アオスタ(Aosta)<1>

2023年8月7日(月)、最初に訪れたのは Aosta、Cattedrale di Santa Maria Assunta e San Giovanni Battista です。

ここは、内陣の床モザイクが素晴らしいです。地下聖堂もあります。

毎日7:00~12:00と15:00~19:00に開いています(2023年8月現在の情報です)。

Aosta では、二つの教会に行きました。以下のように2回に分けて書きます。
<1> Cattedrale di Santa Maria Assunta e San Giovanni Battista
<2> Chiesa Collegiata dei Santi Pietro e Orso

目次

1. Aosta へ .
2. 概要 .
3. 平面図 .
4. 屋根裏のフレスコ画 .
5. 地下聖堂 .
6. 内陣(床モザイク) .

1. Aosta へ

私はホテルをチェックアウトし、北東に約10km、18分ほど運転して、Aostaの町の大聖堂に着きました。9:30頃のことです。

南西側外観

大聖堂の中に入ります。

身廊にて東を向く

一見すると、内装もすっかり新しい姿です。

2. 概要

現地にはロマネスク建築に関する案内は見当たりませんでした。Città e Cattedrali による概要です。私が一部を抜粋して太字で和訳します。

大聖堂は、この地方にキリスト教が広まった初期段階に連なる非常に古い起源を誇っている。おそらく教区が設立された4世紀末のことである。

建物の再建は10世紀末に始まり、翌世紀半ば以降、1065年頃に完成した。ロマネスク建築の多くは今日でも見ることができる。三廊式のバシリカ、地下聖堂、二つの東の鐘楼、大きな四角柱などである。しかし、ロマネスク様式の教会は、西側には半円形の後陣があり、東側の後陣と同じ二つの鐘楼に挟まれ、初期キリスト教の建物と同様、入り口は南側にあった。

11世紀には、重要な画家たちがこの大規模な建築に参加し、身廊の壁を飾った。

床のモザイクや、東のロマネスク様式の後陣に代わる放射状祭室の周歩廊は、12世紀から13世紀にかけて行われた重要な改築や装飾の一部である。

オリジナルは、五つの後陣(主後陣とその両側に小後陣が二つずつ)が直線状に並んでいました。(ゾディアック(Zodiaque) la nuit des temps の『Piémont-Ligurie roman』より)

15世紀から16世紀にかけては、西側の取り壊し、リブ付きの内部十字穹窿の建設、1522年から1526年にかけてのフレスコ画とテラコッタ彫刻で装飾された新しいファサードの建設で最高潮に達した。

3. 平面図

大聖堂の中にあった案内パネルによる平面図です。東が上です。

案内パネルによる平面図

⑤のあたりの壁に、11世紀と12世紀の彫刻が置いてありましたが、割愛します。

4. 屋根裏のフレスコ画

私は見ていません。

11世紀には、重要な画家たちがこの大規模な建築に参加し、身廊の壁を飾った。フレスコ画のうち、上層の一部は現在の屋根裏に残っており、北壁にはキリストの祖先と聖エウスタキウスの伝説が、南壁には教会関係者の肖像画と旧約聖書と新約聖書の場面が描かれている。

屋根裏のフレスコ画については土曜と日曜の15:00~17:00に見学ツアーがあるそうです。有料(€5)です。(大聖堂の中にあった案内掲示より)

西壁と南壁のフレスコ画の画像です。(Wikipediaより)

西壁(Wikipediaより)
南壁(Wikipediaより)

5. 地下聖堂

⑤のあたりに階段があり、地下聖堂に行けます。

ゾディアック(Zodiaque) la nuit des temps の『Piémont-Ligurie roman』による平面図です。

ゾディアック(Zodiaque) la nuit des temps の『Piémont-Ligurie roman』より

地下聖堂は三身廊三後陣です。

支柱も柱頭も、再利用されたものが混ざっているようです。

地下聖堂、身廊にて東を向く

柱の使い方が独創的です。

地下聖堂、北側廊にて南西を向く

歴史の重みを感じます。

6. 内陣(床モザイク)

地上に戻って、内陣の床モザイクをみます。

内陣

クワイヤ部分に描かれているのが、太陽と月の象徴を手にする年(Annus)。頭にニンブスがあります。

年(Annus)

PiacenzaのSan SavinoPaviaのSan Michele を思い出します。San Savinoは無冠で太陽と月の象徴を手にしていた一方、San Micheleでは王冠を頂いていました。少しずつ違っていて、面白いです。

年(Annus)の周りには、12か月の寓意が描かれています。

1月は顔が二つあって、開いた扉と閉じた扉の間に立っています。2月は焚き火で暖をとっていて、3月は木を剪定していて、4月は手に花を持っています。5月は馬に乗っていて、6月は刈り入れをし、7月は穀物を束にし、8月は脱穀し、9月はブドウを踏み、10月は種をまき、11月は束を肩に担ぎ、12月は豚を殺しています。

12か月の寓意

ほぼ正方形(約6m×6)の構図の四隅には、楽園の四つの川が、水を注ぐ4人の人物の形で描かれています。

クワイヤのモザイク

クワイヤのモザイク、彩り豊かな大作です。

クワイヤから3段上に、別の床モザイクがあります。こちらは白い部分が多くて迫力はありませんが、愛らしい印象です。

川の擬人像や幻想的な生き物などが描かれています。

クワイヤの東のモザイク

旧約聖書に書かれている四つの川のうち、二つが残っているようです。

『創世記』2章
10: エデンから一つの川が流れ出ていた。園を潤し、そこで分かれて、四つの川となっていた。
11: 第一の川の名はピションで、金を産出するハビラ地方全域を巡っていた。
12: その金は良質であり、そこではまた、琥珀の類やラピス・ラズリも産出した。
13: 第二の川の名はギホンで、クシュ地方全域を巡っていた。
14: 第三の川の名はチグリスで、アシュルの東の方を流れており、第四の川はユーフラテスであった。
チグリス
ユーフラテス

足の上を水が流れる様子が丁寧に描かれていて、絵に動きがあります。

キマイラとゾウ

キマイラ
ゾウ

ゾウの鼻が奇妙な形になっています。ゾウを見たことのない人が描いたに違いない。でも、愛嬌があります。大きな目もかわいいし。

Cattedrale di Santa Maria Assunta e San Giovanni Battista。内陣の床モザイクが素晴らしいです。地下聖堂もあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です