オルネー(Aulnay)

2024年5月3日(金)の最後、三番目に訪れたのはAulnay、Église Saint-Pierre-d’Aulnayです。

ここは、気品に満ちた優雅な教会です。外観ではファサード、後陣と南扉口、内観では柱頭が素晴らしいです。

2024年、教会は毎日7:00〜18:00に開いていました。

目次

1. Aulnay へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(ファサード) .
5. 内観 .
6. 外観(後陣) .
7. 外観(南扉口) .

1. Aulnay へ

オルネー(Aulnay)は、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏シャラント=マリティーム県の村です。同県のあたりはサントンジュ(Saintonge)地方と呼ばれます。この村はサント(Saintes)の約38km北東にあります。

村は、サントンジュのオルネー(Aulnay de Saintonge)とも呼ばれます。

北西側外観

教会は、ファサードと南壁を修復中でした。

2. 概要

教会の外に案内板がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

オルネー・ド・サントンジュ教会は、古代ガロ・ローマ時代の街道沿いにあり、古代神殿の近くにある。

かつての修道院教会で、1030年にはリモージュ(Limoges)の Saint-Martial に属していた。1119年にポワティエ(Poitiers)の monastère de Saint-Cyprien の所有となり、1122年頃にポワティエ大聖堂(cathédrale de Poitiers)の参事会(chapitre)の手に渡った。

現在の教会は、12世紀前半(1130-1150年)に、おそらく(同じ場所には建っていなかった)別の教会に代わって建てられたものである。聖パウロに捧げられた後者の教会は、1119年から1135年の間に建てられたと考えられている。

現在の教会の建設は、身廊から始まり、西側ファサード、後陣、南門と続いた。

この後も、案内板を引用する時に太字で書きます。

3. 平面図

ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps『Poitou roman』による平面図です。東が上です。

ゾディアック(Zodiaque)la nuit des temps『Poitou roman』より

黒色:12世紀
格子:15世紀

教会は、ロマネスク期にポワティエ(Poitiers)の修道院や大聖堂に所有されていました。教会は、ポワティエ(Poitiers)から約82km南西にあります。

4. 外観(ファサード)

ファサードをみます。

西側ファサードは15世紀に改修され、両側に控え壁が追加された。コンスタンティヌス帝の騎馬像が、このファサード上段の中央から失われている。馬の断片は、教会内部の北側廊に見ることができる。

西側外観

西扉口のアーチをみます。一番内側のアーチには神の子羊と天使たち、二番目のアーチには悪徳に対する美徳の勝利、三番目のアーチには、「賢いおとめと愚かなおとめ」(『マタイによる福音書』25章)、四番目(一番外側)のアーチには12ヶ月と黄道十二宮、が描かれていると思います。

西扉口

描かれているテーマといい、描かれている「賢いおとめ」や「美徳」の姿といい、フェニウー(Fenioux)の扉口を思い出します。

西扉口(賢いおとめ、悪徳に対する美徳の勝利)

西扉口の両側には、三連の盲アーチとティンパヌムがあります。

左(北)側のティンパヌムには聖ペトロの磔刑像、右(南)側のティンパヌムには聖ペトロと聖パウロに挟まれたイエス、が描かれていると思います。

左(北)側
右(南)側

19世紀には、数多くの工事と修復が行われた。その際、右側のティンパヌムの前にあった洗礼堂が撤去された。この構造物があったおかげで、ファサードのこの部分の多色性が保たれ、その痕跡は今日でも見ることができる。

5. 内観

教会の中に入ります。

身廊にて東を向く

柱頭が素晴らしいです。

柱頭1:フクロウとライオンたち、柱頭2:怪物たち、だと思います。

柱頭1
柱頭2

柱頭3:ライオンたち、柱頭4:激しい闘争、だと思います。

柱頭3、柱頭4

柱頭5:「獅子を裂くサムソン」(旧約聖書の『士師記』14章)、だと思います。写真には写っていませんが、この柱頭の反対側に「アダムとエバ」が描かれています。

柱頭5

柱頭6:「サムソンの髪を切るデリラ」(旧約聖書の『士師記』16章)、だと思います。

柱頭6

柱頭7:「聖ゲオルギウスとドラゴン」、柱頭8:歯を見せ歪めた顔、だと思います。

柱頭7

柱頭8:重い財布を永遠に持たされる守銭奴と悪魔たち、だと思います。

柱頭8

柱頭9:人の頭を食う怪物たち、だと思います。

柱頭9

柱頭10:「カインとアベル」(旧約聖書、『創世記』4章)、だと思います。

アベルは羊の群れの中から肥えた初子を、カインは土の実りを主のもとに献げ物としました。主はアベルとその献げ物に目を留められたが、 カインとその献げ物には目を留められなかった。。。だからカインは、弟のアベルを殺しちゃうんです。

柱頭10

柱頭11:象たち、だと思います。

柱頭11

スリムでかっこいい象たち。

6. 外観(後陣)

外に出て東に行きます。

鐘楼は2度改築されている。13世紀には3層目が追加され、尖塔が付け加えられた。この尖塔は18世紀に解体され(亀裂が入って崩壊の危険があったため)、新しい尖塔に置き換えられた。

東側外観

三後陣とも、豊かな装飾があります。

こちらは主後陣。

主後陣

優雅なのに、あちこちに奇妙なものが描かれていて、楽しいです。

7. 外観(南扉口)

南に行きます。

わお。

濃密な装飾に息を呑みます。

南東側外観

南扉口の上にあるアーチには、悪徳に対する美徳の勝利が描かれています。

南扉口の上にあるアーチ

南扉口の上には、さまざまな動物と人間の頭部が描かれた持ち送りがあります。

南扉口のアーチには、『ヨハネの黙示録』の長老たち、預言者、使徒、動物たち、ケンタウロス、グリフィンなどが描かれています。

南扉口

アーチを下から見上げると、こんなところにも人物たちが描かれていて、驚きます。

南扉口

細かい。

南扉口

竪琴を奏でるロバ、牡鹿、ケンタウロス、フクロウなど。

南扉口

私はフクロウの無表情が好きです。

Église Saint-Pierre-d’Aulnay。気品に満ちた優雅な教会です。外観ではファサード、後陣と南扉口、内観では柱頭が素晴らしいです。

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