ポワティエ(Poitiers)<6>

2024年5月7日(火)の最後、六番目に訪れたのはPoitiers、聖ヨハネ洗礼堂(Baptistère Saint-Jean)です。

ここは、壁画が素晴らしいです。

2024年は以下の日程で開いていました。有料(€3)です。
6月21日〜9月30日は、毎日10:30~12:30と14:00~18:00
10月1日〜3月31日は、月曜日、クリスマスと年末年始を除く毎日14:00~18:00
4月1日~6月20日は、月曜日を除く毎日14:00~18:00

Poitiers では、6か所に行きました。以下のように6回に分けて書きます。
<1> Église Saint-Hilaire Le Grand
<2> Église Saint-Porchaire
<3> Église Notre-Dame-la-Grande
<4> Église Sainte-Radegonde
<5> Musée Sainte-Croix
<6> Baptistère Saint-Jean

目次

1. Poitiers へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観 .
5. 内観 .

1. Poitiers へ

ポワティエ(Poitiers)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏ヴィエンヌ県の県庁所在地です。同県のあたりはポワティエ(Poitiers)を歴史的な中心地とし、ポワトゥー(Poitou)地方と呼ばれます。

ポワティエ(Poitiers)は、アングレーム(Angoulême)の約103km北、トゥール(Tours)の約95km南にあります。

聖ヨハネ洗礼堂(Baptistère Saint-Jean)は、サント=クロワ博物館(Musée Sainte-Croix)の北隣にあります。

南側外観

写真の中で聖ヨハネ洗礼堂(Baptistère Saint-Jean)の向こう(北)にあるゴシック様式の塔は、大聖堂です。

2. 概要

洗礼堂の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

レモヌム(Lemonum)からポワティエ(Poitiers)へ

ローマ時代、この町はLemonumと呼ばれていた。その重要性は、整然とした広大な道路網の存在や、巨大な円形競技場や複数の浴場の建設によって証明されている。Poitiers という地名が初めて登場したのは3世紀のことで、この町がピクトン(Pictons)族の都であったことにちなんでいる。

3世紀末から4世紀初頭にかけて、この町は塔が点在する大きな市壁に囲まれていた。4世紀後半には、洗礼堂と西側に大聖堂(現存せず)からなる最初の司教座聖堂が建てられた。

聖ヨハネ洗礼堂(Baptistère Saint-Jean)

洗礼堂は、古代住居の浴場跡に建てられた以前の洗礼室に代わって、5世紀に建てられた。フランス最古のキリスト教遺跡のひとつであり、古代末期から中世中期にかけての建築様式の貴重な証となっている。大理石の柱頭など、古代の要素が再利用されている。6世紀、7世紀、9世紀、11世紀の間に、多くの建築的な変更が加えられ、当初の姿は変化した。

フランス革命の際、洗礼堂は国有財産として売却された。1834年に国とのちのSociété des antiquaires de l’Ouestのメンバーによって購入されたことで、辛うじて破壊から免れた。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

洗礼堂の中でもらったリーフレットによる平面図です。東が右です。

リーフレットより

リーフレットによると、7世紀につくられた基礎により、ほぼ現在のレイアウトになりました。

22で示された八角形が洗礼盤で、この四角形の空間が洗礼室。

洗礼室の左(西)にある「D」のあたりが玄関間、右(東)にある「E」のあたりが後陣です。

4. 外観

西に行きます。

周りの地面は、洗礼堂の床よりずいぶん高い位置にあります。

北西側外観

切妻屋根より低い多角形の建物が、玄関間です。軒下に持ち送りがあります。

持ち送り

にらみをきかせる生き物たち。

5. 内観

洗礼堂の中に入ります。

玄関間と洗礼室との間に、2本の大きな柱があります。

西扉口にて東を向く

11世紀の終わり頃、洗礼堂は質の高い絵画装飾で飾られた。これらの壁画の様式は、ポワトゥー(Poitou)地方の工房によるもので、サン・サヴァン大修道院(Abbaye de Saint-Savin)のものに匹敵する。

洗礼室にて西を向く
洗礼室にて北を向く

洗礼室では、後陣の上に、キリストの昇天が描かれ、初期キリスト教のレパートリーである2羽の孔雀に囲まれた生命の壺が向かい合っている。このプログラムは、キリスト教信仰の基礎を再確認するものである。

洗礼室にて東を向く

騎馬像のひとつは、312年にキリスト教の礼拝を公式に容認したローマ皇帝コンスタンティヌスを指している。

洗礼室東壁:皇帝コンスタンティヌス

13世紀前半には、装飾の一部がやり直され、特に後陣には洗礼者聖ヨハネの生涯の場面が描かれた。

南側の壁には、ドラゴンと戦う武具を持った人物が描かれ、善と悪の闘争を表現している。

「MAVRICIVS」と書いてありますから、聖マウリティウスかもしれません。

洗礼室南壁

最後に、天使の写真をひとつ。

衣装がおしゃれ。膝のあたりがすぼめてあるし、裾には飾りがあります。

洗礼室東壁:天使

描き方としては、白い色の使い方がサン・サヴァン(Abbaye de Saint-Savin)に似ている気がします。

聖ヨハネ洗礼堂(Baptistère Saint-Jean)。壁画が素晴らしいです。

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