サン=ジュアン=ド=マルヌ(Saint Jouin De Marnes)

2024年5月8日(水)、二番目に訪れたのはSaint Jouin De Marnes、Abbaye Saint Jouin De Marnesです。

ここは、ファサードが素晴らしいです。また、外観内観ともに、周歩廊や放射状祭室の下部にしつらえられた小さなアーケードや柱頭の装飾が美しいです。内部の柱頭彫刻も良いです。

目次

1. Saint Jouin De Marnes へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(東側) .
5. 外観(西側) .
6. 内観(天井と柱頭) .
7. 内観(周歩廊) .

1. Saint Jouin De Marnes へ

サン=ジュアン=ド=マルヌ(Saint Jouin De Marnes)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏ドゥー=セーヴル県の村です。同県のあたりは県庁所在地であるポワティエ(Poitiers)を歴史的な中心地とし、ポワトゥー(Poitou)地方と呼ばれます。

サン=ジュアン=ド=マルヌ(Saint Jouin De Marnes)は、ポワティエ(Poitiers)の約45km北西にあります。

南西側外観

教会は、窓の装飾がたいへん凝っていて、しかもひとつひとつ違うので驚きます。

2. 概要

教会の中に案内掲示がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

342年頃、ムテール=シリー(Mouterre-Silly)の名門一族で、ポワティエの聖ヒラリウス(Hilaire)の弟子であったジョヴィヌス(Jovinus)またはジョアン(Jouin)という隠者が、アンシオン(Ension)と呼ばれる場所に隠棲した。アンシオンは、古代ローマ帝国時代の野営地の跡地であった。

アンシオン(Ension)の庵に集うジョヴィヌス(Jovinus)の弟子たちの小さな共同体は、ガリアにおける最初の修道生活の中心地のひとつとなった。これはトゥールのマルティヌスが設立したリグージェ修道院に先立つものであったとする歴史家もいる。

6世紀末、アンシオン修道院(monastère d’Ension)は聖ベネディクトの戒律の下に置かれた。おそらく、ナント近郊の修道院の創設者でもあったマルタン・ド・ヴェルトゥ(Martin de Vertou)の主導によるものであろう。

9世紀、ノルマンの侵攻から逃れたヴェルトゥ(Vertou)の修道士たちが、聖なる創設者の遺体を携えてやってきた。

聖ジョヴィヌス(Saint Jouin)と聖マルティヌスの聖遺物への崇敬は、多くの巡礼者をひきつけた。その後、修道院はサン=ジュアンと名乗り、隣接する丘に修道院を構え、洗礼者聖ヨハネと福音書記者聖ヨハネに捧げられた二つの教会が建てられた。

現在の修道院教会は、ロマネスク様式の教会であった福音書記者聖ヨハネに捧げられた教会において、1095年に着工された。これは、11世紀の既存の建築要素を利用したものであり、修道院教会の最も古い部分である交差部とクワイヤによって証明されている。建築工事は、聖人の聖遺物が新しい修道院教会に移されたことを示す主祭壇の奉献式が行われた1130年まで続いた。

後の世紀における建築的貢献
13世紀: アンジュー様式のヴォールト(身廊の一部、クワイヤ、周歩廊、祭室)の建築。
14世紀: 後陣と南翼廊の要塞化
15世紀:ゴシック様式の回廊が建設され、修道院教会の北壁に添う部分だけが残る。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

案内板による平面図です。東が上です。

案内掲示より

黒色:11世紀〜12世紀
格子:13世紀
斜線:15世紀
白色:19世紀〜20世紀(修復)

4. 外観(東側)

東に行きます。

南東側外観

周歩廊や放射状祭室の下部にしつらえられた小さな連続アーチや柱頭の装飾が美しいです。

私が上の写真を撮った場所は、とても開放的な空間で、近くで子ども連れの夫婦がくつろいでいました。

5. 外観(西側)

西に行きます。

この教会のみどころのひとつはファサードです。でも、19世紀末には哀れな姿でした。

案内掲示より:19世紀末(修復前)のファサード

その後の修復でこの姿に。

西側外観

ちょっと珍しい彫刻があります。

案内掲示より

1. 十字架の前の威厳に満ちたキリスト
2. ラッパを鳴らす天使
3. 仲介する聖母マリア
4. ひざまずく2人の巡礼者
5. 聖母マリアに向かう巡礼者の行列
6. コンスタンティヌス(?)
7. 教会(?)獅子を倒すサムソン(?)
8. 聖パウロ
9. 聖ペトロ
10. 福音書記者聖ヨハネ
11. 聖ジョヴィヌス(Saint Jouin)(?)
12. 教会
13. 受胎告知
14. 2人の農民(?)
15. 蛇に胸を噛まれる邪淫
16. 福音書記者の象徴(?)(損傷している)
17. 動物たち
18. 花
19. 月の仕事(切断されている)

キリストの足が置かれている台座は、聖母マリアの栄光の天蓋となっている。聖母マリアは、30人の小人物像から成るフリーズの中央に登場する。この巡礼者たちのフリーズは、ロマネスク教会には珍しく、選ばれし者たちを表している。農民、領主、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼者など、あらゆる階層の人々である。彼らは聖母マリアに近づき、聖母は威厳と母性を備えた態度で彼らを迎える。この仲介者マリアもまた、ロマネスク様式のファサードでは珍しいものである。

3. 仲介する聖母マリア

中央最上部にキリストがいて、最後の審判にのぞみます。その下にいる聖母マリアが、選ばれし者たちを救済してくれるよう仲介している、ということのようです。興味深いです。

6. 内観(天井と柱頭)

教会の中に入ります。

身廊の柱間の数は、なんと、10。

長〜い建物です。

身廊にて東を向く

身廊の西側の三つの柱間は、樽型ヴォールト。

身廊にて南東を向く

それより東側は、初期ゴシック様式のリブ・ヴォールトです。要石が凝っていて楽しいです。ひとつだけご紹介します。

リブ・ヴォールトの要石

柱頭を三つご紹介します。

柱頭1

柱頭1

柱頭2

柱頭2

柱頭3

柱頭3

植物と人物や動物の組み合わせです。ぐるぐる巻きが特徴的。

7. 内観(周歩廊)

周歩廊が美しいです。

周歩廊にて東を向く

壁の下部に小さなアーチと小柱が並び、ひとつひとつに違う彫刻が施された柱頭がすえられています。

数多くの巡礼者がここを訪れ、この光景を目にしたことでしょう。

Abbaye Saint Jouin De Marnes。ファサードが素晴らしいです。また、外観内観ともに、周歩廊や放射状祭室の下部にしつらえられた小さな連続アーチや柱頭の装飾が美しいです。内部の柱頭彫刻も良いです。

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