リシェール(Lichères)

2024年5月4日(土)、最初に訪れたのはLichères、Église Saint-Denis de Lichèresです。

ここは、アングモワ(Angoumois)地方とポワトゥー(Poitou)地方の影響を併せ持っています。外観では西扉口、南窓と後陣、内観では身廊が素晴らしいです。

2024年、教会はほぼ毎日開いていました。

目次

1. Lichères へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(東側) .
5. 外観(南側) .
6. 外観(西側) .
7. 内観 .

1. Lichères へ

リシェール(Lichères)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏シャラント県の村です。同県のあたりは県庁所在地であるアングレーム(Angoulême)を歴史的な中心地とし、アングモワ(Angoumois)地方と呼ばれます。

リシェール(Lichères)は、アングレーム(Angoulême)の約29km北にあります。

南東側遠景

ずんぐりとした小さな教会が、小麦畑の中にあります。

2. 概要

教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

教会は12世紀前半に建てられた。ポワトゥー(Poitou)地方のベネディクト会シャルー修道院(abbaye de Charroux)に依存していた小修道院(prieuré)の現存する最後の例であり、アングモワ(Angoumois)地方とポワトゥー(Poitou)地方の影響を併せ持つ。

ポワトゥー(Poitou)地方の特徴として、かつてのアングレーム(Angoulême)教区では数少ない三廊式の身廊を持つ。柱頭は滑らかでシンプルな渦巻き模様があり、彩色されていたと推測される。この古風なデザインは、11世紀のポワトゥー(Poitou)地方の建築様式を彷彿とさせる。

一方、アングモワ(Angoumois)地方の特徴は、クワイヤと小後陣との間にある小さな四角形の礼拝室である。このような付属礼拝室は、12世紀のムーティエ・シュル・ボエーム(Mouthiers-sur-Boëme)やシャンニエ(Champniers)など、いくつかの教会で見られる。交差部の上のドームはこの地方の典型的なものである。身廊の柱頭を除いて、豊かな彫刻はアングレーム大聖堂(cathédrale d’Angoulême)の作品から着想を得ている。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

案内板による平面図です。東が上です。

案内板より

黒色:12世紀
斜線:近代

4. 外観(東側)

東に行きます。

後陣のアーケード装飾は、ポワトゥー(Poitou)地方にも見られるが、かつてのアングレーム(Angoulême)教区でも最も素晴らしいもののひとつである。

東側外観

持ち送り、アーチ、柱頭などに彫刻があります。

持ち送りを五つご紹介します。

南小後陣の持ち送り二つ。

南小後陣の持ち送り

主後陣の持ち送り三つ。

主後陣の持ち送り

大きな口がかわいい。

5. 外観(南側)

南に行きます。

南側外観

古そうな透かし模様の窓があります。

フェニウー(Fenioux)の繊細な透かし模様の窓は、現地の案内板に「おそらくカロリング朝時代にさかのぼる」と書いてありました。

南翼廊の窓

身廊の持ち送りと窓に装飾があります。

窓の柱頭を四つご紹介します。

柱頭1
柱頭2

大きい目が愛らしい。

柱頭3
柱頭4

笑顔が良いです。

6. 外観(西側)

西に行きます。

扉口の両側に、支えるべきものを失った円柱があります。きっと以前にはポーチがあったと思います。

西側外観

西扉口の興味深いセグメント・アーチのまぐさを伴うティンパヌムは、この教会からそう遠くない場所にあるシャンパーニュ・ムートン(Champagne Mouton)のものと比較することができる。

西扉口

彫刻が素晴らしい。

優しげなライオン。ライオンは、前足を男性の頭にのせているようです。

ライオン

やっつけられるドラゴン。

やっつけられるドラゴン

たぶん、槍がグサっと刺さっていると思います。

7. 内観

教会の中に入ります。

南北に狭い側廊を持つ三廊式。シンプルな渦巻き模様の柱頭は、11世紀のポワトゥー(Poitou)地方の建築様式を彷彿とさせるものだそう。

身廊にて東を向く

一部の柱は、床下の基部をあらわにしてあります。

柱の基部

柱の基部は、現在の地面よりも80cmほど低い位置にあります。

遠くから見たとき教会がずんぐりとしていたのは、経年で地面が高くなり、建物の一部が地面に埋まってしまったからのようです。

交差部に行って南西をふりかえると、南側廊から入る光が、円柱ごしに美しく見えました。

交差部にて南西を向く

三身廊とその柱頭にはポワトゥー(Poitou)地方の特徴があります。

でも、交差部から東にはアングモワ(Angoumois)地方の特徴があるようです。交差部の上にあるドーム。この地方の典型的なものだそう。

交差部のドーム

また、クワイヤと小後陣との間(交差部の柱の外側)にある小さな四角形の礼拝室も、アングモワ(Angoumois)地方の特徴なのだそう。

身廊にて東を向く

クワイヤ、礼拝室、南小後陣。

南側廊にて東を向く

交差部から東の柱頭は、身廊の柱頭とは特徴が異なります。

クワイヤの柱頭

どちらも良いです。

Église Saint-Denis de Lichères。アングモワ(Angoumois)地方とポワトゥー(Poitou)地方の影響を併せ持っています。外観では西扉口、南窓と後陣、内観では身廊が素晴らしいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です