2023年5月13日(土)、三番目の訪問地は Huidobro。Iglesia de San Clemente です。
ここは、南扉口と、南軒下と後陣軒下の持ち送りが良いです。
教会は閉まっていました。私は教会の中に入りませんでした。
目次
1. Huidobro へ .
2. 概要 .
3. 平面図 . .
4. 南側外観 .
4-1. 南扉口 .
4-2. 南軒下の持ち送り .
5. 東側外観 .
5-1. 二つの窓 .
5-2. 後陣軒下の持ち送り . .
1. Huidobro へ
夫と私はエル・アルミニェ(El Almiñé)から南西に約29km、33分ほど運転すると、丘の上にある教会が見えました。11:45頃のことです。
手前の柵は、牛が出て行かないように立ててあるのだと思います。柵の向こうでは、茶色い大きな牛たちが、草を食んでいました。
2. 概要
現地には案内板が見当たりませんでした。Románico Digital による概要です。自動翻訳(DeepL)に助けてもらいながら、私が一部を抜粋して太字で和訳します。
Huidobro
Sedano渓谷北部の高い石灰岩の湿原と、Merindadesの間の窪地に位置し、Rudrón川の支流であるTurrientesという表情豊かな小川が断続的に流れる、Burgos北部で最も情緒豊かな場所のひとつに、Los Altos市に属するHuidobro村がある。
いったん廃墟と化した集落は二つの地区に分かれ、北側と教区教会のある丘の上から眺めることができる。(私たちは、この集落がまだ廃墟の危機に瀕していると確信している。)この集落が18世紀から19世紀にかけて、鉱物の採掘によって繁栄を謳歌していたとは、とても想像できない。1964年に廃墟となった村には、数十年前から、一家族が住んでいる。
Iglesia de San Clemente
二つの柱間を持つ単身廊および、内陣と半円形の後陣とで構成される聖域による、オリジナルのロマネスク様式の建築は、近世(おそらく16世紀初頭)に大きく改築された。身廊の西側の部分のみを尊重し、聖域の前の部分を拡張して、現在のギリシャ十字の構造を形成する二つの長方形の礼拝室を加えた。
これらの空間を覆っている現在のリブ・ヴォールトや、身廊の西側の上にそびえる正方形の塔も、この改築によるものである。にもかかわらず、この建物は12世紀の作品の基本を保っており、地域北部で最も注目すべき例の一つとなっている。
この後も、Románico Digital を引用するときは太字で書きます。
3. 平面図
現地には平面図が見当たりませんでした。Románico Digital による平面図です。東が右です。
12世紀のロマネスク様式のオリジナルが残るのは、身廊、内陣、後陣です。
さっそく、見学です。
4. 南側外観
教会の近くの坂の下に駐車して、丘の上の教会まで、歩いて登ります。
山と山の間という立地条件も手伝って、風の強いこと、強いこと。
両足を踏ん張って、立っているだけでやっとなのに、丘を登るんです。私、風に乗って空中を飛べるんじゃないかと思うほどでした。
教会に着いた時、山頂に風力タービンを見て「それはもう、間違いなく適所でございましょう」と思いました。
Románico Digital は、こう書きました:
長い年月の間、廃墟と化した屋根のままであったにもかかわらず、そのヴォールトが崩落することがなかったのは、その建築の堅固さゆえである。この驚くべき建物は、間違いなくさらなる幸運に恵まれるに値する。そのため、我々は、周囲に設置された多数の風力タービンが、より良い空気をもたらしてくれることを期待したい。
廃墟となって身廊のヴォールトが崩落してしまう教会は数多。むしろ、通常は崩落します。私は、この教会を建築/改築した当時も、ここには強い風が吹いていたと思います。だから、強風に負けないように、石工たちがいっそう丁寧な仕事をしたのかもしれないと想像しています。
私も、この教会がさらなる幸運に恵まれることを期待したいです。
話を教会の装飾に戻します。
4-1. 南扉口
アーキヴォルトが美しいです。
柱頭が4個あります。
1: 2人の天使、2: 植物模様、だと思います。
3: 二股人魚と、2匹の人間の頭と魚の頭を持っている生き物、4: 2匹のグリフォン、だと思います。
3: 2匹の生き物は、魚の頭と体を持っていて、尻尾部分がヒトの頭になっているように見えます。
魚の頭は、2匹とも、二股人魚に向けて何かを吐き出しているようです。
不思議な図です。
4-2. 南軒下の持ち送り
南軒下に、彫刻が施された持ち送りが5個あります。
注目したいのは、こちら。
ハルピュイア、だと思います。
左手にカイト・シールド、右手に槍を持っています。槍には旗が下がっています。
頭の部分が失われていますが、迫力十分です。
5. 東側外観
東側に行き、窓と持ち送りをみます。
5-1. 二つの窓
東側には、二つ(内陣南と後陣中央に一つずつ)のロマネスク様式の窓が残ります。
内陣南の柱頭には鳥たちが描かれていて、後陣中央の柱頭には葉に包まれた丸い果実のような形が描かれています。
窓の装飾は、内陣から後陣へと伸びる市松模様と組み合わせてあって、簡素で美しいです。
5-2. 後陣軒下の持ち送り
内陣や北壁の軒下にも持ち送りがあります。でも、詳細は割愛します。
後陣軒下の17個の持ち送りのうち、私が注目した4個です。
本を読む人物は、右手を頬に当てています。憂いごとがあるのかもしれません。
ライオンの歯の鋭いこと。びっくりです。
こうした装飾が、長く残ってくれますように。
Iglesia de San Clemente。南扉口と、南軒下と後陣軒下の持ち送りが良いです。
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