2024年5月20日(月)、二番目に訪れたのはEsclottes、Église Saint-Blaise d’Esclottesです。
ギュイエンヌ地方🇫🇷の小さな村にスペイン風のロマネスク建築が残っています。教会の内側と外側にある柱頭彫刻が素晴らしいです。
私は事前に役場(mairie)に5月20日に教会が開いているかと問い合わせました。「教会は開いている予定ですが、もし閉まっていたら役場(mairie)で鍵を借りてください」と返信がありました。
目次
1. Esclottes へ .
2. 概要 .
3. 航空写真 .
4. 外観(北東側) .
5. 外観(南東側) .
6. 外観(南側) .
7. 内観 .
1. Esclottes へ
エスクロット(Esclottes)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏ロット=エ=ガロンヌ県にある小さな村です。ギュイエンヌ地方にあり、ボルドー(Bordeaux)の約58km南東にあります。
教会は、小さな村の北東端、小高い丘の中腹にあります。
西側には、大きな扉口はありません。
2. 概要
教会の中に案内掲示がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
この教会は、サント・コロンブ(Sainte Colombe)とともに、この地方で唯一保存状態の良いロマネスク様式の教会である。
この教会は、11世紀末から12世紀にかけて建設された。
1075年頃、AMANCUUSという者がその魂の救済のため、聖フィデス(仏:Sainte Foy)に敬意を表す教会を建てることを条件に、ラ・レオル(La Réole)のベネディクト会修道士に土地を寄進した。当時、石工たちは特にスペインで大規模な建築現場で働いていた。そこで彼らは洗練された建築方法を学んだ。彼らはオークの森に覆われた土地を開拓してこの美しい教会を建設し、オークの木を意味するエスコルト(ESCOLT)と名づけた。これは後に、エスクロット(Esclottes)となった。
この後も、案内掲示を引用する時に太字で書きます。
3. 航空写真
Googleマップによる航空写真です。東が上です。
単身廊が内陣に続き、半円形の後陣があります。半円形の後陣の東に、後から増築されたような方形の聖具室があります。
4. 外観(北東側)
北東に行きます。
ロマネスク様式の窓があります。
北窓の柱の一本に人の姿が見える。これは棟梁もしくは建設を財政的に可能にした篤志家かもしれない。よくあることである。
5. 外観(南東側)
南東に行きます。
内陣に二つ、後陣に三つの窓があります。後陣の中央窓は、増築された聖具室に隠れています。
教会の中に入り、祭壇の東から聖具室に行くと、かつては教会の外側にあった後陣中央窓の柱頭彫刻を見ることができます。
南側は何やら絡み合っている模様、北側はS字模様のようです。
6. 外観(南側)
南に行きます。
この教会の主扉口は、南にあります。
南扉口は、石造りの屋根で保護されており、当時のロマネスク様式に従って柱で支えられている。ここにもスペインから持ち込まれた建築様式の例を見ることができる。
主扉口が南にあることや、その南扉口が簡素な幾何学模様や植物模様であること、単身廊に内陣が続いて最後に半円形の後陣があることなども、スペイン(カンタブリアやカスティーリャなど)で見た教会のつくりに似ています。
7. 内観
教会の中に入ります。
教会は、百年戦争と宗教戦争で被害を受けた。エスクロット(Esclottes)では修道院(monastère)が消失し、要塞化された教会が攻撃された。要塞はすべて破壊され、美しい石造りのヴォールトは崩れ落ちた。そのため、今日残っているのは、それぞれの柱の先にある、それを支えていたアーチの始まりの部分だけである。
身廊の一番東の柱間から東に、柱頭彫刻があります。
身廊北側の柱頭
「トビアと魚」
旧約聖書続編(『トビト記』6章)。天使ラファエルの命により、トビアはチグリス川で魚を捕らえ、その魚からその後の試練に役立つ胆のう、心臓、肝臓を取り出しました。
中世には、旧約聖書の物語は、新約聖書においてキリストが成し遂げることの予兆と考えられていました。自分を吞み込もうとする魚と闘うトビアは、悪と闘うキリストの予兆と解釈されていたようです。
ジロンド県のサン=マケール(Saint-Macaire)にも、よく似た柱頭彫刻があります。
身廊南側の柱頭
「有翼のライオン」
たてがみのカールと、翼の曲線が美しい。
勝利アーチ北側の柱頭
「獅子の穴の中のダニエル」
『ダニエル書』6章。
勝利アーチ南側の柱頭
「アダムとエバ」
『創世記』3章。
エバの得意げな顔、交差した足。
後陣中央窓の柱頭
後陣の中央窓にも物語性のある彫刻があります。
北側:「栄光のキリストと四福音書記者の象徴」、南側:「東方三博士の礼拝」
勝利アーチまでは主に旧約聖書の物語を置き、祭壇の奥には新約聖書の物語を置いています。キリストによる救済の意義をしっかりと伝える意図があったのかもしれません。
Église Saint-Blaise d’Esclottes。ギュイエンヌ地方🇫🇷の小さな村にスペイン風のロマネスク建築が残っています。教会の内側と外側にある柱頭彫刻が素晴らしいです。
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