ポワティエ(Poitiers)<3>

2024年5月7日(火)、三番目に訪れたのはPoitiers、Église Notre-Dame-la-Grandeです。

ここは、ファサードがロマネスク美術の最高傑作のひとつとされています。クワイヤに天井画があります。訪問できませんが、地下聖堂にも壁画があります。

私は事前に観光局に問い合わせました。すると「教会は開いていますが、地下聖堂は訪問できません。」と返信がありました。

Poitiers では、6か所に行きました。以下のように6回に分けて書きます。
<1> Église Saint-Hilaire Le Grand
<2> Église Saint-Porchaire
<3> Église Notre-Dame-la-Grande
<4> Église Sainte-Radegonde
<5> Musée Sainte-Croix
<6> Baptistère Saint-Jean

目次

1. Poitiers へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(ファサード) .
5. 内観(クワイヤ) .
6. 内観(地下聖堂) .

1. Poitiers へ

ポワティエ(Poitiers)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏ヴィエンヌ県の県庁所在地です。同県のあたりはポワティエ(Poitiers)を歴史的な中心地とし、ポワトゥー(Poitou)地方と呼ばれます。

ポワティエ(Poitiers)は、アングレーム(Angoulême)の約103km北、トゥール(Tours)の約95km南にあります。

南西側外観

教会の周りは、パン屋や飲食店などが数多く立ち並んでいて、たくさんの人が行き交っています。

2. 概要

教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

11世紀に再建されたこの教会は、1086年に後の教皇ウルバヌス2世によって奉献された。翌世紀には長さが延長され、新しいファサードが付け加えられた。

13世紀の初めには回廊が建設され、そのアーケードの一部が隣接していた建物に残っている。15世紀と16世紀には、葬儀用の礼拝室が増築された。律修司祭たち(chanoines)は身廊に沿って店を建てることを許可した。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

教会の中にあった案内掲示による平面図です。東が上です。

案内掲示より

三廊式で、柱間は八つあります。このうち東側が11世紀の再建、西側は12世紀の増築です。

4. 外観(ファサード)

ファサードをみます。

12世紀前半に建てられたこのファサードは、ロマネスク美術の最高傑作のひとつである。16世紀にプロテスタントによって意図的に壊された顔もあるが、人物像が大きな役割を果たしている。また、ライオン、鳥、グリフォンなど、動物も大きな役割を果たしている。前庭で行われた説教の支えとして使われたことは間違いない。1992年から1995年にかけて行われた修復工事で発見された顔料の痕跡から、全体が彩色されていたと考えられる。ファサードは三つの部分に分かれている。扉口の上部には聖書の場面が描かれており、左側に描かれている木の両側に裸で描かれたアダムとイヴから始まり、右側に描かれているイエスの沐浴で洗礼を暗示して終わっている。その上には、十二使徒とニ人の司教が描かれている。その上には、キリストがマンドルラの中に立っている。キリストの顔の上には、太陽と月の寓意が描かれている。

西側外観

アーチ装飾が見事。

ファサード、一層目の左(北)側

アーチの上には、聖書の場面を描いた浮き彫りがあります。この前庭で説教をするときに役に立っていたそう。

ファサード、一層目の右(南)側

聖書の場面の上にも、多様な浮き彫りがびっしりです。すごい。

5. 内観(クワイヤ)

教会の中に入ります。

ロマネスク様式の柱頭は、主に植物模様で装飾されていますが、ライオン、人物、鳥なども描かれています。

身廊にて東を向く

クワイヤに行きます。

クワイヤの聖母マリア像は、「鍵の奇跡」のエピソードを思い起こさせる。13世紀初頭の復活祭の日、ある聖職者が町をイングランド人に引き渡そうと企んでいたとき、町の門の鍵がいつもの場所に見当たらなかった。その朝、鍵は奇跡的に彫像の手の中にあった。

クワイヤ

クワイヤに天井画があります。

クワイヤのヴォールト

その場に案内掲示がありました。

クワイヤのヴォールトに描かれた絵画は1852年に再発見され、修復された。その後、色あせてしまった。11世紀末から12世紀初頭のものとされる。

案内掲示より

聖母(1)は知恵の王座にあり、幼子イエスを膝の上に乗せている。二人の天使(2)と聖女たち(3)に囲まれた聖母は、息子の勝利と密接に結びついている。仲介者としての彼女の役割は、その後の数世紀にわたってますます大きくなっていく。

キリストは神々しい威厳を帯びて(4)、構図の中心に現れる。左手に生命の書を持ち、右手で祝福している。キリストは二重のマンドルラに取り囲まれて座っている。

『イザヤ書』66章1節
主はこう言われる。天はわたしの王座、地はわが足台。

長方形の角には、四福音書記者の象徴が描かれている:聖マタイの有翼の人(5)、聖ヨハネの鷲(6)、聖ルカの有翼の雄牛(7)、聖マルコの有翼の獅子(8)である。彼らは、キリストの力の宇宙的シンボルである太陽、月(10)(11)、二人の天使を従えている。

ヨハネの黙示録4章
7: 節第一の生き物は獅子のようであり、第二の生き物は若い雄牛のようで、第三の生き物は人間のような顔を持ち、第四の生き物は空を飛ぶ鷲のようであった。
8: この四つの生き物には、それぞれ六つの翼があり、その周りにも内側にも、一面に目があった。彼らは、昼も夜も絶え間なく言い続けた。「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、/全能者である神、主、/かつておられ、今おられ、やがて来られる方。」

アーケードの下には、教会の柱である十二使徒(12)がキリストの勝利に加わっている。碑文にはトマス、マタイ、バルトロマイの名が読み取れる。

ヨハネの黙示録21章
14: 都の城壁には十二の土台があって、それには小羊の十二使徒の十二の名が刻みつけてあった。

4人の天使が小羊を取り囲み(13)、十字架のような縁取りが刻まれている。十字架刑の象徴であると同時に、キリストの勝利の復活の象徴でもある小羊は、地下聖堂にも表されている。

左右には、服を着ていない選ばれし者たち(14)が、2人の天使に迎えられている。キリストは全能によって人類を贖い、解放した。私たちを悪から救い出し、天のエルサレムという新しい王国へと導いてくださったのだ。

ここで使われている色(赤黄土色、黄土色、青、白など)は、この地方で頻繁に使われていた。ポワティエでは、Saint-Hilaire Le GrandBaptistère Saint-JeanSaint-Savin-sur-Gartempe が最も有名である。

6. 内観(地下聖堂)

クワイヤの下に地下聖堂がありますが、訪問できません。

ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps『Poitou roman』による写真です。(2人の聖人、地下聖堂の入口。)

ゾディアック(Zodiaque)より
ゾディアック(Zodiaque)より

周歩廊からクワイヤを向くと、クワイヤの下に地下聖堂の入口があります。

周歩廊にて北を向く

小扉の柵の間から中を見ると、彩色がありました。

地下聖堂の扉の柵の間から撮影

私は想像していたよりもカラフルなことに驚きました。

Église Notre-Dame-la-Grande。ファサードはロマネスク美術の最高傑作のひとつとされています。クワイヤに天井画があります。訪問できませんが、地下聖堂にも壁画があります。

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