さが無かったためか、北側に造られています。

ティンパヌムには、荘厳のキリスト、天使二人と福音書記者のシンボルが繊細に。

このティンパヌムのある扉口の西隣にも、繊細な彫刻があります。

こちらのティンパヌムは、リーフレットによると最後の晩餐ではなくカナの婚礼(『ヨハネによる福音書』2章)だそう。イエスが水をワインに変えちゃう、あれです。

ナルテックスの中にも扉口装飾があります。かつては教会の身廊につながっていた場所。

簡素でいい感じ。

柱頭やアトラスも、簡素で優美です。

扉口をくぐり抜けて聖堂側へ。

ナルテックスを振り返ると、彫刻が素晴らしい。

⑤ 修道院教会(Eglise prieurales)の部分は囲いがしてあり、立入禁止です。プランを再掲。

外(ナルテックスの北)から⑤ 修道院教会(Eglise prieurales)をみると、こうなっています。

教会の跡地の東に見える円柱形の塔は⑬ フィリップ・オーギュスト王の塔(Tour Phelippe Auguste)。在位の初め頃の1180年に建てられ、宗教コミュニティの天守閣として防衛上の役割を担いました。

その塔に接している建物は⑭ 裁判所(Auditoire de Justice)。ここに居た修道士たちはこの町の領主として近隣の村を含めた地域の裁判権を持っていました。

博物館の中に戻ります。⑥回廊(Cloitre)、15世紀。

⑦ 修道士の会合場所(Salle du chapitre)

⑧ パーラー(Parloir/Chauffoir)、現在は展示室になっていて、ロマネスクやゴシックの持ち送りなどがあります。

魅力的

拡大

別の壁

ぶた

こんなのも

なんか、ほのぼの。

こんなのも

脚、組まないといけなかったの?

床にもたくさん

動物たちもいます。

⑧ パーラーを出て、受付の上の⑪ 展示室(Exposition)に行きました。ベネディクト会、修道士や修道院について丁寧に説明してありました。

そのうちの一つが祈りの時間について。

修道士たちって、1日に8回も祈りを捧げるんですね。朝2時-3時なんて、私だったら起きられない。寝ぼけて変な夢をみそう。

⑭の裁判所を背にして、⑤修道院教会ごしに④ナルテックスを見ます。

まるで、夢の跡。

サン=フォルトゥネ修道院(Abbaye Saint-Fortuné)、その昔、ロマネスクが最も華やかだったときを偲ぶ事ができます。

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