2023年9月24日(日)の最後、六番目に訪れたのはRomans-sur-Isère、Collégiale Saint-Barnardです。
ここは、身廊の柱頭彫刻が素晴らしいです。西扉口もいいです。
2023年、教会は日曜から金曜の9:00~18:30と土曜の9:00~18:00に開いていました。
目次
1. Romans-sur-Isère へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観 .
5. 内観 .
1. Romans-sur-Isère へ
ロマン=シュル=イゼール(Romans-sur-Isère)は、フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ドローム県にある村で、リヨンの約82km南、ヴァランス(Valence、ドローム県の県庁所在地)の約18km北東にあります。
教会が建っているのは、イゼール(Isère)川の右岸です。

私は、左岸の駐車場に車を停め、歩いて教会に行きました。
2. 概要
教会の中に案内掲示がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
837年頃:シャルルマーニュ(カール大帝)の戦友でありヴィエンヌ(Vienne)大司教であったバルナール(Barnard)が、この地にベネディクト会修道院を創設。
〜第一の教会〜
842年1月22日:バルナール(Barnard)が亡くなり、修道院に埋葬される。
860年:ノルマン人が第一の教会を破壊。
〜第二の教会〜
920年:修道院長ダヴィド(David)が教会を再建。
927年:大司教ソボン(Sobon)と修道院の対立が始まる。
932年:大司教の主席補佐官であるシルヴィオン・ド・クレリュー(Silvion de Clérieu)が修道院と教会を焼き払う。
〜第三の教会〜
ベネディクト会に代わり、律修司祭の参事会(collège de chanoines)が設立され、参事会教会(collégiale)となる。
1025年:シルヴィオン・ド・クレリュー(Silvion de Clérieu)の子孫であるレジェ(Léger)が修道院長(Abbé)に選ばれる。
1031年:レジェ(Léger)がヴィエンヌ大司教となる。
1049年:第三教会が焼失後レジェ(Léger)が再建し、回廊とイゼール川に架かる最初の橋を建設。
〜第四の教会〜
1070年:レジェ(Léger)死去。
1134年:アルボン(Albon)伯であるギグ(Guigues)がヴィエンヌ大司教と戦い、町を略奪。
1219年:ジャン・ド・ベルナン(Jean de Bernin)が大司教および修道院長となる。建築家であった彼は、ロマネスク様式の壁の上にゴシック様式の区画を建設し、教会を増築(現在の交差部、翼廊およびクワイヤ)。
13世紀後半以降に増改築が行われ、第五の(現在の)教会となります。
この後も、案内掲示を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
案内掲示による平面図です。東が右です。

「C」と書かれた長方形の部分は、1857年に取り除かれた回廊である。
4. 外観
西扉口はロマネスク様式です。

左右の柱頭や柱には彫刻があります。
西扉口の北側部分の石柱像のうち、向かって左は聖ペトロかもしれません。彼の手元を見ると「scs…RV」と書かれています。

西扉口の南側部分の石柱像のうち、向かって左は使徒ヨハネかもしれません。彼の手元の本に「JOHA…S AP…LI」と書かれているようです。

石柱像、衣のひだなどが優雅で、とても質が高いです。
また、円柱の装飾や柱頭彫刻なども精緻。
きっと、かつては、すごく立派な扉口だったことでしょう。
5. 内観
教会の中に入ります。
現在の建物は、ロマネスク様式(身廊の下部)とゴシック様式(身廊の上部、交差部、翼廊およびクワイヤ)が融合している。身廊の上部はロマネスク様式の壁の上に建てられており、リブ構造の天井は地上24メートルの高さにある。

身廊の柱頭彫刻は、うっとりするような美しさです。
柱頭を五つご紹介します。
柱頭1:様式化された植物と幾何学模様

柱頭2:様式化された植物と幾何学模様。
こちらも様式化された植物と幾何学模様ですが、異なる図案です。

柱頭3:向かい合う4頭のライオン
ライオンの目がアーモンドのような形で印象的。そして、上部の四葉のような形が繊細です。

柱頭4:受胎告知
天使の翼の形など、まるで写本挿絵から抜け出てきたようです。

柱頭5:天秤
天秤で思い出すのは「最後の審判」ですが、ここでは胸元をあらわにした女性が天秤を持っています。そして、向かって右には苦悩に満ちた表情の男性。謎めいた図像です。

ご紹介した五つの柱頭彫刻は、様式化された線が特徴的で、ヴェズレーなどのブルゴーニュの柱頭彫刻を思い出します。
Collégiale Saint-Barnard。身廊の柱頭彫刻が素晴らしいです。西扉口もいいです。
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