2024年5月9日(木)の最後、三番目に訪れたのはMelle、Église Saint-Pierreです。
ここは、後陣の装飾に目を奪われます。内部にも素晴らしい柱頭彫刻があります。
Melle では、3か所に行きました。以下のように3回に分けて書きます。
<1> Église Saint-Hilaire
<2> Église Saint-Savinien
<3> Église Saint-Pierre
目次
1. Melle へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(東側) .
5. 外観(南側) .
6. 内観 .
1. Melle へ
メル(Melle)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏ヴィエンヌ県の町です。同県のあたりは県庁所在地であるポワティエ(Poitiers)を歴史的な中心地とし、ポワトゥー(Poitou)地方と呼ばれます。
メル(Melle)は、ポワティエ(Poitiers)の約55km北西にあります。
教会は、町の北にあります。
2. 概要
教会の中に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
この教会が建てられる前、この場所には礼拝堂(oratoire)があり、950年には、富裕で有力なベネディクト派サン=メクソン修道院(abbaye bénédictine de Saint-Maixent)の文書に言及されている。
メル(Melle)の他の教会と同様に、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼者の流れも見られた。宗教戦争で焼失し、破壊された後、フランス革命時には地元の集会の集会所として使われた。1855年以降、メリメによって大規模な修復工事が行われた。
人間的なスケールの教会は、その調和のとれたバランスが、Saint-Savinienで始まりSaint-Hilaireで完成したメル(Melle)のロマネスク様式の建築物における、成功の舞台となっている。
この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
案内板による平面図です。東が上です。
12世紀初頭に建設が開始されたこの豪華な建物は、おそらく資金不足により、いくつかの柱頭が未完成のまま残されており、12世紀半ばに質素な形で完成した。
最初にクワイヤと翼廊が建てられ、次に身廊が建てられた。
4. 外観(東側)
東側をみます。
三後陣に惜しみなく彫刻が施されています。
窓なんて、ひとつひとつ意匠の違う豊かな装飾。
軒下の持ち送りや柱頭に目を奪われました。
孔雀のような鳥たち、男性たちの変化にとむ表情。
音楽家、鳥たち。
鼻の下にある細長いものは、口ひげでしょうか。シヴォー(Civaux)やショヴィニー(Chauvigny)の、ライオンっぽい怪物たちの、人間のような顔にもありました。面白い。
5. 外観(南側)
教会の50メートルほど南に墓地があり、教会から墓地へと緑道がのびています。
教会には西扉口もありますが、主に南扉口が使われています。
南側を見ます。
南翼廊に浮き彫りが埋め込まれています。
翼廊は、12世紀初頭に建設が開始されたとき、クワイヤとともに最初に建てられました。これらの浮き彫りは、以前の建物にあったものを再利用したのかもしれません。
身廊の第3柱間に南扉口があります。
2人の聖人の間に座るイエス。
2人の聖人は、聖母マリアと聖ヨハネかもしれません。
持ち送りにはイエスと四福音書記者の象徴が描かれています。
メトープ(浮彫石板)にはケンタウロスのような射手を含む生き物たちが描かれています。
持ち送りを2体の射手が挟んでいるのは、何か意味があるのかも。
6. 内観
教会の中に入ります。
12世紀初頭に建設が開始されたこの豪華な建物は、おそらく資金不足により、いくつかの柱頭が未完成のまま残されており、12世紀半ばに質素な形で完成した。
身廊は、第1段階のクワイヤと翼廊の後、第2段階で建てられました。
素晴らしい柱頭彫刻があります。二つご紹介します。
柱頭1
とげを抜く男性
落ち着いた表情で、足に集中。
柱頭2
案内板には、このように書いてありました。
「キリストの埋葬(tombeau du Christ)」
とても珍しいテーマです。(もしかしたら、地元の偉い人のために作られたのかも。)
だって、キリストは自力で昇天しちゃうから。「キリストの昇天」(『使徒言行録』2章)が描かれているのをたくさん見かけます。
飛ぶ天使。
両側の男性の、やさしく伸ばす手、いたわる目。
隣では、別の天使が巻物を広げています。
恩寵に満ち満ち。
Église Saint-Pierre de Melle。後陣の装飾に目を奪われます。内部にも素晴らしい柱頭彫刻があります。
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