ベルチェト(Berceto)<1>

2019年12月の旅行六日目、最初に目指すは Berceto 。泊まっているパルマから南西に約60km、車で約60分の道のりです。Berceto での目的は San Moderanno 。

旅行六日目、12月11日(水)の予定は
14. ベルチェト(Berceto)
15. バルドーネ(Bardone)
16. フォルノヴォ・ディ・ターロ(Fornovo di Taro)
17. タリニャノ(Talignano)
18. コッレッキオ(Collecchio)

グーグルマップの画像を編集しました。赤い線の範囲がエミリア・ロマーニャ州(イタリア)。

この日(12月11日)は、レンタカーでターロ川の渓谷にたたずむ珠玉のロマネスク五箇所を巡ります。その後、夕方にパルマでレンタカーを返却して、バスでホテルに戻るのです。

最初の目的地であるベルチェト(Berceto)については、三回に分けて書きます。<1>では村と大聖堂の概要、<2>では大聖堂の外観と内観、<3>では大聖堂のファサードの彫刻についてです。

山の中の小さな村

早朝にパルマを出発した私は、朝8時頃にベルチェト(Berceto)に着きました。

この村の人口は約2000人で、アペニン山脈の中にある自治体役場です。着いたときの印象は山の中の小さな村でした。

村の中心までわずか徒歩4分の場所が、こんなに広々としちゃって。車が停めやすくて、うれしい。

San Moderanno から270メートルの場所にある駐車場(Parcheggio Via Francesco Sales)

村の中心に向かって進むと、目指す San Moderanno がすぐに見つかります。

San Moderanno の外観、北西側。

まずは、中に入れそうかをチェックしました。

San Moderanno の外観、西側。

ばっちり扉が開いていたので、ひと安心。

ここで大聖堂の概要について書きます。

大聖堂の概要

この場所には、すでに中世初期に礼拝堂が建っていたようですが、文書で確認できる最も古い歴史は、8世紀初頭に聖アバンディウスに捧げられた小さな教会が建っていたことに遡ります。

8世紀初め、レンヌ司教だったモデラン(仏:Modéran、伊:Moderanno)がローマへの巡礼の旅に出ました。伝承によると、モデランは、その旅の途中で聖レミギウスの遺骨が保存されているランスの町を通り、その遺品の一部を手に入れてベルチェトにもたらしました。

その翌年、ロンゴバルド王リウトプランドがベネディクト会修道院を設立し、聖レミギウスに捧げ、モデランをその修道院長に任命しました。小さな教会は修道院教会となります。

11世紀初めにベネディクト会修道院は閉鎖され、教会は聖モデランに捧げられた後、パルマ司教に直接依存する教区教会に昇格しました。

12世紀末に、教会は、三つの身廊とそれに続く後陣を持つ、ラテン十字式のロマネスク様式で再建されました。

15世紀末から16世紀初めにかけて、教区教会は大規模な改築が行われました。柱が再建され、アーチが交換され、スパンがひとつ取り除かれ、主後陣が四角く再建され、側廊と礼拝堂が上に増築されました。

19世紀後半には西扉口を除くファサードがロマネスク様式で再建されたほか、鐘楼の上部も再建されました。

修道院教会、その後に教区教会となった重要さと、聖遺物(聖アバンディウスの遺体、聖モデランの遺体そして聖レミの法衣の断片)の神聖さから、いつしか教会は「ドゥオーモ(大聖堂;町でいちばんの教会)」の称号を得て、現在もそう呼ばれています。

こんな山の中の小さな村に大聖堂だなんて、すこし違和感がありますが、こういう理由があったんです。

かわいくて楽しい村

ファサードの前で、ふと南を向くと、石畳と中世の街並みが魅力的でした。

大聖堂の前を横切るロメア通り(Via Romea)。

この村がとてもかわいいので、ご紹介します。

大聖堂の北側に広場があります。

五つの通りが集まる交差点で、にぎやかに飲食店のアウトドア席が設けられるときもあるようですが、冬のこの日は駐車場になっていました。

大聖堂北側の広場

飲み水を切らしそうだと思い出した私は、食料品店(Berceto In Tavola)に行きました。

地元の特産品を扱うと書いてある店です。

その店先には、おいしそうなポルチーニ茸がどっさり。こんな立派なのが100グラムあたり22ユーロって、安いですよね。

おいしそうなポルチーニ茸

店に入ると、店の人たちが明るい声でいろいろと話しかけてきました。

「明日は雪が降りますよ。私は雪が大好きなので今から楽しみなんです。」こんなの言われると、急ぐ客だったら(知らんがな!)ってなりそうですが、うれしそうな様子なので、良い。

あとね、この地域の方言も教えてもらいました。

ダッボーン!?

本当に!?という意味だそうです。

私が日本から来たというと、「ダッボーン!?」と大いに驚いていました。

日本からの飛行機は直行便でも12時間のフライトだと教えると「ダッボーン!?」

私はこれから夕方までにロマネスク教会を五つ訪問すると教えると「ダッボーン!?」

なんだか楽しくなってきて、全員で大笑いしちゃいました。

きっと、この人たち、家に帰ったら家族に「今日は店に日本人が来たんだ」と話すのでしょう。そして「ダッボーン!?」と盛り上がるに違いない。

鮮魚店

ちなみに、大聖堂の東側に鮮魚店が来ていて、

大聖堂東に鮮魚店

新鮮そうな魚がたくさん売られていました。

鮮魚店

山の中で、新鮮な魚が手に入れられるなんて、恵まれていますよね!

良さそうな村でしょ。

次回は、大聖堂の外観と内観について書きます。

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