2023年9月22日(金)、二番目に訪れたのは Saint-Restitut、サン=レスティテュ教会(Église de Saint Restitut)です。
ここは、塔の帯状装飾(フリーズ)が素晴らしいです。
2023年9月、教会は毎日9:00〜18:00に開いていました。
目次
1. Saint-Restitut へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 外観(全体とポーチ) .
5. 内観 .
6. フリーズ .
1. Saint-Restitut へ
サン=レスティテュ(Saint-Restitut)は、フランスのオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ドローム県にある村で、アヴィニョンの約40km北にあります。
階段を登ると、五角形の後陣が見えました。
2. 概要
教会の中にリーフレットがありました。私が一部を抜粋して太字で和訳します。
聖人の伝説
伝承によると、レスティトゥ(Restitut)またはシドワーヌ(Sidoine)は、福音書に登場する盲人で、キリストはシロアムの泉の近くで視力を与えた。レスティトゥは、マグダラのマリアを含むキリストの弟子たち数人とともに、紀元45年頃、ローマの迫害者たちによってオールも帆もない舟に乗せられた。この船は地中海で遭難し、レ・サント・マリー・ド・ラ・メールで座礁した。レスティトゥは、他の仲間たちと同じように、この地域の伝道を始めた。彼はサン・ポール・トロワ・シャトー教区の初代司教となり、その後、彼の名を冠し、聖遺物が保存されている村の教会の守護聖人となったと言われている。
シロアムの泉と盲人といえば『ヨハネによる福音書』9章に記された奇跡です。(ただし、福音書には盲人の名前は記されていません。)
ヨハネによる福音書9章
1: さて、イエスは通りすがりに、生まれつき目の見えない人を見かけられた。
2:弟子たちがイエスに尋ねた。「ラビ、この人が生まれつき目が見えないのは、だれが罪を犯したからですか。本人ですか。それとも、両親ですか。」
3:イエスはお答えになった。「本人が罪を犯したからでも、両親が罪を犯したからでもない。神の業がこの人に現れるためである。
4:わたしたちは、わたしをお遣わしになった方の業を、まだ日のあるうちに行わねばならない。だれも働くことのできない夜が来る。
5:わたしは、世にいる間、世の光である。」
6:こう言ってから、イエスは地面に唾をし、唾で土をこねてその人の目にお塗りになった。
7:そして、「シロアム――『遣わされた者』という意味――の池に行って洗いなさい」と言われた。そこで、彼は行って洗い、目が見えるようになって、帰って来た。
史実
6世紀にはすでにこの地にキリスト教徒がいたことは間違いない。1844年、歴史的建造物委員会により、墓の中から大理石が発見された。この石には、幼子の洗礼についての記述があり、549年と記されている(1)。
聖人に関する情報はほとんどない。歴史家たちは、サン=ポール=トロワ=シャトー教区の誕生を早くとも4世紀末と見積もっており、聖人が司教であったかどうかは定かではない。
括弧内の数字は、平面図における位置を示します。
この後も、リーフレットを引用する時に太字で書きます。
3. 平面図
リーフレットによる平面図です。東が上です。
では、見学しましょう。
4. 外観(全体とポーチ)
主扉口は、広場に面した南側にあります。
塔の下部は11世紀に完成した。正方形で高さ9メートル、彫刻を施したフリーズを戴いている(4)。
この塔を背にして、三つの柱間を持つ単身廊の教会が建てられた(3)。
教会の建設は、身廊の第一柱間と塔の上部で12世紀の第1四半期に始まった。この部分には、職人たちが石に刻んだマーク(5)がある。
青い矢印で示した部分などによく残っています。
身廊の残りの部分、ポーチ、後陣は12世紀後半のものである。ポーチ(6)は、「アンティキサン(antiquisant、古典古代風)」として知られるプロヴァンス・ロマネスク芸術の特徴である。大きなアーチ、三角形のペディメント、アカンサスの葉で飾られたまぐさ(7)、柱頭を持つ2本のフルート半円柱など、古代の参照が数多く見られる。右側の柱頭には、バスケットの葉の中に口ひげを生やした頭と2本の開いた手が描かれ(8)、ポーチの下にはひげを生やした男の頭が描かれている。
タラスコン(Tarascon)の主扉口を思い出します。(アルルの円形闘技場のポルティコとの共通性が指摘されていました。)
5. 内観
入って左側(9)、塔の壁は教会と連絡するために開かれている。塔は、16世紀の聖遺物箱の跡がある下部礼拝堂と、以前は懺悔者の礼拝堂であった上部礼拝堂で構成され、美しいクーポラで冠されている。
後陣(11)は、四分球に四つのアーチを持ち、12世紀末のものである。ステンドグラスは19世紀のもので、福音書に登場するキリストと盲人を描いている。
柱頭とフリーズに注目されたい。角には、おそらくサン=ポール=トロワ=シャトー大聖堂の後陣を飾ったのと同じ工房が作った、人と動物の顔が描かれている。
動物の顔がかわいいです。
6. フリーズ
フリーズは、55の彫刻パネルから成っている(14)。コーニスで装飾され、11世紀末のものである。
フリーズの主なテーマは『ヨハネの黙示録』である。威厳に満ちたキリスト、福音書記者たち:人の姿の聖マタイ、鷲の姿の聖ヨハネ、雄牛の姿の聖ルカ、(教会の中に)獅子の姿の聖マルコが描かれている。
キリスト。
人の姿の聖マタイ、雄牛の姿の聖ルカ、鷲の姿の聖ヨハネ、(15)
四騎士、パルメットを持つ選ばれし者たち、蛇の頭や刺で終わる尾を持つ動物たち(16)。
また、南壁には十二宮。
東壁(教会内部)には傲慢の大罪(17)、
永遠の命を象徴する生命の樹を囲んで向かい合う動物たち(18)が描かれている。
最後に、リーフレットで言及されなかったパネルの中から、私が好きなのを。
じゃれあうようなライオンたち。
尻尾をあげる人魚。ぴちぴち。
サン=レスティテュ教会(Église de Saint Restitut)。塔の帯状装飾(フリーズ)が素晴らしいです。
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