2023年9月23日(土)、最初に訪れたのはDie、ノートルダム教会(Église Notre-Dame)です。
ここは、柱頭が素晴らしいです。
Die では、2か所に行きました。以下のように2回に分けて書きます。
<1> Église Notre-Dame de Die
<2> Chapelle Saint-Nicolas
目次
1. Die へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 平面図番号(1)〜(3) .
5. 平面図番号(4)と(5) .
6. 平面図番号(6) .
1. Die へ
ディ(Die)は、フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ドローム県にある町で、アヴィニョンの約100km北東、ヴァランス(Valence、ドローム県の県庁所在地)の約40km南東にあります。
この日は土曜でしたから、教会の周りで市場がひらかれていました。
2. 概要
教会の中に案内掲示がありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
起源
ディ(Die)の最初の司教として知られるニケーズ・ド・ディ(Nicaise de Die)の時代、すなわち西暦325年頃、町はまだローマの都のひとつであった。この司教はニカイア公会議におけるガリア唯一の代表である。当初の聖堂は何も残っていない。
6世紀末には、聖堂群には教区教会も含まれるようになった。この教会群は、カロリング朝時代に再建された。909年以前に聖母マリアに捧げられたこの聖堂について、残っているのは、トレーサリーとブドウの木のモチーフで飾られた数枚のプレートだけである。(ディ・エ・デュ・ディオワ博物館(musée de Die et du Diois)収蔵)。
聖堂の南側にある聖具保管室の塔は、11世紀に小さな礫岩を積み上げたものである。北側の現在の広場には、修道士のための回廊があった。
北側の広場には現在、「回廊(cloître)」と書かれたプレートが置かれています。
中世の大聖堂
12世紀以降、白い石灰岩で新しい聖堂が建設され、鐘楼ポーチから単身廊にアクセスし、クワイヤの後陣で終わるプランとなった。
ポーチは、リモージュ(Limoges)のものに匹敵し、非常に特徴的な丸天井を持ち、柱頭を持つ柱に挟まれた三つの扉口で大きく開かれている。身廊への扉口は柱を失ったが、彫刻が施されたティンパヌムは宗教戦争を生き延びた。
この新しい建物は、ディとヴァランスの司教区が統一される(1276年)直前の1250年に献堂された。
1473-1491、鐘楼の一部が再建され、補強された。16世紀の宗教戦争のさい、大聖堂は1562年に略奪され、1568年に丸天井は北側壁とともに取り壊された。回廊も廃墟と化し、16世紀末には複合施設全体が石切り場とされた。大聖堂が再建されるまで、教会の礼拝はポーチで行われていた。
再建
再建はルイ14世の時代に行われた。北壁と南壁の上部は、1659年に再建された。ヴォールトは、多角形の後陣(1671年)のすぐ後の1673年(聖歌隊のアーチに碑文)に再建された。
1687年にディとヴァランスの司教区が分離した後、1699年に大聖堂は再献堂された。
1801年に司教座が廃止されたにもかかわらず、大聖堂は1840年に歴史的建造物に指定された。1845年にはしっくいが塗り直され、1858年にはクワイヤにモザイクが設置された。
この後も、案内掲示を引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
案内掲示による平面図です。東が上です。
赤色:11世紀、橙色:12世紀、黄色:13世紀、緑色:1474~1491年、青色:1650~1673年、紺色:18世紀
では、見学しましょう。
4. 平面図番号(1)〜(3)
平面図に載っている数字の順に、13世紀までの部分をみていきます。
平面図番号(1)〜(3)は、鐘楼ポーチにある扉口の三つの柱頭です。
(1) 「カインとアベル」、「アブラハムによるイサクの犠牲」
創世記4章
4: アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。主はアベルとその献げ物に目を留められたが、
5: カインとその献げ物には目を留められなかった。カインは激しく怒って顔を伏せた。
6: 主はカインに言われた。「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。
7: もしお前が正しいのなら、顔を上げられるはずではないか。正しくないなら、罪は戸口で待ち伏せており、お前を求める。お前はそれを支配せねばならない。」
8: カインが弟アベルに言葉をかけ、二人が野原に着いたとき、カインは弟アベルを襲って殺した。
アベルは、うやうやしく両手を布で覆って、羊の肥えた初子を捧げているようです。
神は敬虔なアブラハムを試すため、彼に愛する独り子イサクを献げ物としてささげるよう命じます。
神、ひどい。
創世記22章
10: そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。
11: そのとき、天から主の御使いが、「アブラハム、アブラハム」と呼びかけた。彼が、「はい」と答えると、
12: 御使いは言った。「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の独り子である息子すら、わたしにささげることを惜しまなかった。」
御使いがアブラハムを制止しています。イサクは命を長らえました。
(2) 「ケンタウロスとグリフォン」、「男とドラゴン」
もの憂げなケンタウロス。
強そうな男。
(3) 「男とグリフォン」、「ウンディーネとワニ」
私はてっきり「人魚とドラゴン」と思いましたが、案内には「ウンディーネとワニ」と書いてありました。
ウンディーネは水の精霊です。
ウンディーネ、凛々しい。
5. 平面図番号(4)と(5)
鐘楼ポーチの中に入ります。
平面図番号(4)と(5)は、身廊へとつながる西壁です。
(4)再利用:2世紀のガロ・ローマ時代のファウスティヌス(Faustinus)の墓碑銘
上下逆さまに再利用されています。
(5)身廊への扉口:「十字架上のキリスト」のティンパヌム、怪物たちの頭
ティンパヌムは、かなり破損していますし、扉口の寸法に合っていません。13世紀にこの扉口がつくられる前に彫られたものだと思います。
怪物たちの頭は、獅子舞を思い出すような、荒々しい表情です。
6. 平面図番号(6)
教会の中に入ります。
(6)ロマネスク様式の柱頭:怪物たちと対峙する動物たち
怪物たち、大迫力。
ノートルダム教会(Église Notre-Dame)。柱頭が素晴らしいです。
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