2024年5月19日(日)、五番目に訪れたのはCastelviel、Église Notre-Dameです。
ここは、南扉口がギュイエンヌで最も豪華で美しい扉口のひとつです。
教会は閉まっていました。私は教会に入りませんでした。
目次
1. Castelviel へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(南扉口) .
1. Castelviel へ
カステルヴィエル(Castelviel)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏ジロンド県にある小さな村です。ボルドー(Bordeaux、同地域圏の首府であり同県の県庁所在地)の約38km南東にあります。
教会は、小さな村の南端にあります。
2. 概要
ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps『Guyenne romane』による概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
カステルヴィエル(Castelviel)は、南西部における後期ロマネスク芸術の最も素晴らしい例のひとつである。
非常に貧弱な教会(ロマネスク様式の身廊とクワイヤの一部、ゴシック様式の西壁と四角い聖域)が、ギュイエンヌで最も豪華で美しい扉口のひとつを所有しているのは驚きである。
幅が広く、奥行きが非常に深い扉口は、二つの小さな偽扉口に縁取られ、コントラストを際立たせている。全体は、飾りのない持ち送り持つコーニスの下、巨大に突き出た前躯体に収められ、古代の凱旋門のような四角い威厳を備えている。
サン・マルタン・ド・セスカ(Saint-Martin-de-Sescas)の同様のつくりのファサードが思い浮かぶ。しかし、サン・マルタンの彫刻は驚くほど職人技的な出来栄えに満足しているのに対し、カステルヴィエル(Castelviel)の石工は、卓越した作品が生まれるところから得られる言葉にできないほどの優雅さに触発されているという事実を除く。
この後も、『Guyenne romane』を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
Wikipédiaにあった平面図です。東が右です。
4. 外観(南扉口)
南扉口をみます。
南扉口のアーチ
扉口のアーチは、幅の広い帯状装飾と幅の狭い帯状装飾とが、それぞれ五つ重なりあっています。とても豪華。
内側から一番目と二番目のアーチは、幅広も幅狭も、様式化された植物や幾何学的な模様です。
内側から三番目の幅広のアーチは、綱引きが描かれていると思います。綱引きの場面が描かれている扉口は、ボルドー(Bordeaux)のサント・クロワ教会(Église Sainte-Croix)や、サント=クロワ=デュ=モン(Sainte-Croix-du-Mont)にもありました。その案内板にあったように、単なる大衆的な遊びではなく、善と悪との闘いを表しているのだと思います。
内側から三番目の幅狭のアーチは、様式化された植物の模様です。
内側から四番目の幅広のアーチは、「悪徳に対する美徳の勝利」が描かれていると思います。美徳の姿が、サントンジュ(Saintonge)地方のオルネー(Aulnay)やフェニウー(Fenioux)に似ています。また、それらに似ているジロンド県のブラジモン(Blasimon)を思い出します。
内側から四番目の幅狭のアーチは、三角の帽子またはフードを被った男性とライオンが交互に描かれていると思います。
内側から五番目(一番外側)の幅広のアーチは、「12ヶ月と黄道十二宮」が描かれていると思います。
ここは扉口の中で最も美しく、おそらく南西部で最も優れたロマネスク十二宮である。
左側から右側へと描かれている。
1月、祝宴の月、テーブルで飲み食いする男、その上に山羊座の足が乗っている。
2月、水瓶座に連れられて暖をとる人物。
3月、ブドウの木を剪定するワイン生産者、その上には牡羊座がいる。
4月、牡牛座を従えた少女(?)
5月、双子座であろうが、破損している。
6月、刈り入れをする人。
7月と8月の人物は摩耗しているが、乙女座と天秤座と、麦を脱穀している人物が見える。
9月、ワイン生産者が桶の中でブドウを踏んでいる。
10月、果物狩りをする人の後に、蠍座の星座が続く。
11月、刃物を肩にかけた男と豚(?)、その下に射手座。
12月、テーブルにつく男。
内側から五番目(一番外側)の幅狭のアーチには、牡鹿狩り、イノシシ狩り、野ウサギ狩りが描かれていると思います。
西偽扉口
西偽扉口の彫刻をみます。
柱頭について、左から順に簡単に列挙する:
1. 左側の大きな柱頭は、1845年には不完全なものであったとレオ・ドルーアン(Léo Drouyn)は述べている。蛇に胸をかませる女性が彫刻されている。
2. 二重柱頭:女性が引き離そうとしている格闘中の二人の男、そして、寄り添う女性と彼に向かって跳躍する犬の間にいる弦楽器奏者。
扉口西側の柱頭
3. 2頭の四足獣が尾を花形に立てており、四足獣の首の間から男性が頭を出している。
4. 弦楽器奏者とハープ奏者が、立っている女性の脇を固めている。
5. パルメットで飾られたこの柱頭はレオ・ドルーアン(Léo Drouyn)によれば、忠実に作り直されたものかもしれないが、古そうに見える。
扉口東側の柱頭
6. 2頭の四足獣が背中合わせに座り、口を大きな人面に向けている。
7.切断された頭部を 女性が男性に見せている。これは洗礼者ヨハネの首を持つヘロディアである可能性がある。背景にはライオンの頭部が見える。
8. 冠をいただく玉座の王が、横たわる人物の殺害を命じている。別の人物が剣を振りかざしている。悪魔の頭部が隅でにやにやしている。この扉の制作時期が遅いことを考えると、この場面は聖トマス・ベケットの殉教と見なすこともできる。ただし、その意味を隣の場面と関連づけ、ヘロデ王の命による聖ヨハネの殺害と解釈する場合は別である。その場合、これらの場面は外側から内側に向かって読まれることになる。
東偽扉口
9. 二重の柱頭は墓の聖女たちを描いている。左側には天使と、書物を持つ人物がいる。
10. 右側の大きな柱頭には、男性とグリフォンが向かい合っているが、これは近代的なものである。
東偽扉口のアーチでは、武装した兵士たちがにらみあっているようです。足の描き方が細やかです。
Église Notre-Dame。その南扉口は、ギュイエンヌで最も豪華で美しい扉口のひとつです。
・
・
・