2018年9月の旅行四日目(水)、三番目の目的地はMars-sur-Allier。サン=ピエール=ル=ムティエ(Saint-Pierre-le-Moûtier)から北に約11km、車でわずか12分の道のりです。
ここでの目的はサン=ジュリアン教会(Eglise Saint-Julien)。
教会をひとめ見て、うわお、かわいい!
とテンションあがりまくり。
見えているのは教会の南東側。
教会の周りの花たちに水やりをしている方がいらっしゃいました。
教会の西の日陰に路上駐車して、教会を振り返りました。
見えているのは、教会の南西側です。
近づいて
façadeが見えてくると、私だけじゃなく、夫まで「ここのこれ、いいねえ」と言ってティンパヌムに近づいていきました。一緒にいくつかロマネスク聖堂を巡っていますが、夫がこんな事を言うのは初めてのことです。オドロキ。
façadeを正面から。
扉口を拡大。
ティンパヌムを拡大。
荘厳のキリストの周りに福音書記者のシンボルがあり、両脇に使徒が6人居ます。それらの上で怪物が葉っぱを吐き出しています。
画像はクリックすると大きく表示されます。
両脇の6人の使徒のうち、私がわかるのは聖ペトロと聖パウロだけ。
聖ペトロは向って左で、天国の鍵を持っています。
聖パウロは向って右。聖句(phylactery)を持っています。ちなみに、phylactery はヘブライ語聖書の文句が書かれた羊皮紙、または、それを入れた革製で正方形の二つの小箱のこと(新約聖書『マタイによる福音書』23章5節)。二つをまとめてテフィリン(tefillin)と呼びます。朝の祈りの時に男性が身に着けるもので、一つを腕に一つを額に革のひもで結び付けて、これを身につけている間は神聖な気持ちでいなければならないとされています。
福音書記者のシンボルが、かわいすぎ。
マタイ(翼の人)。翼の形が素敵。
マルコ(獅子)。口がおっきい。
ヨハネ(鷲)。目がタレ目~
ルカ(雄牛)。この目つき、この鼻の穴、どうでしょう。私はすごく好きです。
たっぷり堪能した後、教会の中へ。
ところで、前もって、私の訪問予定日に教会が開いているか、開いているなら何時から何時までかを mairie に問い合わせたとき、こんな風に回答がありました。
「Notre église est ouverte au public tous les jours. Pour une visite guidée vous pouvez contacter Mme THONIER Corinne au 06-17-##-##-##. Vous pouvez également passer en Maire pour prendre des dépliants sur l’histoire de notre village, notre église et notre canton.
(私たちの教会は毎日一般に公開されています。案内をご希望の場合はマダム コリンヌ・トニエ(電話番号 06-17-##-##-##)までご連絡ください。また、mairie にお越しくだされば、 村、教会そして州の歴史についてのパンフレットがあります。)」
残念ながら私が訪問した水曜日は mairie はお休みでしたが、教会の中にパンフレットがありました。mairie に置いてあるものと一緒かどうか、分かりませんが。
折りたたんであって、広げるとでっかい。A2サイズくらいあります。
ロマネスクに限らず、この地方の教会を網羅。2018年6月~9月のそれぞれの教会の開いている時間も書いてあって親切です。重要度によって、トップ20は濃い網掛け、次いで重要なのを薄い網掛けで表示。
裏面。
Mars-sur-Allier の Eglise Saint-Julien はトップ20に入ってました。いえ~い。
この他に、この教会に特化した案内もありました。A4サイズのやつ。
反対側。
よく見ると、著者名が書いてあります。Corinne Thonier。この名前には見覚えが。mairie からのメールに書いてあった人です。もし、この方にガイドをお願いしていたら色々と教えてもらえたかも、と思うと、事前に連絡しなかったことが悔やまれました。
ただ、よく考えたら私、フランス語が下手だし、この日は予定を入れすぎてて、とてもそんな余裕は無かった。フランス語を練習して、時間に余裕もって出直します。マダム、どうかそれまでお元気で。
この教会はラ・シャリテ(La Charité)付属の小修道院(priory)として831年に創設され、1097年にはスヴィニー(Souvigny)の付属に、その後にクリュニー(Cluny)の付属になりました。12世紀にロマネスク教会が造られました。
フランス革命の時に国家財産として個人に売却されましたが、地域に譲られて教区教会(parish church)に。19世紀に大規模な修復が行われました。
この教会は聖ユリアヌス(フランス語でサン=ジュリアン)に捧げられています。ユリアヌスという名前の聖人は複数いますが、こちらのはオーヴェルニュの聖ユリアヌス。
ヤコブス・デ・ウォラギネの書いた『黄金伝説』の記述によれば、聖ユリアヌスはフランス南西部のヴィエンヌ(Vienne)生まれ。ローマの軍人で、304年にオーヴェルニュの町ブリウード(Brioude)で斬首されて殉教。
奇跡の一つが、聖ユリアヌス教会の羊を盗んだ助祭の話。どうしたことか、この助祭はたちの悪い熱病にかかりました。身体を冷やすために全身に水をかけてほしいと頼むので人々がかけてやると、たちまち悪臭をはなつ熱気が身体からたちのぼって、まもなく死んだそうです。聖ユリアヌスは熱病、遺失物の保護者とされ、猟人姿で描かれます。
話を聖ユリアヌスからこの教会に戻します。
教会の中でフロアプランを見つけました。
左が東、右が西です。
façadeを入ってすぐの場所で東を向いて。
南側廊。西から東を向いて。
北側廊。西から東を向いて。
祭壇の近くまで行って撮った写真。
西のfaçadeの方を振り返って撮った写真。
こんなのが居ます。
こっちでは、光を浴びてこんな感じ。
拡大。
大きい目で見下ろしていて、お前は誰だ?って感じ。
柱頭の中で私が一番気に入ったのが、こちら。
外に出ると、持ち送りも実に素晴らしい。
画像はクリックすると画面いっぱいに表示されます。
南西の側壁。
少し東に行って。
更に東に。
もっと東に。
持ち送りの場所から下に目をやると、かわいい南扉口があります。
南扉口は花模様。
持ち送りに目を戻しましょう。
東(後陣)側です。
北東に進みます。
北に進みます。
もっと北へ。
奇怪なやつらが鈴なり。
北側にも彫刻がびっしり。
あますところなく
はじのはじまで、びっしり。
鐘楼にも装飾がたくさん。
鳩の休憩所ですねえ。
実に見事に装飾ぎっしり。
北東から建物を眺めていると、
すぐそばに牛が沢山いて、草を食んでいました。そのあまりにのどかな様子に、ほのぼの。
Mars-sur-Allier の Eglise Saint-Julien。こんな素敵な教会が、あるんですねえ。
・
・
・
・
・