Fornovo di Taro の Pieve di Santa Maria Assunta、続きです。内陣のロマネスクを詳しく見ます。
内陣の全体像と十字架
全体像はこちらです。祭壇が目立ちますが、
十字架も良いんです。
素朴で味わい深くて、私はこういうの、すごく好きです。
ワシとアトラス
祭壇の隣には、ワシとアトラスが組み合わされています。ワシもアトラスも、おそらく1200年頃には説教壇の一部だったはず。
通常の目線だと、こんな感じに見えます。
しっかり見ます。
近寄って、しゃがんでのぞきこみ、アトラスたちの表情も見ます。
親近感を持ちやすい表情ですよね。こんなに近寄って、じっくり見る人は少ないかも知れませんが。
祭壇
祭壇には聖マルガレタの生涯を描いた浮き彫りがあります。
上下二段にわたって、八つの場面が展開します。
ヤコブス・デ・ウォラギネの書いた『黄金伝説』の記述によれば、聖女マルガレタはアンティオキア(現在のトルコ共和国)の出身。異教の神官テオドシオスの娘でしたが、洗礼を受けます。マルガレタの真珠のような美しさをみた長官オリュブリオスは、妻に迎えようと考え、同じ神々を拝むよう言いますが、マルガレタはこれを拒絶し、拷問されて殉教します。
このあたりは、聖女殉教の定番コースでしょう。「美しい乙女が異教徒のおえらいさんに見染められて拷問→殉教」ってことで。
独特なのは、竜の腹から出てきた部分です。マルガレタが拷問を受ける中で起きた奇跡の一つで、彼女は竜の姿をした悪魔に呑みこまれ、腹の中で十字を切ります。竜は十字の印がもつ力のためにまっぷたつに破裂し、彼女は傷ひとつ負わずに出てきたというもの。
「苦難を乗り越えて胎内から出てきた」ので、聖女マルガレタは安産の守護聖人として信仰されています。
八つの場面を一つずつ見ます。
まず、右上から。山羊や羊を放牧するマルガレタです。
次に、マルガレタの真珠のような美しさをみた長官オリュブリオス。笏を持った姿です。
長官オリュブリオスはマルガレタを妻に迎えようと考え、使者を派遣します。
使者がマルガレタのところにやって来ます。
同じ神々を拝むよう言われたマルガレタですが、右手に福音書を持って拒絶し、投獄されます。
投獄されたマルガレタは拷問を受けます。
まず、ムチうち。マルガレタは、両手を広げて手首を横棒に繋がれ、ムチで打たれます。
次の拷問は、両手首を横棒に繋がれ、体を裂かれます。両脇に、先の曲がった棒状の道具を手にしてマルガレタの体を裂いている処刑人がいます。
最後に、奇跡の場面です。
悪魔の誘惑をはらいのけるマルガレタ。
最大の見せ場は、やはり、この奇跡の場面です。
マルガレタは竜の姿をした悪魔に呑みこまれ、腹の中で十字を切ります。竜は十字の印がもつ力のためにまっぷたつに破裂し、彼女は傷ひとつ負わずに出てきたのです。
ぐるぐるとくねる竜のしっぽが、隣の拷問場面に侵入して、処刑人の足に絡んでいるのが、なんともロマネスクっぽい。
次回、ファサードのロマネスク彫刻を見ます。
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